ツイノベ 406-410

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小説
交通事故にあってから僕は、人の死期が見えるようになった。人々の頭の上には年月日と時刻が表示されて、そのときが来ると最期を迎える。事故、寿命、事件。理由はどうであれ、同時間になると必ず亡くなるのだ。ふと、自分の寿命が気になって鏡を覗くと、そこに自分の姿は映っていなかった/№406 死期視

新商品のスポーツドリンクが発売された。試しにマラソン味を購入して飲んでみると、足に疲労が溜まって途端に立てなくなった。ボルダリング味を飲むと腕に激痛が走る。どうやら、そのスポーツを行ったときと同じ効果・効能が働くようだ。説明文には「新感覚。飲むスポーツ!」と書かれていた/№407 飲むスポーツ

昔、兄から教えてもらった遊びがある。お互いが好きそうな本を選んで、その中から相手が好きそうな一文を探して教えて合う。家にいるのが苦手なわたし達が唯一、心を落ち着かせられる場所が図書館だった。あの日、兄が伝えてくれた言葉の意味を、大人になった今でも、わたしは分からずにいた/№408 ワンダーガーデン

「いもやーきいし。おいし」とおじさんの声が聞こえて、注文したら石を渡された。「俺が売ってるのは特別な芋焼き石だよ。これで焼くとすごくうめーんだ」家で芋を焼いてみると、なるほど。確かにおいしいかもしれない。後日、近所の河原でおじさんが石を拾っているのを見かける。騙された/№409 芋焼き石

7日後の予定が待ちきれなくて時間の前借りをする。あっという間にパーティーの日になった。思いっきり楽しんだ次の日、前借りした分を返すと思うと憂鬱になった。1日の就労時間は体感56時間に、カップラーメンが完成するのに体感21分かかる。そうか。また7日間を前借りすればいいんだ/№410 前借り時間

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