事務所・店舗仲介のコンサルティングをしていると、
「物件は提案しているのに全然反応がない」
「申込みまでは進むのに審査が通らない」
「どう動けば契約まで進められるのか分からない」
という相談をいただくことがあります。
特に不動産開業後間もない方や、
住宅仲介から店舗仲介へ挑戦している方からの相談で多いのが、
「良い物件がないから決まらない」という考え方です。
しかし実際には、物件そのものではなく、
・ヒアリングの仕方
・提案の仕方
・申込み時の準備
に原因があるケースも少なくありません。
今回は、実際にご相談いただいた飲食店仲介の事例を2つご紹介します。
※内容は個人情報保護のため一部変更しています。
相談事例①
3回提案しても全く反応がない飲食店案件
最初の相談は、飲食店出店を希望するお客様への物件提案についてでした。
相談者の方は、
・3回物件提案している
・一度も興味を持ってもらえない
・案内にもつながらない
という状況でした。
そのため、「新着物件が出るまで待つしかないでしょうか?」
という相談内容でした。
本当に物件が悪かったのか?
実際に提案内容を見せてもらうと、
物件自体が大きくズレているわけではありませんでした。
しかしヒアリング内容を確認していく中で、あることに気付きました。
それは、「なぜそのエリアで出店したいのか」
を確認していなかったことです。
店舗仲介ではよくある話ですが、
お客様が「〇〇駅周辺で探したい」
と言えば、そのエリアで探してしまいがちです。
しかし本当に重要なのは、
なぜそのエリアなのかという理由です。
改めてヒアリングしてみると…
そこで改めてお客様へヒアリングすることを提案しました。
すると意外な事実が分かりました。
お客様がそのエリアを希望していた理由は、
「昔から馴染みがあるから」というものでした。
つまり、そのエリアでなければならない理由ではなかったのです。
さらに話を聞くと、
出店予定の業態は大衆居酒屋。
ターゲットはサラリーマン層でした。
つまり、
・会社員が多いエリア
・仕事帰りの導線上
・夜間人口が多い場所
であれば十分検討可能だったのです。
本当の条件は別のところにあった
さらにヒアリングを続けると、できるだけ初期費用を抑えたい
という希望も見えてきました。
しかし、それまで提案していた物件には、
・敷金12か月
・スケルトン渡し
・高額な内装工事が必要
という物件も含まれていました。
条件だけを見ると、エリアや広さは合っています。
しかし実際には、お客様が考えている出店計画とはズレていたのです。
そこで、
・敷金負担の大きい物件
・スケルトン物件
・初期投資が大きくなる物件
を候補から外し、
・居抜き物件
・低コストで出店できる物件
・サラリーマン需要が期待できるエリア
に絞って再提案することにしました。
提案方法も変更
もう一つ改善したのが提案方法です。
以前は、「条件に合いそうな物件です」
という形で物件資料を送っていました。
しかし、それだけでは
なぜその物件なのかがお客様に伝わりません。
そこで提案時に、
・エリアの特徴
・サラリーマンが多い理由
・人通りの特徴
・視認性の高さ
・初出店でも挑戦しやすい理由
・初期費用を抑えられるポイント
を添えるようにしました。
すると、お客様からの反応が明らかに変わりました。
物件紹介ではなく課題解決
経験が浅いうちは、「条件に合う物件を探すこと」
が仲介の仕事だと思いがちです。
しかし実際には違います。
お客様は物件が欲しいわけではありません。
出店を成功させたいのです。
そのため、
・なぜ出店したいのか
・何を実現したいのか
・何に困っているのか
・何を不安に感じているのか
を理解することが重要です。
相談事例②
過去2回審査落ち…次こそ絶対に借りたい飲食店出店案件
次にご紹介するのは、飲食店出店時の審査に関する相談です。
相談者の方は、
・過去2回申込み
・どちらも審査落ち
・お客様がかなり落ち込んでいる
という状況でした。
そして今回は、「この物件だけは絶対に借りたい」
という物件が見つかっていました。
そこで、どうすれば審査通過率を上げられるのか
という相談を受けました。
過去の申込み内容を確認
まず確認したのは、過去2回の申込み時に何を提出したのかです。
話を聞くと、管理会社から求められた書類を提出しただけ
という状況でした。
もちろん間違った対応ではありません。
しかし飲食店の新規出店は、貸主側から見るとリスクの高い契約です。
そのため、言われた書類だけでは情報不足になることがあります。
貸主や管理会社が見ているポイント
個人で飲食店を開業する場合、
貸主や管理会社が特に気にしているのは次の3点です。
① 飲食店経験はあるか
未経験者なのか。
経験者なのか。
ここは非常に重要です。
貸主側は、「本当に営業を続けられる人なのか」を見ています。
② 資金力はあるか
飲食店の閉店理由として多いのが資金不足です。
そのため、
・自己資金
・運転資金
・資金計画
は重要な判断材料になります。
③ 長く営業してくれそうか
貸主にとって短期解約は大きなリスクです。
そのため、継続して営業してくれそうか
も見られています。
実施した対策① 経歴書を作成
まず提案したのが、借主の経歴書の作成です。
管理会社から求められていなくても提出することにしました。
内容としては、
・飲食経験年数
・勤務先
・担当業務
・店長経験
・マネジメント経験
・今回独立する理由
などです。
実際にお客様は、長年飲食業界で勤務し、店長経験もありました。
しかし、その情報が貸主へ伝わっていなかったのです。
実施した対策②
事業計画書と資金状況を整理
次に、事業計画書を整理しました。
さらに、預金残高も確認できる資料を準備しました。
例えば、
・自己資金
・開業資金
・運転資金
・毎月の収支計画
などです。
特に今回は、家賃約12か月分に相当する資金を確保していることが分かりました。
これは貸主にとって大きな安心材料になります。
実施した対策③
長く営業できる理由を説明
長期間営業できるかどうかは、
正直未来の話なので誰にも分かりません。
しかし、貸主が安心できる材料を増やすことはできます。
今回は、
・飲食経験が長い
・既存顧客の来店が見込める
・出店エリアに知人オーナーが多い
・相談できる環境がある
などを整理して説明しました。
実は大事だった保証会社選び
もう一つ大きかったのが保証会社です。
過去に利用していた保証会社は、
個人事業主に対して比較的厳しい傾向がありました。
そこで今回は、審査が始まる前の段階で、
「他の保証会社でも相談可能でしょうか」
と管理会社へ事前相談を行いました。
その結果、1社目で否決となった場合でも、
すぐに別保証会社へ切り替えられる体制を作ることができました。
保証会社については、
審査が始まる前の一言が結果を左右することもあります。
2つの事例に共通していたこと
今回ご紹介した2つの相談事例には共通点があります。
それは、物件が原因ではなかった
ということです。
1件目はヒアリング不足。
2件目は申込み準備不足。
どちらも、進め方を変えることで改善できる内容でした。
仲介の仕事は、物件資料を送ることでも、
申込書を提出することでもありません。
お客様の課題を整理し、
貸主や管理会社に伝わる形へ変換することです。
そこができるようになると、
案内率も、
申込率も、
審査通過率も大きく変わってきます。
最後に
私の仲介コンサルティングでは、
今回のような実際の案件をもとに、
・ヒアリング内容の整理
・物件提案方法
・案内時の進め方
・申込み資料の作成
・貸主や管理会社への説明方法
・条件交渉の進め方
などをサポートしています。
相談方法も、
スポットテキストでの相談
テレビ電話での相談
1件の契約完了まで伴走するスポット相談
「案件はあるのに決まらない」
「申込みまでは行くけど審査が通らない」
「事務所・店舗仲介の進め方に不安がある」
という方は、お気軽にご相談ください。
現場で実際に起きている問題を整理しながら、
一緒に解決策を考えていきます。