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皮肉やとぼけの中にこそ、本音は隠れている。 〜三木聡監督作品と傾聴の話〜

三木聡監督の作品を観ていると、いつも不思議な気持ちになります。死や孤独、人間関係の面倒くささといった、決して軽くはないテーマを扱っているはずなのに、なぜか観終わったあとにクスッと笑ってしまう。「転々」も「亀は意外と早く泳ぐ」も、登場人物たちはやたらと真面目な顔で、どうでもいいようなことを大真面目に話し続けます。そのズレ具合が、たまらなくおかしくて、そしてどこか切ない。まっすぐには言わない、という表現三木監督の作品の登場人物って、あまり自分の気持ちをまっすぐには言わないんですよね。本当は寂しいはずなのに、その気持ちをそのまま口にする代わりに、どうでもいい世間話や、ちょっとしたボケで場をはぐらかしてしまう。皮肉っぽい一言で笑いに変えてしまう。「亀は意外と早く泳ぐ」の主人公も、「転々」の登場人物たちも、シリアスな状況にいながら、なぜか飄々としている。でも、その「とぼけ」の奥に、ふとした瞬間、本音がこぼれ落ちる瞬間があるんです。会話の本筋とは関係なさそうな、ちょっとした一言。そこにこそ、その人が本当に抱えているものが滲み出ている気がして、私はそこがたまらなく好きなんだと思います。雑談の中にこそ、本当の気持ちがあるこれは、私が電話相談のお仕事をしている中でも、よく感じることです。相談に来てくださる方が、最初から本題をまっすぐ話してくださることは、実はそれほど多くありません。天気の話や、最近観たテレビの話、ちょっとした愚痴。一見どうでもよさそうな雑談を重ねていく中で、ふと言葉のトーンが変わる瞬間があります。「実はさっきの話なんだけど」と、そこから本当に話したかったことがぽつぽつと出てくる。
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