校正ってある意味、読まないんですよ。

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校正の作業って皆さん大なり小なり、やったことはあると思います。
でも推敲(文章をよくしようと練り、作り直すこと)と”ごっちゃ”になっている方も多いのではと思います。

プロの校正の場合は、基本的に「流し読みはしない」のです。
どういうことかというと、
文章を「文字」として、もっと言えば「記号」として認識します。

リライトや編集を求められる場合には、記号として誤字脱字やレイアウトなどえをチェックしたうえで、
さらに普通に文意や表現を読んで言い回しやリズムなどもよく練るので、当然文字単価は高くなるわけです。
時間にすると3~4倍は掛かるイメージです。

おかげさまで今までに文章の校正やブラッシュアップだけで300件以上のご縁をいただきましたが、価格については分かりにくい面があるので、校正について少しずつ発信しながらご理解いただけるようにしたいです。

お取引に際しては、なんでもお気軽にご質問いただけるとうれしいです。



「読まない」で分かりやすい例は「斎藤さん」

お名前(固有名詞)なので、何より間違えてはならない漢字のひとつです。

普通なら、読みは「さいとうさん」一つなので、サッと流して読みますよね。

でも校正のプロである私たちは、
「齋」「斉」「斎」目を虫めがねのようにして確認します。
「読む」というより、視線を集中させて「観る」という感じでしょうか。

実際の「サイ」の字はこれよりも、ものすごく数が多いですが、変換できるのは三つくらいなので、ご本人に確認をとる(校閲)も作業に入ることがあります。
そして、パソコンやスマホなど閲覧環境によって化けてしまわないように「環境依存文字」「常用外漢字」を避けるのは大前提です。

丸囲み文字①②などは(1)という表記に直すご提案もします。



お客様からの面白いご質問

私のサービスをリピートで利用してくださっている方で、面白いご質問があったのでご紹介しますね。

【ご質問】
基本「さまざま」とひらがな表記にするのが一般的なことは理解しました。
漢字の「様々」を使わなければならない場合ってどんなときでしょうか、、
素朴な疑問です。
【お節介気味の回答】
平仮名に開くこと自体が、不思議ですよね。

しかも似た言葉で表記が揺れるので、私もつねに国語辞書を引きます。
出版社によって見解が違うこともあり、複数の辞書をあたることもしばしば。

ビジネス文章でベースにするのは共同通信社が出している
『記者ハンドブック』という新聞表記が網羅されている本です。
朝日新聞など他社の物を使用することもあります。

例えば、副詞は基本的に平仮名なので、以下の例は平仮名が推奨されています。
 → たんたんと(作業する)、だんだんに(増える)、しげしげ(と見る)
ただし、広々、近々、など漢字を基本とするものもあり、私も難しいなと感じています。
外来語も同様でコミュニティー、コンピューター、など最後の伸ばし棒(校正用語では音引き)が揺れやすい語があります。

だいぶ脱線してしまいましたが、校正には「許容」というルールがあり、たとえ漢字(様々)であっても間違えではない、というのがひとまずの結論です。

ちなみに、以下は送り仮名ルールですが、どちらもOK(許容)です。 
→ 売上/売り上げ
  引き出物/引出物・・等。

この「様々」に関しては
「猛暑さまさまの海の家」という例文のような
「さまさま」と読ませたい場合と、
一般的なさまざま、と読ませたい場合の混同を防ぐためかな、と思います。


こんな感じで、ただの「さまざま」でも、熟考しまくります(笑)
なので、校正も経験がものを言う分野なのですが、いつも一語ずつていねいに学びながら、サービスの価値を高めたいと思っています。
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