【直木賞作家に褒められた思い出】

記事
学び
 「他者の存在を認知している」、つまり、
 「あなたがそこにいることを私は知って
 います」、という意味の「ストローク」。
 この「ストローク」については、5つの
 望ましいとされる建設的な交流があるが、
 これを私自身の体験談を交えて紹介する。
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 さて今日は、③自分の欲しいストローク
 が来たら喜んで受け取る。についての話。
 ●作家に自分の演技を「凄いかった」と
  褒められて、「ありがとうございます」
  と答えた。
 肯定的な「言語的ストローク(褒める)」
 と言えるだろう。誇らしい思い出である。
 何年か前、私は、直木賞作家の難波利三
 先生原作の「大阪希望館」という舞台に
 出演した。戦争直後の大阪で警察が没収
 した米を出させ浮浪児を養っている私設
 の孤児院「大阪希望館」の物語で、私が
 演じたのは辻岡という新聞記者。原作に
 登場しないこの男、館長のやることなす
 ことに何かと言っては疑惑の目を向けて、
 度々やって来てはネチネチと嫌味を言う、
 という演者の実像とはかけ離れた人物だ。
 ミュージカル仕立て故にソロで一曲唄う
 場面もあるので、出番が短い割には難役
 であったが、当時の本職における自分を
 反映させてどうにか無事に演じおおせた。
 その公演終了後、小道具を片付けるため
 会場の外に出ていた私に、一人の年配の
 紳士が「あんた、うまかったなあ。感心
 したわ」とお言葉を掛けていかれたのだ。
 その時は、思いがけないお言葉に、ただ、
 「ありがとうございます」としか返事が
 出来なかったのだが、後で聞いて驚いた。
 その人こそ、直木賞作家・難波利三先生
 だったのである。改めて失礼はなかった
 かと震え上がりもしたが、後日、劇団に
 直筆で「辻岡が最も印象的だった。本人
 に会ったので、そう伝えておいた」旨の
 FAXが届いたので更に恐縮したものだ。
 にも関わらず、劇団内では無評価である。
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 この時は、予想外の高評価な言葉掛けに
 まごつき、「自分の欲しいストロークが
 来たら喜んで受け取る」ことができては
 いなかった。もっと自分に自信があれば、
 自ずと「ありがとうございます」に力が
 入り、お言葉を堂々と受け取れたと思う。
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 この「自分の欲しいストロークが来たら
 喜んで受け取る」の実践ができるように
 なるには、もっと強い自己肯定感を持ち、
 自分を信じる精神的資質が必要なようだ。
 その点、私もまだまだだと言うしかない。
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
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