「物忘れ」の奥に隠されていた本当の感情〜友の死、怒り、そして自分自身の「声」に気づくまで〜
「最近行った旅行先も思い出せないんです。」自己否定が強いMさんは、そんな悩みを抱えていました。観光に出かけた場所だけでなく、出かけたこと自体を忘れてしまうそうです。人と話した内容も、本を読んで感動したことも、時間が経つとほとんど思い出せない。「私って本当にダメなんです。」そう言って、自分を責め続けていました。そこで私は、「では、絶対に忘れられない出来事はありますか?」と尋ねました。Mさんが挙げたのは、友人の死、そしてご両親の死でした。中でも、20代で出会った大切な友人の自死は、今も心に深い傷を残していました。その出来事を丁寧にたどっていくと、・「なんで死んでしまったんだ」というぶつけようのない怒り。・「どうして死んでしまったの?」という悲しみと喪失感。・厳しすぎた、友人の父親に対する激しい憤り。・「もっと私にできることがあったのではないか。」 という後悔。・どうすることもできなかった圧倒的な無力感。行き場を失った怒りは、心の奥で無力感をさらに大きくしていたのです。Mさんは、その日を境に、何を見ても心が動かなくなってしまったと話してくださいました。以前は先生の話を要約して友達に説明するほど記憶力が良かったのに、好奇心も失われ、何も心に残らなくなってしまったのです。そこで、その怒りや無力感を一つひとつ感じながら、閉じ込めていた感情を解放するワークを行いました。すると、Mさんの口から、思いがけない言葉がこぼれました。「死にたい…。」その瞬間、Mさんは気づきました。これは友人の気持ちだけではなく、本当は自分自身の心の叫びだったのだと。長い間、自分でも気づかないまま、その苦しさに蓋をして
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