#6【歌ってみた】おすすめのダイナミックマイク

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音声・音楽
ようこそおいでまし、RIONです。

前回の#5では、『#4【歌ってみた】ボーカル用マイクの選び方』の続きとして、おすすめのコンデンサーマイクを紹介しました。

今回は、おすすめのダイナミックマイクを紹介したいと思います。

マイクの基本的な解説から、マイク選びで後悔しないための選び方もお話しているので、是非

#4 ボーカルマイクの選び方【前々回】
#5 おすすめのコンデンサーマイク【前回】
#6 おすすめのダイナミックマイク【この記事】

と続けて見てみてくださいね。


はじめに

今まで何度もお話ししていますが、よくボーカルのレコーディングに使われるコンデンサーマイクは、ノイズや反響音を拾いやすく、自宅などの一般的な部屋で使用する場合はしっかりとしたノイズ対策と知識が必要です。

反面、今回紹介するダイナミックマイクは、コンデンサーマイクほどノイズや反響音を拾わないため、しっかりとした対策をしていない録音環境でも使いやすいマイクになります。

対策を全くしないで良いというわけではありませんが、初心者の方や、コンデンサーマイクでノイズが入ってしまうという方にとてもおすすめです。

ダイナミックマイクの中には、コンデンサーマイクの音質に近づけたものだったり、プロの収録現場で使われるものもあるので、一概に「コンデンサーマイクより音質が悪い」とは思わないでください。

ボーカル収録の中でも、「歌ってみた」用途として十分に使えるマイクをご紹介します。

◇ おすすめのダイナミックマイク

とは言っても、「コンデンサーマイクの音を聴き慣れた現代リスナーたちの期待に応えることができるダイナミックマイク」として厳選した結果、おすすめできるのは3本だけとなってしまいました。

「もっとたくさんある」「いやいやこっちの方がいいよ」という意見もあるかと思いますが、

・「歌ってみた」の録音に使う
・自宅の部屋で使う
・コンデンサーマイクに負けない音質

を念頭に選んでみたので、参考にしていただけると嬉しいです。

① TELEFUNKEN M80 ¥25,300

このマイクは前々回のブログでも紹介しました。

TELEFUNKENという超老舗マイク機材メーカーが、「コンデンサーマイクの音がするダイナミックマイク」を目指して作ったマイクです。

高域の綺麗さが特に際立っていて、「ただ高域の感度が高いだけの安物コンデンサーマイク」より遥かにいい音がします。

オーディオテクニカのAT2020やAT2035、AT2050あたりを買うくらいであれば、全力でこのM80をおすすめします。

音質、扱いやすさ共に抜きん出ているのでまず間違いはありません。

迷ったらコレです。

② SENNHEISER MD431II ¥53,500

放送局、インタビュー用、中継用など、業務用の定番機として古くから使われているマイクです。

ボーカル用途としては主にバンドのライブで使われることがあります。

特徴としては「外部からのノイズに強いこと」「言葉をハッキリと聴こえるよう収録できること」が挙げられます。

音質は綺麗で申し分ないのですが、音自体がかっこいいわけではないので、味付け用のマイクプリに通したり、積極的な音作りのミックスをしないと物足りないかと思います。

ただ値段も結構するので、もしこのくらいの金額が出せるのであれば、①のM80を買って、残りのお金を反響音対策に当てる方が結果的に良いかなと思います。

③ SHURE SM7B ¥51,500

このマイクはすごいです。

元々はナレーションのために作られたマイクなのですが、「ボーカルに使うとめちゃくちゃ良い」ことが判明して以来、プロのレコーディング現場で、しかもボーカルの収録に使われています。

よく目にするのは、メタル系のデスボイスやシャウト、スクリームといった激しいボーカルの収録、ロックバンドのボーカル収録などですが、ボカロ曲やポップスの歌ってみた用としても最強クラスです。

最近ではONE OK ROCKのTakaさんがオフィシャルの動画の中でよく使っていますね。

本当にかっこいい音がして、ノイズにも強く、太くて存在感のある音で録れますが、使うときの注意点があります。

このマイクは単体のゲイン(出力音量)が非常に低く、そんじょそこらのオーディオインターフェイスでは正常な音量で録れません。

しっかりとゲインアップできる高品質なマイクプリアンプや、マイクの後段でノイズレスにゲインアップするアンプ機材を使う必要があります。

「パソコンの中で音量上げちゃえば良いじゃん」というような単純な話ではないことに注意してください。

まともなマイクプリアンプなんてそれこそ数万円以上しますし、ゲインアップだけの機材も2万円くらいします。

おまけに本来ダイナミックマイクには必要のないファンタム電源をゲインアップ機材に供給しないといけない場合があったり、ある程度の知識も必要になります。

すでに良い機材が揃っている上級者でもない限り、使うまでに約7万円以上かかることになるので、初心者の方は相当の覚悟を持って検討してみてください。

扱いやすさという面では、初心者にとってマイナスな面が多いですが、音はものすごく良いです。

高級コンデンサーマイクを使いたい放題にできるプロのアーティストが、それらを差し置いてあえてこれを選択するくらいですからね。

実際、私も何度か使いましたし、このマイクで収録されたボーカル音源をミックスしたことも何度もありますが、どっしりとした存在感に惚れ惚れします。

声が細くなりやすい女性にもおすすめですし、何より外部ノイズに強いというところがまさに歌ってみた向けと言えます。

元はナレーション用のマイクなので配信にももちろん最適です。
「ラジオパーソナリティの声」みたいな音になります。

本気で「歌ってみた」「配信」をしていきたいという人には本当におすすめです。

◇ ダイナミックマイクを使うときの注意点

コンデンサーマイクほどではありませんが、ダイナミックマイクにも使うときの注意点があります。

1. ファンタム電源は供給しないこと
2. マイクに近づきすぎないこと
3. マイクスタンドを使うこと
4. 出来ればショックマウントを使うこと

まずダイナミックマイクは電源が必要ないので、コンデンサーマイクには必要だったファンタム電源は供給しないようにしましょう。

そして口からマイクまでの距離にも注意します。
マイク全般に言えることですが、ダイナミックマイクは特に、口とマイクが近づけば近づくほど低音が強くなります。
狙ってそうする分には構わないのですが、やりすぎると低音がキツすぎて透明感が失われたり、曲に合わなくなったりします。
とりあえず10センチほど開けておけば問題はありません。

ダイナミックマイクはカラオケや歌番組のように手で持って歌うイメージが強いですが、レコーディングではデメリットしかありません。
必ずマイクスタンドに固定して歌うようにしましょう。

ショックマウントとは、コンデンサーマイクを宙吊りに設置することで、振動ノイズを防ぐマイクホルダーのことです。
本来ダイナミックマイクには使わないですが、使っておくとより安全に宅録をすることができます。
各コンデンサーマイク専用のショックマウントはダイナミックマイクには使えないので、色々なマイクに対応したショックマウント製品を使うようにしましょう。

◆ おすすめショックマウント
RYCOTE RY-INVUSM ¥8,778

おわりに

いかがでしたか?

#4、#5、#6と、ボーカル用マイクについてお話ししてきましたが、マイクについての理解は深まったでしょうか。

オンラインの配信がどんどん活発になってきている今、声を届ける機材として絶対に切り離せない機材がマイクです。

そして歌ってみた配信Vtuberなど、音質が重要視されるジャンルではなおのこと音響機材に向き合わなければいけません。

「めんどくさい」「難しい」「お金がない」

やらない言い訳を考えるのは簡単ですが、作品を作る以上、それに使う道具のことはしっかり理解しておくべきだと思います。

エンジニアやオーディオマニアのようなレベルになる必要はありません。

自分の声自分の部屋自分の環境、だけに精通した知識さえあれば良いんです。

私たちのようなエンジニアは、色々な人の声を、色々なシチュエーションで、より最適な機材で録らなければいけないので、膨大で専門的な知識を増やしていく必要がありますが、みなさんは「自分だけのため」に少しだけで良いんです。

世の中にはどんなマイクがあって、そのマイクを使うには他にどんな機材が必要で、最大限いい音で録るには、もっとクオリティを上げるには、もっと色々な人に聴いてもらうには、、、

好きなことならとことん突き詰められるはずです。

この向上心が無くなってしまったら一生作品のクオリティは上がらないと思っています。

みなさんが大事なお金を払ってミックスをお願いしているのはなぜでしょうか。

よりクオリティの高い音源を聴いてもらいたいからですよね。
私たちエンジニアも求めるものは同じです。

でもミックスで音質は上がりません。
みなさんが自分で録音をする以上、音質はみなさんのさじ加減で決まってしまいます。

少しでも高いクオリティを望むなら、ご自身の機材や録音環境と真剣に向き合ってみてください。

最高の音質には最高のミックスでお応えします。

以上、少しでも参考になれば嬉しいです。


ではまた。


RION



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