うつ病になったばかりの時は、本人も家族も非常事態に対応することで頭がいっぱいです。
そんな時に、あれもこれもやれ、と言われても、精神的に余裕がないので無理です。
とりあえず何はともあれ『ゆっくり休んでもらう、家族はそれを見守る』という方法は実行しやすい対応です。
暫く続けているうちに、『これっていつまで続くのだろう』という疑問が芽生えます。
そしてその疑問に答えてくれる人はいません。
うつ病は、そう簡単には改善してくれません。
難しいことを色々やらなければいけない、というよりも、とにかく時間がかかります。
しかし初体験なら、『ゆっくり』といわれても、
どれくらいが『ゆっくり』なのかが分かりません。
どうしても自分の都合に合わせた尺度で期間を見積もってしまいますが、それより長くなるケースがほとんどです。
そうなると、心の準備が出来ていないため、
家族側の心身の疲労が蓄積していきます。
そして見守る余裕がなくなっていきます。
一緒にいる人(家族、恋人、パートナーなど)は、大きい波も小刻みな上下も共有することになります。
相手の波に合わせざるを得ない上に、人間ですから
自分自身にも波があります。調子がいい時、悪い時、など。
自分の調子がいい時は相手に合わせることも出来ますが、悪い時にはそれが出来ません。
無理に合わせようとして共倒れしてしまったり、逆に相手を放置して不安を増大させてしまい後悔したり。
うつの波は本当に厄介です。
分からないことがあればまずはインターネットで検索して基本的なルールを学ぶ、と言うのはとても有効な方法だと思います。
ただし、
そこで知ったルールを「100%実行しなければならない」金科玉条としないよう、注意してください。
実際に経験してみると、100%その通りになどできないことは明らかです。
症状も、本人や対応する家族の性格も、生活している環境も十人十色なのですから当然です。
重要なのは、
自分達のケースに合わせてカスタマイズし、「自分達ルール」をつくることです。
どこをどうカスタマイズすればいいか分からない時は、経験者(ピア)や、専門家に相談しましょう。
ではどうやって自分達ルールを作ればいいでしょうか。
厚生労働省「こころの耳」の情報を元に、事例を挙げて見ます。
【いつもと違う様子に気づく】からだ(睡眠、食欲など)、こころ(抑うつ:億劫さ、焦り、不安、イライラ)、行動(口数が減った、外に出なくなった)の変化に気づきましょう
↓
「おかしいな?」と思う
以前がどうだったか、を知っていなければ気づくことは難しいです。
例えば本人がそもそも休日は家で過ごすほうが好き、という場合。
それでも外出することはあったでしょう。普段の外出時の様子と、今の様子とでどう違うのか。
「外に出ない」という行動だけでは気づきにくいです。
【相談につなげる】まずは話を聞く、または相談窓口へつなげる
↓
相談、と一口に言いますが、かなり
ハードルが高い行動だと思っています。
特にこころの問題は、内容によっては相談者の根幹にかかわる問題まで引っ張り出しかねません。
誰に相談するか、なども重要です。最初に失敗すると、「相談なんかしても意味はない」と学習してしまい、より難問化する恐れがあります。
まずは、
本人から「相談しよう」と思える土壌作りが必要だと思います。
【療養を支える】安心できる環境をつくる
↓
とっても大事ですが、それこそ
「どんな状況が安心」なのか、を知っていないと作れません。
うつ病本人はもちろん、家族も含めての「安心」な環境とは?
本当なら家族みんなで話し合いたいところですが、うつ病本人はそこに参加するのも辛いかもしれないですね。
今の言葉で言うと『
持続可能なうつ病療養生活』を、家族ぐるみで考える、というところがポイントです。
うつ病療養中はもちろん、回復後も家族は継続します。
長い目で見て、今この瞬間に全てを使い果たすようなことはせず、じっくり取り組める方法と、周囲や社会のサポートや理解を得ることが出来るとベストですね。