気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その97~

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本日もこのブログをお読みくださっている皆さま、どうもありがとうございます。今回も引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。
昨日は背骨とアイデンティティーに付いて感じていることを書かせて頂きました。
以前にも触れましたが、息を排出している時に体全体の傾向としては縮んで萎んで狭くなるのに対し、そんな中で唯一脊柱だけは、呼気の時に伸びているということを覚えてくださっていますでしょうか。
両肩に緊張が残ったまま、持ち上がった状態のままだと、ちょうどその左右の肩に挟まれて中央に位置する脊柱の伸びやかさは制限されてしまいます。
両肩が一切の " 仕事 " から解放されて地面の方向に降りるのとすれ違うように、脊柱は上空に向けて活き活きと伸びて解放されて行きます。
ここに、支える役割と支えられる役割の明確なコントラストが生まれ、その状態を 「バランスが整った」 と言います。
一般的に流布されているような呼吸で、特に健康を促進させる目的で呼吸の見直しが推奨されるような時、「吸うことよりも寧ろ吐くことを強く意識しましょう」などと言われるようです。
僕には、そのようなやり方では本当の意味での命の輝きは取り出せないように感じます。
これも繰り返しにはなりますが、本来の通常の呼吸では、息を排出する時が特に脱力・リラックスのチャンスとなります。
体を構成する素材・物質には立派な質量というか重さがあって、弾力も備えているのですから、息を取り込んで膨らんだ体は、その後は縮むしかありません。そこに意識的な力を加えることはエネルギーの無駄以外の何ものでも無く、そのような無用の手出しをすることで、却って凝りや強張り・過緊張からの解放を遠ざけてしまいます。
そもそも命とは、誤解を恐れずに、表現の不充分さも承知で言うならば、自分が意識して頑張っているからそこにあるものとはちょっと違うものの筈です。
勿論頑張って働いてご飯を食べて生活を維持しているのですけれど、それ以前に、その自分の頑張りだけではどうしようもないもっと大きな力の中で、循環して守られて育まれている、そんなものでは無いのかと素直に感じるのです。
呼吸とは最も身近、というよりも自分の内に宿っていて、その大自然の恩恵、自分一人の、人間だけの頑張りではどうしようもない大きな何かに触れて思い出すきっかけとなる、最高の営みであるとここに改めて記述させて頂きます。
命は与えられたものでありますし、自分一人ではどうしようもないバランスとタイミングとの奇跡の集合体であるということ。
息を自意識で積極的に吐くことなど、ましてやしっかりと息を吸い込もうとすることなどは、本当に体の自然に任せた呼吸、その心地好さを一度でも味わったなら、自分が、自分達が頑張れば何とかなるというような、ある意味人間の傲慢さ悪い所をこんなに表しているものは無いとさえ感じてしまいます。
全身や全神経に力を入れて、力で踏ん張ることに生きる意味付けをして来た人達にはがっかりするようなことではありますが、そのような表層的な力で維持しているような社会では、当然のように眠れない人が増えるでしょう。
頑張りまくっているご本人が興奮から冷めやらず眠れないだけならある程度仕方が無いにしても、その影響をもろに受けてしまう繊細な人々にも常時 " ON " の波は侵入して来ます。
何せ、力を抜くチャンスを棒に振ってまでして維持させている世界ですから、
その緊張が世間に蔓延し、席捲しているのです。
このことは、例えば血圧測定なんかにも如実に違いとして現れることがあります。
自意識大活躍で「吐いた・吸った」の名ばかり " 深呼吸 " や腹部に偏った膨張感を生んでしまう " 腹式呼吸 " と、本当に自然の摂理に全部任せた純粋な " 呼吸 " と、もしも血圧で悩んいる方が居られるようでしたら、どれが本当の意味でのリラックス感解放感をもたらしてくれ数値を正常値に近付けてくれるか、是非とも比較してお試しください。お金は一銭も掛かりません、副作用も当然ながら一切ありません。
体が息を排出する時は、人間が本当の意味で完全にリラックス出来る最大で最高のチャンス・瞬間です。
その時に肩や肩甲骨は重力に従順に、安心して地の方向へと下がってくれます。
その下向きのベクトルと対照を成すように、脊柱は天空の方へとまるでそれが永遠かと思える程、時間の感覚を忘れる位の伸びやかさで実際に伸びて行きます。
この感覚は恰も、天に昇る龍が如くです。
もしかすると本当の呼吸に目覚めることとは、背骨に龍を宿すことなのかも知れません。
このような質のエネルギーで育まれた社会は、同じ活力でもきっと、今とは全然違った生命力を帯びるのではないかと感じるのです。
今日も最後までお読みくださりありがとうございました。
次回もまた、どうぞ宜しくお願い致します。

つづく

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