家族のうつから得られるものとは? ②心的外傷後成長
前回は「家族のうつ生活から得られるもの ①心の動きと回避したいもの」というコラムで、家族がうつ病になった時、多くの家族が辿るだろう心の動きについて考察しました。色んな体験や周囲の意見、自分の中の葛藤を経て現状に適応したとして、その適応が薄氷の上にあるなら、何かの拍子でまた元の不安定に戻ってしまったり、「また辛かった時にもどってしまうのでは」という不安に付きまとわれてしまいます。家族のうつ病というトラウマ的体験の先に何が得られるのか、を知って、「適応段階」の更に上を見つめることで、心の安定はより盤石になっていくのでは、ということを、心的外傷後成長の理論に沿って考えてみました。1.適応段階の先にある「心的外傷後成長」心的外傷後成長とは、●トラウマ的体験(地震や戦争被害、災害、事故、性的被害など、その人の生命や存在に強い衝撃をもたらす出来事)後にみられる心の成長●辛く苦しい経験をきっかけとした心の成長を指します。災害や事故に遭遇した人が、その後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することがあるのは広く知られています。しかし、辛い経験をした人の全てがPTSDを発症するわけではありません。それと同じように、辛い経験をした人の全てがPTGに至る、ということでもありません。自分の人生観を一変させるような経験をした後に、その状況をどのように受け止めるのか、によって変わってきます。また、その間にいくつかの必要な要素が加わることでも変化します。うつ病になってよかった、という意味ではありません。家族(または本人)がうつ病になった、という経験を通して、新たな価値観や認知(ものの見方)を獲得するこ
0