恋日記 第4話
忘れたふりが、少しだけ上手になる恋があります。もう平気だよって顔をして、普通にご飯を食べて。友達と笑って。仕事もして。ちゃんと毎日は過ぎていく。でも、ふとした瞬間に、まだ心が覚えていることに気づく日があります。似た香りがした時。同じ名前を見かけた時。あの人と行った場所の近くを通った時。もう思い出したくないのに、心だけが先に反応してしまう。忘れたつもりだったのに。大丈夫になったつもりだったのに。まだ少しだけ、あの恋の中にいる自分がいる。そんな時、少し悔しくなることがあります。こんなに時間がたったのに。もう終わったことなのに。どうしてまだ、胸がきゅっとするんだろうって。でも心葉は思うんです。忘れられないことは、前に進んでいないということではないのかもしれません。ちゃんと好きだったから、簡単には消えないだけ。大切だった時間ほど、心の中に少し長く残るだけ。忘れたふりをしながら、本当は少しずつ、思い出との距離をとっているのかもしれません。昨日より泣かなくなった。前よりスマホを見なくなった。思い出しても、少しだけ早く日常に戻れるようになった。それもちゃんと、前に進んでいる証だと思います。今日は、あの人の好きだったものを見かけました。一瞬だけ、心が止まりました。でもすぐに、私はその前を通り過ぎました。忘れたわけじゃない。でも、もう立ち止まらなくても大丈夫だった。そんな自分に、少しだけほっとしました。恋って、終わったあとも、すぐには心から出ていってくれません。でもいつか、思い出しても苦しくない日が来る。忘れたふりをしながらでも、ちゃんと今日を生きているなら、それで十分なのかもしれません。心葉(
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