新型コロナウイルス感染症の蔓延により生活や環境は一変しました。
「将来への見えない不安」
「新型コロナウイルスに感染し、死んでしまうのではないか」
との恐怖でストレスを感じている人は多いでしょう。
ストレスが原因で「適応障害」や、災厄時や災厄後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する方もいます。
PTSDについてメンタルヘルス心理カウンセラーの資格を持つ心理カウンセラーが解説していきますね。
目次:
1.PTSDとは
2:PTSDでよくみられる症状
2-1:再体験
2-2:回避
2-3:考えや感情の変化
2-4:過覚醒
3:PTSDの治療法
3-1:持続性エクスポージャー療法(PE)
3-2:認知処置療法(CPT)
3-3:眼球運動脱感作療法(EMDR)
4:「複雑性PTSD」との違いは?
5:身近な人がPTSDを発症したときの接し方
6:医療機関へ行く目安
7:生活リズムを整える
8:PTSDに悩む人が増加?コロナがもたらす心の痛み。まとめ
1.PTSDとは?
自分や身近な人の命が危機に晒されたり、災害や事故に遭遇したり生命の危険を感じる出来事の体験やトラウマにより、あらわれる疾患です。
きっかけとなる体験から時間が経ってもフラッシュバックしたり、悪夢をみたり強い恐怖や緊張状態が続きます。
PTSDは事件や地震、台風などの災害のあとに生じることもあります。
2.PTSDでよくみられる症状
つらい体験の記憶を何度も繰り返しフラッシュバックする、急に涙が止まらなくなるなどパニックに陥ります。トラウマとなったきっかけの悪夢を見ることもあるのでココロが休まらず、恐怖で寝付けないこともあるでしょう。
自分では考えないようにと明るく振る舞い、何かに没頭しようとしてもふとした瞬間に当時の状況を思い出し、恐怖する。
PTSDの症状は主に4つあります。
:1.再体験
トラウマとなるようなつらい出来事が、無意識のうちに何度も思い出されたり、悪夢を見たりする症状です。
頭の中で当時の状況が再現され、まるで今目の前で起こっているかのような感覚になります。
:2.回避
つらい出来事を思い出すような場所・物事・会話・人物を避けるようになるでしょう。これによって行動の制限、人との交流制限により社会生活にも支障をきたします。
人によってはつらい体験自体の記憶が抜け落ちる方もいます。
:3.考えや感情の変化
感情の変化は自分自身や他の人に対して過剰に否定的な思考です。怒り、罪悪感、恐怖などのマイナスな感情が続きます。
:4.過覚醒
ささいな刺激や物音などに過剰に反応して驚き、警戒心が強くなります。眠れない、イライラやピリピリして集中力がなく気が休まることがない状態です。
このような状態が4週間以上続き、生活に支障をきたしている場合はPTSDかもしれません。
3.PTSDの治療法
医療機関やカウンセリング施設で薬物療法や認知行動療法で治療を行います。
認知行動療法では安全な環境でトラウマと向き合うことで、物の見方に働きかけてストレスを軽減する方法です。
:持続エクスポージャー療法(PE)
医師などのサポートを受け、トラウマとなった場面をあえてイメージしたり避けていた記憶をわざと呼び起こします。
トラウマと向き合うことで、物の見方に働きかけてストレスの軽減を図る訓練です。
:認知処置療法(CPT)
トラウマの経験を理解、整理して克服する働きへの治療法です。
:眼球運動脱感作療法(EMDR)
トラウマの原因となった出来事を想像しながら、医師の指を目で追っていく療法です。EMDRはPTSDに効果がある治療法の1つといえます。
トラウマというデリケーションな問題を扱う場合、信頼できる医師やサポート相手を見つけることが大切です。
4.「複雑性PTSD」との違いは?
PTSDに加え逃げることが困難なココロの傷を繰り返し受けた結果、発症するのが「複雑性PTSD」です。暴力や暴言、拷問や虐待などの慢性的に受けたダメージがトラウマ反応を引き起こすことが目立ちます。
複雑性PTSDを発症すると
• 再体験
• 回避
• 考えや感情の変化
• 過覚醒
だけではなく感情のコントロールが効かず他者との関係を保つことが困難、自分には価値がないと深く思い込むなどの特徴があらわれます。
5.身近な人がPTSDを発症したときの接し方
まずは本人の話を聞くことが大切です。問題そのものが解決するわけではなくとも、話すだけで心が楽になることもあります。
しかし無理に話しをさせようとすることはせず、相手が話しをしたいときまで待つことです。
「話し聞くからね」と相手に声かけするだけでも、話せる相手や環境があることに安心感を覚えます。
相手が話をはじめたら「否定せずに最後まで聞く」こと。本人にとってはつらく悲しい体験を勇気を振り絞ってあなたに話ししているのです。
新型コロナウイルス感染症の影響で、隣で話を聞くことは難しいかもしれません。そういうときはテレビ電話や、メッセージなどで話しを聞くなどしましょう。
また知らず知らずのうちにケアする方もココロ・身体の不調にならないように気をつけてくださいね。ご自身のメンタルケアに気を配ることも大切です。
6.カウンセリングを受ける目安
周りの人へ話をすることでストレスは解消することもあります。
安心、安全な環境に身を置くことで自然とPTSDが回復することもあるでしょう。
しかし、以下の症状が続くようであれば注意が必要です。
• 不眠・過眠が続く
• 食欲がなくだんだん痩せていく
• 不安や恐怖が強く、つねにイライラしている
日常生活を送ることが困難なときや徐々に悪化しているときは、私へのご相談を検討してくださいね。
7.生活リズムを整える
早寝早起きをし日光を浴びたり、運動したりすることで生活リズムが整います。体内時計が乱れると精神疾患を発症することもあります。
体内時計が乱れると昼夜逆転し、日中の眠気が強くなり集中力が低下します。疲れがたまりイライラするなどストレスや精神的に悪い影響を及ぼします。
生活リズムを整えたいと思っても運動することが苦手な人はストレッチからはじめることをおすすめします。日光を浴びながらウォーキングするだけでも気分転換になります。
自分のココロと身体に向き合いながら、日々の生活習慣を見直してくださいね。
8.PTSDに悩む人が増加?コロナがもたらす心の痛み。まとめ
新型コロナウイルス感染症の蔓延によりこれからの生活に対する不安や恐怖を感じている人は多いのではないでしょうか。ココロの健康を保つためにはむやみに情報を入れすぎず、正確な情報を手に入れることです。
今はまだつらい体験やトラウマが残っているでしょう。
しかし、あなたの周りには理解してくれるたくさんの人がいることを忘れないでください。
悩みがない頃の自分に戻ることを願って、ココロの声に耳を傾けてあげてくださいね。
以上です。