自分で創る自分の車 No.33

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エンジンオイル 6

■どうして化学合成油が必要なのか?

オイルは防錆や潤滑、摩擦や摩耗を減らすだけではなく、エンジンの冷却に不可欠です。
適温で潤滑性の高い部品は長持ちし、合成油は比重が鉱物油よりも大きいため、合成油は部品からより多くの熱を吸収できます。
これにより、合成油は鉱物油よりも優れた冷却効果を発揮し、優れた冷却効果はオイルの温度を下げることを意味します。

また、バルブスプリング、カムシャフト、高温なピストンにより、鉱物油は合成油よりもはるかに速く分解します。
鉱物油は約115℃で分解し始めますが、合成油は分解し始めるまでに最高約160℃まで対応できます。

改善された合成油の熱安定性はオイルの寿命を延ばし、合成油のより大きな熱容量はオイルの温度を下げます。
正しい粘度の合成油を使用すると、熱に関連するエンジンの摩耗や損傷に対する追加の「安心」が得られます。

また、合成油は1リットルあたりのコストは高くなりますが、実際に長期的には費用を節約できます。
合成油は鉱物油よりも耐久性があり長持ちするため、頻繁に交換する必要はありません。
オイル交換の減少は、大幅な節約を意味します。

最も費用効果の高いアプローチは、合成油を使用し、頻繁にオイルフィルターを交換することです。
機械の故障の50%以上が汚染に関連しているため、オイルを清潔に保つことが重要です。
オイルフィルターを交換すると、オイルシステムから汚染物質が取り除かれ、オイルがよりきれいに保たれます。

良質で、きれいなオイルはより良い保護を提供するので、この方法を採用することでエンジンの摩耗とオイルの購入を減らします。
走行会やレースごとに鉱物ベースのオイルを交換する代わりに、合成ベースのオイルを使用して、走行会やレースが終わるごとにフィルターを交換してください。
この方法は汚染を減らすだけでなく、費用を節約します。
ただし、油温・油圧が適切に管理されている事が大前提です。


■レース用エンジンオイルと、ストリート用エンジンオイルの違い

レースカーは、一般車とは異なる製品やケアが必要です。
一般車は、燃費や快適性などのメリットが重要な役割を果たす日常的な使用を目的として設計されているのに対し、レースカーは非常に特殊な目的を持って、車から最大限の結果を引き出すために設計されています。

シャシー、タイヤ、エンジン、サスペンション、インテリア、空力などが調整され、最高の結果が得られるように設計されていることが多いです。
通常、レーシングカーの素材は、より繊細で、最高の製品が必要とされます。

必要とされる仕様と少しでも異なる製品を使用すると、パフォーマンスが低下したり、部品が破損したりする可能性があります。
そのため、直線的な加速を得るためには、回転数の範囲でパワーを分散させる必要があります。

そしてレースカーのエンジンには、多くのストレスがかかります。
これらのエンジンは、高回転で最大のパワーとトルクが得られるようにチューニングされ、設計されています。
また、通常の車では発生しないような極端な熱や圧力が発生します。
このような状況はエンジンにとって非常に過酷であり、オイルもそれに応じた保護を提供しなければならないのです。

一般車両向けのエンジンオイルは、寿命の長いもので20,000kmの走行期間中、エンジンを洗浄し、保護し、潤滑するように設計されています。
摩耗防止、長いオイル寿命、最高の燃費、腐食防止、耐酸化性などの特性を備えていなければなりません。

一方、レース用のエンジンオイルは、1回または数回のレースの後、非常に頻繁に交換されます。
エンジンオイルの酸化は、油温が10℃上昇するごとに2倍になり、レースカーでは通常、ストリートカーよりもかなり高い温度になります。
さらに、レースエンジンは高い圧力と負荷にさらされているため、摩耗防止のための特別な保護が必要です。

ZDDP (Zinc Di-alkyl Di-thio Phosphates/ジアルキルジチオリン酸亜鉛)などの耐摩耗性添加剤は、このような耐摩耗性の向上に特に効果的です。

ZDDPのような摩耗防止剤は、特に高いストレスを受けるバルブ・カムシャフトトレインの保護に効果的です。
モリブデンジアルキルジチオカーバメートのような摩擦低減添加剤は、すべての可動エンジン部品間の摩擦を低減する目的でしばしば添加されます。

一般車両向けのオイルに含まれる洗浄剤や分散剤は、レースエンジンに不可欠なこれらの添加剤と競合する可能性があり、これらの添加剤を減らすことでTBN(TOTAL BASE NUMBER)の値が下がることがよくあります。
しかし、ベースオイルには様々な種類があります。

レース用オイルの重要な指数として、*HTHS(High Temperature/High Shear/高温高剪断粘度:150℃)の粘度要件が「3.7mPas以上」であることが挙げられます。
高温側動粘度:100℃ではなく、高温高剪断粘度:150℃の指数が重視されます。

APIやACEAで一般車両向けに定義された指数では最高要件が「3.5mPas以上」であるのに対し、オイルの負荷容量が高いことを示しています。
ちなみに機械工学的にはHTHS粘度は「2.6mPas」を下回ると境界潤滑状態が増加すると言われています。
これは油膜切れを起こす事を表します。
以上の事から、油温管理が非常に重要であるとわかります。

*HTHS/高温高剪断粘度とは、主としてクランクシャフトの軸受や、ターボ過給機のタービン軸受など、高温でかつ摺動速度が速くなる部位をシミュレートする形で、150℃での粘度が規定されたものです。
動粘度.png

レースカーが通常の車とは異なる目的で設計されているように、エンジンオイルも同様です。
レース用エンジンオイルは、レースカーの要件を満たすように設計されているため、通常のエンジンオイルとは異なる特性を持っています。


■ターボ車両の油圧

Garret社製タービンを例にすると、
ボールベアリングの場合:0.60~2.1kgcm2
フルフローメタルの場合:1.75~4.2kgcm2
最低限、維持しなければならない圧力:0.7kgcm2/1000rpm と、資料に記載があります。
この事からも正確なメーターを使用してコンディションを知る事が重要であることがわかります。


今までの内容をふまえ簡潔にまとめると、以下になります。
・用途に合わせて鉱物油・半合成油・全合成油を選定
・車の年代を考えたAPIグレードの選定
・高温側動粘度より高温高剪断粘度が重要
・油温・油圧管理が重要
・一般車向けとレース車向けでは、要求する性能が異なる



エンジンオイルについては今回で終了となります。
いかがでしたでしょうか?
既にご存じの内容ばかりでしたでしょうか?
「エンジンオイル」と一括りに言ってしまうのは簡単ですが、内側を知る事で安直に選ぶことは出来ないですね。

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