母ひとり子ひとり③
母子家庭と肥満新聞配達は台風のような天災に見舞われると、営業所に新聞が到着するのが遅くなる。
災害が起これば、その記事を新聞に載せる為に記事の差し替えが行われたり、事故や渋滞、交通網が寸断されたりするのが原因だ。そんな状況になっても新聞配達は休みにはならない。
配達員は新聞が営業所に届くのを、ひたすら待ち続ける。
待ち続けて、待ち続けて、ようやく届いた新聞を、絶望的な大雨の中、なるべく濡らさないように気を付けながら、一軒一軒配達して回る。
そんな激務をこなして、ずぶ濡れになりながら、ようやく家の玄関を開けると、息子から一言「腹減った~」と声をかけられる。
当時は理不尽だと思っていたが、今思い返してみれば、トシコが「今から作るわ!!!」とブチギレしたのも納得である。まだ、汚れを知らない幼気な少年だった頃。
台風で新聞が遅れた時に、近所のおばさんが私の事を心配して「お腹空いてない?おばさんちでご飯食べる?」と聞きに来てくれた。
それに対して「お母さんは、ご飯を食べずに雨の中で、お仕事頑張ってるから僕も食べない」と、私は答えた。
その母親を思う息子の姿に感動して、後日、おばさんが涙ながらにトシコに話してくれたそうだ。
このエピソードが何歳ぐらいなのかは覚えていないが、小学生になったあたりから、完全に母親に対する気遣いよりも食欲の方が優先された。そんな腹を空かせた“ヒナ鳥”のような私の食欲を満たすために、食料が備蓄されるようになった。レトルト食品、インスタント食品、スナック菓子。“不摂生の三銃士”は常に我が家に常駐することになった。「お腹が空いたら、これを食べればいいから」新聞が遅れそ
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