話の着地点が分からないから、つい最後まで聞き終わる前に
「~~したほうがいいよ」
「~~は良くないと思う」
「それは~~がいいって聞いたよ」
のように、
途中で口を挟んでしまいがちです。
お気持ちはよく分かりますが、
相手がすっかり話し終わるまでじっくり聞きましょう。最後まで聞いたところで、結局結論やテーマはないかもしれません。
しかし、職場ではないので、家族相手なら、とりとめのない会話もアリだと思います。
むしろそういう話が出来る相手は家族くらいです。
聞いているほうとしては、そのような話のどこに意味があるのか、と思われるかもしれませんが、
誰かに話すことで、
自分の気持ちを整理出来たり、黙って聞いてもらえることで
受け容れてもらえたように思えて、それが
うつ病の人の自己肯定感に貢献することがあります。
うつ病の人が話し始めたら、
相手が気が済むまで遮らないで聞いてみましょう。③家族自身の悩みや愚痴の吐き出し先を作るとはいえ、家族も
相手に合わせて生活し続けるだけでは、我慢の連続で、
早い段階でダウンしてしまいます。
うつ病になってしまったことは気の毒だと思うししっかり支えていこうと決意出来ても、体の老廃物のように愚痴や悩みが積み重なっていくのは当然です。
むしろしっかり向き合っているからこそ、悩みは尽きません。
そしてうつ病関係の悩みは、これまで経験したことが無いのですから、一人で抱え込んでもすぐに有効な解決策が思いつくことも難しいでしょう。
家族の辛い気持ちを聞いてくれる人、共感してくれる人、マイナスな気分の解消に付き合ってくれる人を作りましょう。
「人」ではなくても、
趣味や
レクリエーションでスッキリするのでもいいと思います。
身近な人や実家家族だと本人の耳に入りそうでイヤだ、というなら、インターネットなどで同じ経験をした人を見つけて話をしたり、カウンセラーやソーシャルワーカーなどに聞いてもらうのもいいでしょう。
特に
専門家なら
守秘義務があるので、第三者に漏れることは絶対にありません。
④うつ本人がやるべきことは手を出さないうつ病になって出来ないことがたくさんあっても、それでも
本人にしか出来ないことがあります。1つは、
休職中の職場との連絡。特に仕事が原因でうつ病になった場合は、連絡を取ること自体がストレスになるかもしれませんが、ここで奥さんやご主人が間に入ると、家族のストレスが増えるだけです。
入院中などで本人が連絡を取ることが難しいような場合は除いて、職場とのやり取りは極力本人に任せましょう。
2つ目は、
主治医との会話。通院が続くと、診察室に入って主治医から聞かれるのは「どうですか?」という、非常に大雑把な質問です。私も最初は戸惑いました。
既に基本的な状態は知っているうえで、前回診察時からの「差分」を聞き取ろうということなのでしょうが、「どうですか?」だけでは何を話していいのか分かりません。困ってしまって黙り込んでしまう人もいます。
そこで家族が気を使わせて代理で生活状況などを話してしまうと、情報共有自体は可能ですが、本人の言葉ではないので実際の症状の程度が正しく主治医に伝わりません。
また、「自分のことなのに自分で話せなかった」「本当は違うのに家族が勝手に伝えた」のような
すれ違いも起こりかねません。
診察室まで同行したとしても、極力家族は会話に口を挟まないようにしましょう。
⑤どうしていいか分からない時は「放置」する「うつ病の人に『頑張れ』は言ってはいけない」のように、うつ病の人とのコミュニケーションは通常とは少し違います。
頑張らせようとする意図はないとしても、何気ない一言が違う解釈に繋がりかねません。それくらい過敏で、ある意味偏った状態にあるのです。病気ですから。
どう接したらいいか分からない時は、
無理に声かけしなくていいです。
放置しましょう。放置、というとまるでネグレクトのように聞こえるかもしれませんが、衣食住の世話を放棄する、というのではなく、
「見守り」の姿勢を取る、と言うことです。
うつ病に限らず、四六時中気を使われ続ける、というのも、息苦しいものです。
少し放っておいて、
思い付いたことがあればその時声をかけましょう。もしくは
相手から動き出すのを待ちましょう。「何もしない」空白の時間を持つことで、
「自分から動こう」という自主性を思い出すことへもつながります。
体内時計が正しく働くと、夜眠れるようになります。
夜の睡眠がとれるようになると、体と頭の疲労が取れやすくなり、思考力が回復してまとまった考え事が出来るようになります。
歩くと体力を使うので、お腹がすきます。食欲不振気味だった人も
食事をとれるようになり、疲れた分、
夜の睡眠が促されます。歩く、という動作に集中することで、
余計なこと(過去への後悔、未来への不安)を考えない時間を作れます。
ただ、「
散歩に行こう」と思えるようになったこと自体が
うつ病が回復してきている証拠でもあります。
⑤うつの人にやってはいけないこと色々あると思いますが、私が一番NGだと思っているのは
「犯人捜し」です。
うつ病になった理由、原因、きっかけを把握しておくことは再発防止のために必要ですが、やり過ぎると
「あの時もっと~~していれば」
「どうして~~出来なかったのだろう」
「あの人さえいなければ」のように、思い出したところで
役に立たず、うつ病の人が自分を責めるだけの回想になります。
ある程度うつの原因が分かっているなら、過去をほじり過ぎるのはやめましょう。
うつ病だから何も出来ない⇒家族が全部やってあげなきゃ、と言うことはありませんし、家族も全部やってあげられるほど強くありません。
必要なら逆に家族がうつ病の人を頼ってもいい。
うつ療養生活を経ることで
新しい家族としての形が見えてくることを信じています。