#5【歌ってみた】おすすめのコンデンサーマイク

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音声・音楽
ようこそおいでまし、RIONです。
今回は、前回ブログ『#4【歌ってみた】ボーカル用マイクの選び方』の続きとして、おすすめのコンデンサーマイクを紹介しようと思います。

#4では、マイク選びで後悔しないための選び方や、マイクの基本的な解説もお話してるので、まだ見てないよって方是非下のリンクからご覧ください。

はじめに

前回は長々とマイクの種類やら特徴やらを解説してしまったので、今回はコンデンサーマイクに絞って、具体的な製品をいくつか紹介できればと思っています。

コンデンサーマイクはとても感度が高いため、歌を録る部屋や録音環境を選びます。
安易に手を出すのではなく、ノイズ対策反響音対策など、録音環境が整っていない場合はまずそちらの整備をしましょう。


マイクに出せる金額は人それぞれだと思うので、マイク本体の価格帯別におすすめの製品をピックアップしました。

・【お試し】コスパ重視帯 〜3万円
・【定番】バランス重視帯 3万円〜10万円
・【スタジオレベル】音質重視帯 10万円〜

でそれぞれ紹介します。
ぜひ予算に合った価格帯から選んでみてくださいね。

◇【お試し】コスパ重視帯のおすすめマイク 〜3万円

「コスパ重視帯」は、あくまで「お金はないけどコンデンサーマイクを使ってみたい」という初心者向けで、お試し要素が強くなってくる価格帯だと思うので、本格的に「歌ってみた」をやろうとしている方や、音質を重視する方はバランス重視帯以上のマイクが好ましいです。

反対に、「録音環境は全然整っていない(何もしてない)けど、コンデンサーマイクで録音するとどうなるのか知りたい」という方は、「コスパ重視帯」を買ってみて、それで録った音を基準に録音環境を整えていっても良いかもしれません。

その中でも、ギリギリ「歌ってみた」に使えそうなマイクを2つ紹介します。

① audio technica AT2050  ¥23,067


かなり安価なものの、最低限の品質と扱いやすい音質で初心者に人気のオーディオテクニカ20シリーズの中からこちら

このAT2050はシリーズ中一番上のグレードになりますが、歌ってみたに使える音としては最低ラインだと思います。

下の2機種と比較すると、
・AT2020
周波数バランスこそ取れていますが、高域が綺麗に録れない印象。
なんだか音がガサガサと汚く聞こえたり、サ行などの歯擦音がノイズっぽくなってしまいます。

・AT2035
基本的な音質ベースはAT2050と同じ印象で、高域の音質に目立った差はありませんが、周波数バランスが大きく違っていて中低域が強めに録れる印象。
ミックスでの調整が効くとはいえ、加工が前提となるのはあまり好ましくないです。

値段的に無理のない範囲ですし、ファーストチョイスとして音質周波数バランスも無難なAT2050をおすすめします。

② LEWITT LCT440PURE ¥24,800

このマイクは欧米のアマチュア界でよく使われているイメージですね。

高域に特徴があり、良くも悪くも音の輪郭が見えやすいです。

声質が元々キンキンしやすい人や、声の線が細い女性、倍音が多い男性の声(えなりかずきさんや哀川翔さんのような声)には向かないですが、声が滲みやすい人柔らかい声質の人はうまくバランスを取れるかもしれません。

クリアというよりはジリっとした高域が目立ってくるような音の印象です。

質はともかく、とりあえずクッキリ、ハッキリと主張させたい時には良いかもしれませんね。

◇【定番】バランス重視帯のおすすめマイク 3万円〜10万円

動画投稿が中心の「歌ってみた」が主な活動内容であれば、このバランス重視帯のマイクでひとまずなんとかなります。

この価格帯のマイクで綺麗に録れない場合は、ほぼ100%その他の録音環境が原因と言って良いでしょう。

まれに「クセの強いマイク」を買ってしまい、尚且つ「声質と絶望的に合っていない」というケースでうまく録れない場合がありますが、自分の声質とマイクの特徴を確認してから買えば問題ないです。

価格的にもお試しとは言えないので、後悔しないようにしっかり選んでいきましょう。

① audio technica AT4040 ¥32,300

コスパの良いマイクとして紹介したAT2050を含む20シリーズから、1段階グレードアップした40シリーズの末っ子です。

とにかくクセがなく、どんな声質にも、どんなジャンルにも対応できるマイクで、一つ上のAT4050は似たような音ですが、プロの現場やスタジオでも使われたりするマイクです。

が、反面「おもしろみ」や「存在感」というものが弱い印象です。

曲に馴染ませたい楽器や、主役から一歩引いた脇役のバックボーカルハモリパートの収録では重宝しますが、主役のメインボーカル用としては物足りないことが多いです。

マイクの品質としてはそこそこなので、自分の声質に合うマイクがいまいちわからないという人や、歌うジャンルが幅広い人にはおすすめです。

イメージとしては、「おとなしくて目立たないけど優秀で人に嫌われないタイプ」みたいな感じです。

② NEUMANN TLM102 ¥74,800

マイクメーカーの王道、NEUMANNのマイクです。

NEUMANNのマイクとしてはかなり安価に手に入れることができるので、アマチュアやセミプロに人気の製品です。

AT4040とは違い、結構グイグイと主役を張りにくるようなタイプ。

ただ、個人的な印象として少し「イガイガ」するように感じます。

なめらかな音、聴き心地の良い音を目指す人や、元々の声にかなりパワーがある人には向かないかもしれません。

反対に、ガツガツとハードな音で押していきたいけど、自分の声に力強さが足りないって人にはおすすめです。

イメージとしては、「不器用で明るい主人公タイプ」です。
クラスに馴染むというより、常に目立っていて下手するとクラスから浮いてしまうような立ち位置の子いますよね。

誰にでも明るくガツガツ接するので、そういうのが苦手な人には距離を置かれてしまうような感じでしょうか。

③ WARM AUDIO WA-251 ¥93,800

手頃な値段で手に入る真空管マイクです。

このWARM AUDIOというメーカーは、数多くの有名な高級ヴィンテージ機材を安価な値段で再現しているメーカーです。

完全オリジナルの製品があるのかは分かりませんが、ほぼ全ての機材が高級機の再現モデルなので、資金があまり出せないアマチュアやフリーのエンジニアに人気があります。

こう聞くとパクリ安物メーカーみたいで印象が悪いですが、再現力の高さや、単純な性能の良さ、コスパなどが評価されていて、プロでもこのメーカーの機材を持っているという人は多いです。

この真空管マイクもTELEFUNKENというメーカーの超高級マイクをモデルとして制作されていますね。

本物とは比べられませんが、真空管マイクの良さ、味付けの傾向などは共通点があります。

ビギナーには少しハードルが高い値段ではありますが、この真空管マイクは単純に存在感のある太い音を録れるので値段以上の価値があると思います。

存在感はあるのに耳に痛くないので、声質を選ばずに実力を発揮してくれます。

イメージとしては、「大柄だけど温厚な性格の安心タイプ」でしょうか。
こういうタイプって自然と異性にモテますよね。

見た目はゴツいのに優しくて気が利いてめちゃくちゃ良いヤツで...みたいな。

声の線が細くなりやすい人には特におすすめです。

◇【スタジオレベル】音質重視帯のおすすめ(?)マイク 10万円〜

さて、いよいよ値段無視の音質重視帯です。

プロのスタジオはもちろん、有名アーティストの音源で使われまくっているマイクも紹介するので、「買えないけど興味ある」という人もぜひ見てみてくださいね。

本格的に活動をしていく方は、ここで紹介するような高級マイクを目標にお金を貯めるのも良いかもしれません。

一度手に入れてしまえばそれ以降ずっとそのマイクで録れるわけですから、一生ものと思って購入を検討してみてはいかがでしょうか。

① NEUMANN TLM103 ¥141,900

個人的に一番好きなマイクです。

先ほど紹介した「TLM102」の姉妹機的なマイクで見た目もよく似ていますが、本体のサイズが一回り大きく、値段は倍近くします。

中の仕組みを話し出すと長くなりますし、何よりかなりマニアックな話になってしまうので、簡単に音の特徴をお伝えします。

一言目にくる言葉は「美しい」ですね。

とにかく上品で綺麗な音がします。
低音から高音まで綺麗に、耳障りな音一切なしに表現してくれるので大好きなマイクです。

イメージとしては、「才色兼備、容姿端麗、性格も良い御令嬢タイプ」でしょうか。

特別目立ちたがったり派手な行動をするタイプではないけど、廊下を歩いてるだけで目を引くような美しい容姿を持っているお嬢様で、性格もいいので誰とでも仲良い、みたいな...笑

羨望の的ですね。

とにかく、音の「美しさ」のみで目を引くような存在感のあるマイクということです。

耳障りな音もなく、クセもないので、色々な声質、ジャンル、プリアンプなどとマッチします。

AT4040より華やかで透き通ったクリアな音なので、個人的には完全な上位互換だと思っています。

ただし、マイク自体にめちゃくちゃパワーがあるタイプではないので、ハードすぎるロックとかメタル系には向かないかもしれません。

② NEUMANN U87Ai ¥424,000

言わずと知れた、王道にして基準の超定番マイク。

おそらく現代の日本では一番使われているマイクではないでしょうか。
もしかしたら世界でも一番使われているかもしれません。

「中域が太くて存在感がある」とよく言われていますが、個人的に特筆すべきは高音の滑らかさだと思っています。

高域を大きくブーストしても全く耳に痛くない耳に刺さらないようなこの特別な高音は他のマイクではまず代用が効かないと思います。

たくさんのマイクの音を聴いてきましたが、このマイクと同じ高音の滑らかさを持ったマイクにはまだ出会っていません。

みなさんが普段聴いているプロの曲は、おそらく半分くらい(以上?)がこのマイクを使って制作されています。

例えるのはちょっと難しいのですが、とにかく滑らかで柔らかい高音と、存在感の塊みたいなマイクです。

持論ですが、このマイクの音が嫌いな人はいません。多分。

③ NEUMANN M149 Tube ¥680,000

またまたノイマンですが、こちらは真空管マイクです。

実写版「美女と野獣」の主題歌「Beauty And The Beast」のボーカル収録で使われていましたね。
アリアナ・グランデが歌っているやつです。

他にも多数の名盤でボーカルの収録に使われています。

特に欧米のポップスでは真空管マイクがかなり多用されているので、普段洋楽を聴く人には聴き馴染みがある音かもしれません。

真空管ではないマイクと比べると音がとにかく太くて独特です。

クリアな音というよりは、すでに味付けがされたような音でキャラが強いので、何も考えずに真空管マイクで録ってしまうと、後から「曲に全然合わない...」ってなることもあります。

例えば、ハロプロ系アイドルの曲ではこういった真空管マイクよりも、U87Aiのようなマイクの方が向いていますね。

とはいえ、このレベルのマイクになってくると「歌ってみた」のレベルからは遥かに逸脱しているので、間違いなく最強クラスの音にはなります。

④ BRAUNER VMA ¥1,119,800

すでにアホみたいな値段になってきてますがまだまだいきますよ。

このマイクは業界人じゃないとまず知らないと思います。

説明するより聴いた方が早いですね。

ONE OK ROCKのTakaさんが「Hello」という曲をカバーした時のミュージックビデオで使われています。

おそらく音源の収録も同じマイクだと思うのですが(違ったら恥ずかしい)、音像が馬鹿デカくて、「主役の中の主役」みたいな音になります。

ツヤと空気感が半端ではないです。

もちろんTakaさんの声質と歌唱力が化け物クラス、ということもあるのですが、こんな音で録れてしまったらミックスですることなんてほとんどないんじゃないかと思うほどの音です。

プロ業界でも所持率はあまり高くないんじゃないかと思います。
もちろん私も持ってません。

⑤ TELEFUNKEN ELA M251E ¥1,320,000 (参考価格)

どうですかみなさん、そろそろ金銭感覚がバグってきましたか?

モノラルのマイク一つなのに普通乗用車が買えてしまう値段ですね。

もう説明するのも申し訳なくなってくるレベルです。

完全受注生産なので、直接問い合わせないと詳細な値段がわかりません。

もう良さを伝えるための褒め言葉が思いつかないので、洋楽のポップスを聴いてください。

一応解説すると、TELEFUNKEN社の伝説的なヴィンテージ真空管マイクであるELA M251を、TELEFUNKEN社自身が忠実に再現して甦らせたモデルです。

オリジナルはとても古いマイクなので、全く同じパーツで作ることが難しいため、現代の技術とパーツで精巧に再現しているようです。

おそらくアリアナ・グランデの「positions」という曲の収録で使われているのもこのモデルだと思います。
オリジナルか現行版かは判別できませんが。

オリジナルは本当に伝説的なマイクなので、世に出回っている個体数も数えるほどしかないでしょうし、所持している人の数は個体数以上に少ないです。

一般人がどれだけお金を積んでもオリジナルを手に入れることはほとんど不可能ですが、現行品はお金さえあれば手に入れることができます。

オフィシャルの再現モデルなのでほぼオリジナルと言っていいですが、果たしてこの値段で買うという人が世界に何人いるんでしょうか。

おわりに

いかがでしたか?

音質重視帯の最後の方はもうネタみたいになってましたが、プロはこんなマイクを使っている、ということを知っているだけでも、自分の目指すものが見えやすくなります。

例えば、132万円するTELEFUNKEN ELA M251Eの音を気に入ったとしましょう。

これ自体はとても買える値段ではないけど、「真空管マイクである」という知識さえあれば、自分でも買える値段の真空管マイクを探して買うことや、このマイクを安く再現しているメーカーを探すこともできるわけです。

ブランドによっても傾向がそれぞれ偏っていたりするので、「ノイマンの音がいい」「テレフンケンがいい」「AKGが好きだ」みたいな選び方もできますよね。

安くていいマイクだけを知るのではなく、色々な種類のマイクだったりタイプを知っておくことで、自分にあったマイク選びに役立ちます。

ぜひ今回の記事を参考にマイクを選んでもらえたらなと思っています。

今回はコンデンサーマイクに絞った内容でしたが、使うための録音環境で大きく音質が変わってしまうので、初めのうちはダイナミックマイクをおすすめします。

次回は「おすすめのダイナミックマイク」を紹介しようと思っています。

ダイナミックマイクを買おうとしている人はもちろん、知識を深める目的の方もぜひ覗きにきてくださいね。


ではまた。


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