「あそこのお店、すごく美味しかったよ」
大好きな彼や、大切なあの人からそんな言葉を聞いた瞬間、胸の奥が一瞬でキュッと冷たくなる。そんな経験はありませんか?
普通なら「へえ、誰と行ったの?」って、何気なく笑顔で聞き返せるような場面なのかもしれません。でも、繊細な気質を持つあなたにとっては、その一言がとても重くて、どうしても口から出てこないんですよね。
もしも「誰と」の答えが、自分の知りたくない相手だったらどうしよう。もしも問い詰めるような雰囲気になって、二人の関係が気まずくなってしまったらどうしよう。そんな風に、一瞬で頭の中にたくさんの不安な未来が駆け巡ってしまう。
だから、心が傷つくリスクを未然に防ぐために、引きつった笑顔を浮かべながら「へえ、良かったね」と、その場をそっと流してしまう。そして、自分の心の中にある「触れてはいけない地雷フォルダ」に、そのお店の名前をこっそりと格納する。
相手を責めたいわけでも、束縛したいわけでもない。ただ、大好きな人との間に流れる空気を壊したくなくて、自分の心にスッとシャッターを下ろしてしまう。そんなあなたの健気で、少し切ない心の動きが、僕にはとても愛おしく、そして切なく感じられます。
心理カウンセラーとして、僕は、その「心のシャッター」はあなた自身を守るための、本当に大切な防衛本能なのだと感じています。
相手のちょっとした声のトーンや、表情のニュアンスを敏感に察知してしまうからこそ、揉め事になるかもしれない気配を本能的に避けてしまうんですよね。それはあなたが、二人の関係をそれだけ大切に守りたいと思っている証拠でもあります。
でもね、そうやって自分の本音をフォルダに閉じ込めて、鍵をかけてしまうたび、心の中には小さなモヤモヤが澱のように溜まっていってしまいます。
あの時、本当はどうしたかったんだろう。本当は「私以外の人と楽しい時間を過ごしたのかな」って、ちょっぴり寂しかっただけなのかもしれません。その寂しさにさえ蓋をして、物分かりのいい自分を演じるのは、本当にエネルギーがいることです。
地雷フォルダに隠されたお店の名前が増えるたび、相手との距離が少しずつ遠くなっていくような、そんな寂しさを感じることもあるかもしれません。でもね、まずは「誰とも聞けずに、笑顔で流した自分」を、たくさん褒めてあげてほしいのです。
ギクシャクするのを避けるために、あなたはあの瞬間、精一杯の優しさでその場をつないだのですから。まずは、その健気な自分をぎゅっと抱きしめてあげてくださいね。
今回は、そんな夜を過ごしたあなたの心が、少しでも軽くなるヒントになればいいなと思っています。
無理に「誰と行ったの?」と聞き出す練習をする必要はありません。ただ、次にもし同じようなことがあったら、お店の名前を聞いた瞬間に「わあ、美味しそう!今度は私とも一緒に行ってみたいな」と、可愛く未来の約束に変えてみるのはいかがでしょうか。
相手の過去を探るのではなく、これからの二人の楽しみに変えてしまう。そうすれば、そのお店は「地雷フォルダ」ではなく、「二人で行きたい場所リスト」へと生まれ変わるかもしれません。
あなたのその深い優しさが、大切な人と心地よい安心感でつながるために使われることを、僕はいつも応援しています。