#4【歌ってみた】ボーカル用マイクの選び方

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音声・音楽
ようこそおいでまし、RIONです。
第4回目は、宅録で『歌ってみた』のレコーディングをするためのボーカル用マイクの選び方を紹介しようと思います。

#3では、おすすめのオーディオインターフェイスを紹介しました。
#1、#2でも宅録に役立つお話をしているので、よかったら是非覗いてみてくださいね。

はじめに

最初からおすすめの製品を紹介しても良いのですが、それを鵜呑みにして後悔して欲しくないので、まずはボーカルマイクの選び方から紹介しようと思います。


ボーカル用のマイクといえば、大きく分けて種類が2つあるのをご存知ですか?

『コンデンサーマイク』『ダイナミックマイク』です。

コンデンサーマイクは主にレコーディングで使われるもので、音楽をやらない人はほとんど目にしないかと思います。

ダイナミックマイクは、歌番組とかでアーティストさんや司会の人が使っているので馴染みがあるかと思います。
カラオケ店に置いてあるマイクもダイナミックマイクの1種ですね。

それぞれ良し悪しがありますが、いいとこ取りの製品もあるので後ほど紹介します。

マイクは人それぞれに合うものと合わないものがあるので、世に出てるたくさんのマイクから選ぶのは大変ですが、この2つの違いを知るだけでとりあえず半分には絞れてきます。

差はあれど高い買い物ですので、後悔のないよう慎重に選んでいきましょう。

◇ コンデンサーマイクとダイナミックマイクの違い

① 感度の高さ

一般的に、コンデンサーマイクは感度が高くダイナミックマイクは感度が低いです。

『感度の高さ = 小さな音の拾いやすさ』

と思ってもらって大丈夫ですが、言い換えると、

『感度の高さ = ノイズの拾いやすさ』

とも言えます。

つまり、
コンデンサーマイクはノイズ含めた小さな音をよく拾い
ダイナミックマイクはノイズ含めた小さな音を拾いにくい
ということですね。

コンデンサーマイクの方がボーカルの繊細な表現も収録できますし、高音も余すところなく録音してくれますが、その反面、小さなノイズ部屋の反響音も死ぬほど拾います。

コンデンサーマイク=高音質と思われがちですが、これは大きな間違いです。

10万円近くするコンデンサーマイクより高音質なダイナミックマイクもありますし、録音環境によってはダイナミックマイクの方が適役だったりします。


② 扱いやすさ

先程解説した「感度」が高いと、手でマイクを持って歌うことができません。

触っているだけで、手とマイク本体の摩擦で発生したノイズを拾ってしまうからですね。

そのため、コンデンサーマイクはマイクスタンドショックマウントを必ず使わなければいけません。

ライブや歌番組でダイナミックマイクが使われている理由の一つです。

いろんな音が飛び交うライブや番組のステージでは、とにかく全ての音を拾ってしまうコンデンサーマイクをボーカル用途に使うことはほとんどありません。

(観客の歓声や盛り上がりを収録する際には、あえてコンデンサーマイクを使うことがあります←ホールやアリーナで天井にぶら下がってるやつ)

つまりコンデンサーマイクは、静かでノイズ対策や反響音対策がバッチリされている環境向け、ということ。

言い換えれば、コンデンサーマイクを使う場合は、その他の録音環境にも配慮しなければいけないということでもあります。

使用用途が限られるので、扱いやすさとしてはダイナミックマイクの勝利です。


③ 壊れやすさ

コンデンサーマイクは非常に壊れやすいです。

湿度が高くても壊れるし、低くても壊れます。(最適な湿度は30〜50%)
ちょっと衝撃を加えただけでも一発で壊れます。

使わないときは必ず「防湿庫」に入れて保管しなければいけません。

その反面、ダイナミックマイクはライブで振り回したり、パフォーマンスをミスって派手に落としても一発で壊れたりはしないです。

もちろんあたりどころが悪かったり、運が悪いと壊れることはありますが、コンデンサーマイクよりはるかに頑丈です。

ONE OK ROCKのTakaさんは昔よく振り回してましたね。
カメラの入っているライブでもブンブン振り回したあげく派手に落として「ゴツッ!!」とかやってるのを何度か見たことがあります(笑)

保管方法についても、ダイナミックマイクに軍配が上がりました。


④ 電源が必要かどうか

コンデンサーマイクを使うためには、「+48Vファンタム電源」という電源が必要になります。

最近は大体どのオーディオインターフェースにもついていますが、こういった知識も必要ですね。

何も知らないまま買ってしまうと、知らない間に壊してしまった、なんてことになりかねません。


⑤ 値段

これが一番ネックですね。

ただ、ここでいう値段は単純に販売金額の差ではなくて、クオリティに対しての値段という意味です。

つまりコストパフォーマンスですね。

最近はめちゃくちゃ安いコンデンサーマイクも発売されてたりして、実質的な値段の差は無いように見えます。

でも、3万円のダイナミックマイクと同じクオリティのコンデンサーマイクを買おうとすると、大体6万円くらいはしてしまいます。

3万円のダイナミックマイクはかなり良いものが多い反面、3万円のコンデンサーマイクは平凡なものが多いです。

それに加えてノイズや反響音の対策をしなければいけないので、さらに必要なお金は増えていきます。

コスパは圧倒的にダイナミックマイクの方が良いですね。

◇ 結局どっちを買えば良いのか

大まかな特徴を見てきましたがどうでしょうか。

「ダイナミックマイクでいいじゃん」

となってしまいそうですが、やっぱりコンデンサーマイクが重宝される理由ももちろんあるんです。

「コンデンサーマイクでしか録れない音」というのがあって、普通のダイナミックマイクではどうやっても代用が効きません。

繊細さ、高音の質感、存在感、抜け、色々な言葉で表現されますが、しっかりと整備された環境ではこのコンデンサーマイク特有の音で録音したくなるのです。

実際にミックスでオケと混ぜた時も、コンデンサーマイクとダイナミックマイクでは大きな差が生まれてしまいます。

つまり何が言いたいかというと、

・部屋の反響音対策をしっかりとできる
・環境ノイズの対策をしっかりとできる
・マイクや録音についての知識がある or 勉強する気がある
・ちゃんとしたマイクを買えるだけのお金がある
・良い音で録りたいという気持ちがある

という人には、全力でコンデンサーマイクをお勧めします。

「ちょっとハードル高いな」って人は、まずダイナミックマイクを買って使ってみてください。

コンデンサーマイクのプロっぽさに憧れる気持ちはすごくよくわかりますが、環境が整っていないうちはお勧めしません。

ダイナミックマイクでも使っているうちに色んな知識がつきますし、どこかで「コンデンサーマイクの音が欲しい」ってなる時がきます。

そうなったということは、知識も経験もやる気もあるって状態だと思うので、是非お金を貯めて良いコンデンサーマイクを買いましょう。

◇ いいとこ取りのマイク

「うーん、でもなぁ、やっぱりコンデンサーマイクが欲しいなぁ」

って人、わかります。

そんな人たちには、コンデンサーマイクとダイナミックマイクの特徴をいいとこ取りしたマイクを紹介します。


それがこちら、

◇ TELEFUNKEN M80 ¥25,300〜 (色で値段が変わります)


「それを早く紹介してよ。」

って言われそうですが、それぞれの違いを知って初めてこのマイクの良さがわかると思ったので、まず先にマイクの解説をしました。

簡単に説明すると、コンデンサーマイクの音を目指して作られたダイナミックマイクです。

コンセプトとしてはありがちな感じがしますが、TELEFUNKENというメーカーに注目です。

このメーカーは、ノイマン、AKGと並び世界3大マイクメーカーと言ってもいい超老舗メーカーで、何十年も前からプロ用のマイクを作り続けています。

代表的なコンデンサーマイクには120万円以上するマイクもあって、もちろん現代でも超有名アーティスト達のレコーディングで使われています。

そんなメーカーが作ったコンデンサーマイクの音がするダイナミックマイク

悪い製品なはずがなく、業界ではこのM80も有名で楽器録りには必ず使うというエンジニアさんもいます。

ちなみに私が高校生の時初めて買ったマイクがこのM80でした。

めちゃくちゃお気に入りで、8年たった今も手元にあります。

もちろん本物の高級コンデンサーマイクには及びませんが、高音の綺麗さは並のコンデンサーマイクより上です。

何より本質はダイナミックマイクなので、コンデンサーマイクより環境ノイズや反響音を拾いにくいですし、扱いや保管も難しくありません。

まさに初心者の宅録に適したマイクですね。

このマイクで物足りなくなったらもうコンデンサーマイクに手を出すべきでしょう。

SHURE SM7B という高級ダイナミックマイクもありますが、これはこれでかなり扱いが難しい(初心者には特に厳しい)のであまりお勧めしません。

おわりに

いかがでしたか?

マイクはボーカルの音質に直結します。

高音質かどうかというだけでなく、マイクにはそれぞれ音のキャラクターがあって、ミックスでも変えられない絶対的なものがあります。

反対に、使う人の録音環境に非常に敏感で、正しく選ばないと恩恵どころか悪いところばかり引き出してしまうことになりかねません。

せっかく高いお金を出して買うわけですから、長く使える良いものを手に入れてくださいね。


機材やレコーディングの話になるとどうも止まらなくて毎回長くなってしまうのですが、少しでもマイク選びの参考にしてくれたら嬉しいです。

次回は今回の続きとして、おすすめのボーカルマイクをいくつか紹介できればなと思っています。

是非また覗きにきてくださいね。


ではまた。


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