ツイノベ 016-020

記事
小説
喫茶店に行った。喫煙席に座った。別れた男と同じ煙草を吸っている男がいた。不細工な顔立ちだった。嫌な臭いではなかった。電車の中で煙草の臭いがした。お気に入りの服に臭いが染み付いていた。その時だ。別れた男の事を思い出した。改めて、別れた男の事が大嫌いだと思った/№016 昔の男
SNSにアンケート機能が実装された。二択の内、どちらか一つを回答し、パーセンテージを割り出すのだ。この機能を使って、私は自殺した方が良いのか、生きていた方が良いのかを訪ねてみた。知人に、友人に、他人に。考えもなしに結果だけが送られる。でも、これが事実だ。さよなら/№017 他人事
二人で話をしているとき、彼が私の名前を呼ぼうとして、少し気まずそうに苗字で呼び直す。そういう関係じゃないよな。って、間違ったみたいな顔をして笑わないでよ。合っているから。私の名前をちゃんと呼んでよ。透明じゃない私にして。あなたの声で、私の名前を、ちゃんと呼んでよ/№018 私の名前
部屋の掃除をしていたら、古い万華鏡が出てきた。遠い昔、彼女と行った観光名所で買った代物である。そっと覗いて、静かに回す。景色がゆっくりと変わっていく。その様子を、カラカラと音を立てて揺れる、風車の写真を撮っていた彼女の姿と重ねる。季節はもう、冬になろうとしていた/№019 万華鏡
私がまだ小さい頃、知らない大人の女性と出会った。その人は私に植木鉢を与えて「二十歳になるまでに花を咲かせるのよ」と言った。続けて「赤い花は幸福の終わり。青い花は不幸の始まり」と加えて。当時はどちらも同じ事じゃないかと思った。十九歳の現在、花は未だに咲かないでいる/№020 花占い



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら