「場所と空間の違い」京都工芸繊維大学編入試験令和3年
(1)問題空間と場所① 水平に展開してゆく建築は、二階、三階と部屋が積層することがないので、その構成はどこにどんな部屋が場所を占めるかによって決められる。しかもそれぞれの部屋は外気に接することが望ましいので、全体としては建物と外部空間とのモザイクとして、建物群は構成されてゆくことになる。そうした壮大なモザイクを形成していったのが近世の大名屋敷や、いまも残る巨大温泉旅館なのだ。狭い間口の奥に延々と延びた町屋も、坪庭や中庭をとり込みながら構成されている点においては、そのモザイク性に変りはない。② わが国の住まいのなかにいまでも存在する「座敷」という部屋を考えてみても、それは床・棚・書院を備え、長押を廻らすといったインテリア・デザインによって成立するのではなく、それは必ず庭という外部空間につながり、それとセットになってはじめて成立するという性格をもつことが重要である。③ わが国の部屋は庭とセットになって、はじめてスタイルを獲得する。これは古代の寝殿造りから近世の書院造りに至るまで、わが国の中心的な部屋がもつもっとも重要な性格であった。書院造りは床・棚・書院という装置をもち、長押を廻らせるというデザインで成立するのではなく、庭をもつということの方がずっと重要である。庭をもつことによって、部屋は部屋として場所を占めるのだ。部屋がふたつあれば、庭もふたつ用意される。よく注意してみれば大きな民家でも、寺院の方丈でも、きちんとそのようにデザインされているのに気づくはずである。それが水平に拡がる建築のつくり方なのだ。④ 部屋が水平に展開してゆくとき、そこにそれぞれの部分に固有の性
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