ようこそおいでまし、RIONです。
第3回目は、宅録で『歌ってみた』のレコーディングをする歌い手さんにおすすめのオーディオインターフェースを紹介しようと思います。
#1、#2では、レコーディングに役立つマニュアルと反響音についてお話ししているので、よかったら是非覗いてみてくださいね。
はじめに
オーディオインターフェースの品質が録り音に影響する要因は大きく分けて二通りあります。
一つは「マイクプリアンプ」部分。
マイクからの激よわな電気信号をパワーアップするための部分で、この部分ので音の存在感や太さなどの「音色」が決まります。
低品質なものだとノイズが多く乗ってしまったり音が細く、チープになってしまいます。
本来は専用の機材を使いたところですが、事実とても高価であることと、そのほぼ全てが業務用であるため、宅録ではオーディオインターフェース内部のマイクプリアンプを使うというのがスタンダードになっています。
マイクを直接ケーブルでオーディオインターフェースに繋ぐ一般的な方法ですね。
そして二つ目は「ADコンバーター」。
「は?」って感じだと思いますが、簡単にいうとマイクからの「音」をPCに取り込むために「データ」に変換する部分のこと。
よく製品ページでビットレートが24bitやらサンプリングレートが192kHzやら宣伝されているのはこの部分の話です。
ADのAはアナログ、Dはデジタルの頭文字で、この部分で「アナログの音」から「デジタルのデータ」に変換してくれるということです。
この部分でどれだけ綺麗にデータに変換されるかでPCに取り込んだときのクリアさなど「音質」に大きく影響してきます。
いくら良いマイクやマイクプリアンプを使って「音」のクオリティを高くしても、最終的にこの変換がうまくできないと意味がなくなってしまいます。
この二つのクオリティが「まずまず」以上のオーディオインターフェースであればMIXで歌のクオリティを上げやすくなるので、手を出しやすい安価な製品の中から紹介していきたいと思います。
主にボーカルレコーディングを前提としたおすすめですが、機能や特徴も簡単に説明しているので使う用途や目的に合わせて選ぶ際に参考にしてくださいね。
◇ 「Focusrite Scarlett シリーズ」
まずはこちら、イギリスのメーカー「Focusrite」社から出ている製品シリーズです。
プロ用機材も多く扱い、伝説の音響エンジニアが開発に携わったことから多くの注目を集め、欧米、特にヨーロッパで多くの人に使われているメーカーです。
最大の強みは、マイクプリアンプ部分にその名を知らしめたFocusrite社の王道マイクプリアンプを模した物が使われていること。
マイクで録る音をかっこ良くしてしまうプリアンプが内蔵されているんです。これがまたボーカルとの相性抜群。
宅録ではこれを使っていればひとまず安心です。
また、公式にはiOS(iPhone/iPad)での使用は想定されていないようですが、電源共有可能なUSBハブと変換コネクターを使用することで、iOSでも使うことができるようです。
グレードの低い順に、
・Scarlett Solo ¥12,960 (ループバック×)
・Scarlett 2i2 ¥18,500 (ループバック×)
・Scarlett 4i4 ¥23,400 (ループバック○)
・Scarlett 8i6 ¥35,800 (ループバック○)
・Scarlett 18i8 ¥45,360 (ループバック○)
・Scarlett 18i20 ¥56,650 (ループバック○)
というラインナップになっています。
グレードが上がるにつれ同時に録音できるボーカルの人数や楽器の数が増え、できることや機能も増えていきます。
音質に大きな差は出ないと思いますが、少しずつ上がっていくと思ってもらって良いです。
ほとんどの場合ボーカルは一人ずつ録りますし、1チャンネル分のScarlett Soloで十分じゃないかと思います。
ただし、ライブ配信目的のループバック機能が必要な場合はScarlett 4i4以上のグレードにする必要があるので注意。
もしもっとお金が出せるのであれば、同社の上位シリーズである
Clarett 2Pre ¥45,500
もおすすめです。
一度に録音できるチャンネルは2つですが、Scarlettよりクリアな音で録ることができますし、出力の音も非常に高音質ですのでPCで聴く音楽やYouTubeの音もめちゃくちゃ良くなります。
上位シリーズなだけあってループバック機能ももちろん付いていますよ。
◇ 「Audient evo シリーズ」
そしてこちらは「Audient」社から出ている製品シリーズです。
この会社もイギリスのメーカーで、業務用の大型コンソールやモニターコントローラーなどを手掛け、超有名アーティストのプライベートスタジオ用に特注で機材を製作するなど、まさにプロ御用達と言えるメーカーです。
最近はコンシューマー向けのオーディオインターフェースも出していて、その製品の安心感やクオリティから多くの人に使われています。
ここで紹介する「evo シリーズ」も例外ではなく、値段やサイズに似つかない音質と機能を併せ持った非常にクオリティの高い製品となっています。
グレードの低い順に、
・evo4 ¥13,840 (ループバック○)
・evo8 ¥22,700 (ループバック○)
というラインナップになっています。
目玉機能は何と言っても「スマートゲイン機能」です。
「スマートゲイン」とは、マイクを繋げて歌うだけで「入力音量を自動的に設定してくれる」という何とも初心者に優しい機能。
宅録を始めたばかりの人にありがちな、レベルオーバーによるクリップを勝手に回避してくれます。
ただし、スマートゲイン機能で音量を決める時は、できるだけ大きな声で歌うようにしましょう。
evoが「オッケー、この人は小さな声だからこのくらいね」と設定した後、明らかに大きな声で録音してしまうと「話が違う」ってなってクリップします。
スマートゲインを使う時は「この曲ではこんだけ大きい声で歌いますよー」って教えてあげてください。
大声で叫んだりはしなくて良いので、これから録音する曲の中で一番声が大きくなる部分をしっかり歌えば十分です。
ちなみにこちらのシリーズはiOS対応で、iPhoneでもiPadでも使えます。
◇ 「Steinberg URC シリーズ」
Steinberg社はYAMAHAの傘下であるため、日本語でのサポートが充実していてとても安心できるメーカーですが、よくApple製品(MacやiOS)との相性が悪いと言われています。
私が初めて買ったオーディオインターフェースも、このSteinberg URシリーズ(URCシリーズの前身モデル)の製品でした。
こののシリーズは値段、仕様、機能共に先述のFocusrite Scarlett シリーズと似ているためよく比較される製品シリーズになりますが、プリアンプは劣る印象があるので、特に理由がなければFocusrite Scarlett シリーズをおすすめします。
グレードの低い順に、
・UR22C ¥17,820 (ループバック○)
・UR24C ¥20,800 (ループバック○)
・UR44C ¥33,660 (ループバック○)
というラインナップになっています。
これより下位のグレードに、UR12とUR22mkIIという製品がありますが、URシリーズとURCシリーズは「下のグレードになるにつれノイズが多くなる」という特徴があります。
これはメーカーが公言している情報で、私自身も実際に体感したことがあります。
そのため、下位グレードのUR12とUR22mkIIはおすすめしません。
音質の面で言えば、Focusrite Scarlett シリーズが一枚上手の印象ですね。
反面、URCシリーズはiOSでの使用が想定されていて、iPad用のミキサーソフトも用意されています。
おわりに
いかがでしたか?
業界の人間でない人は疎かにしがちなオーディオインターフェースですが、主要な役割と機能を知っておけば、自ずとどんな製品が良いかわかってくるかと思います。
とはいえ一目でそのオーディオインターフェースが良いか悪いか判断することは難しと思うので、是非今回のおすすめを参考にしてもらえると嬉しいです。
オーディインターフェースは音響機材の中でも特に長く使うものだと思うので、妥協をせず、本当に欲しいもの、必要なもの、良いものをしっかり選んでくださいね。
次回以降の記事では、おすすめのボーカルマイクや値段別のオーディオインターフェース、Garagebandの使い方などの話ができればと思っています。
是非また覗きにきてください。
それでは。
RION