気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その79~

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本日もお読み頂きまして誠にありがとうございます。
引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。
何らかの不調や不具合は、その種類や捉え方次第で生き方の転換点にも成り得るし、力の出し惜しみへの理由付けにも成り得ることを書いて来ました。
後者のことをコンフォートゾーンなどと言ったりもします。物凄く卑近で俗な例を挙げますと、休日の朝に余りの心地好さに二度寝三度寝を重ねると、その時は良くても結局は寝過ぎで却って疲れが抜けずに翌日の活力までが落ちてしまうといった事になりますでしょうか。
あるタイミングで意を決して体を起こすこと、背骨を立てること、自分の脚・足で立つことが、本当の意味での心地好さ・充実を生み出します。
覚えてくださっている方も居ると思います、このブログで頻繁に述べていた立つということ、力を込めて地面を踏みしめるのでは無く、逆に全ての力感を緩めて委ねることで自分の意識や意思とは無関係に体は立ち姿勢は構築されることを。
同じ委ねるにしても、このように自分自身の中心軸を鉛直方向に純粋に委ね切れないまま、先に水平方向の他者や物に委ねることを中心として多くの関係性を形作ってしまっているのが現状だとすると、この自分で立つという決断がそう生易しいことで無いのは充分に理解出来ます。
「 " 人 " という字は互いに支えあって出来ている」という例えに代表されるような関係性は一見すると分かり易いですが、ちょっと共依存臭も帯びています。
つっかえ棒を外されるといとも簡単に倒れてしまう、この " 人 " という字のような関係性は、一人一人が弱い立場としての人間性をよく表してもいますが、ここには先程久し振りに述べたような、先ずは自分のその場所に委ねるという観点が欠落しています。
子供は小さければ小さい年代ほど、親を始めとする周囲の存在に頼り委ねるのが当たり前ですが。
建築という作業、建物を建てたり、道路を敷いたりする時に於いて、重要なのは水平を取ることだと思います。
今暮らしている場所は全て、水平を綿密に測って作られている筈です。
なので、人間一人一人がその上に姿勢を整えて点在すれば、その体を貫く中心軸・背骨は全て並行して縦に伸びている、と、思ってしまうかも知れません。
これはどうしても、肌感覚で捉え易い距離感のみで把握してしまうからこういう誤解を生んでしまうのですが、この距離感を、地図でしか見られないような広範囲に拡大して捉え直して見てもらいたいのです。
実際の地面には起伏があり、ある程度それを活かして道を舗装しますからここでは高架を想像してみましょう。
水平にずっとずっと何処までも伸びる、県や国の境も海も超えるようなずっと水平の高架道路です。
これは、最早水平では無いのがお分かりでしょうか。水平線は伸びれば伸びる程、地球の丸みに沿って実は水平では居られなくなってしまいます。
こんな回りくどい例を作らなくても、北極点に立つ人とオーストラリアに立つ人の正中線が並行である訳が無いのと同じで、そうなんです、その真実の視点で見ると、僕達一人一人の体を貫く中心線は、その一本一本が其々地球の中心点に向かって繋がっていますから、複数の人がどんなにくっついて真横に居ても、厳密に言うとそれは並行では在り得ません。
現実としてお互いに肉体を纏った存在である限り、全く同時に全く同じ場所に複数の存在が居ることは不可能となります(※肩車すると居られますが、それだと支えを受け持つ立場と乗っかるだけの存在というはっきりとした違いが発生してしまいます)。
この真実に気付くだけでも呼吸の深さは見事に変わってしまいます。
自分という存在が、他に代えの利かない唯一の尊い存在であることに、体も心もはたと思い当たってしまうからだと思います。
このように自分を先ずはその場に委ねようとすることは、体に不調や不具合があっては叶わないことなのかというと、残念ながらそうでは無いのです。
これは、自分の意思があればという前提条件は付きますが、その不具合や痛みが、果たして一方的な外部からの侵入者なのかどうかをよく捉え直した上で、それも全て込みで地球の中心点に向かって繋がる線に委ねてみるとどうなるでしょう。
その時にその条件で出来ること、今しか出来ないことを、体がきっと提案してくれると思うのですが。
このようなことは一見すると互いに頼らない希薄な人間関係を恰も奨励しているように受け取られるかも知れませんが、表面的な事はともかく、最も深い一点で全ての存在が繋がり結ばれていることに気付いてくださった方も居られるのでは無いでしょうか。
そのように自分で立つという意味を深く捉え直した一人一人が必要に応じて寄り添い助け合い協力し合う、共依存に陥らない共存という意味を、体はやっぱりちゃんと示し教えてくれるようです。

つづく




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