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第5回本人の世界を想像すると、対応が変わる

見えている景色は同じではない私たちは普段、「ここは自宅」「この人は家族」「これはトイレのドア」「今からお風呂に入る」「今日は病院へ行く日」といったことを、ごく自然に理解しながら生活しています。ところが、認知症のある方にとっては、同じ場所にいて、同じものを見ていても、その意味が私たちと同じようにはつながらないことがあります。家族から見れば、いつもの自宅。でも本人には、「ここはどこだろう?」と感じられているかもしれません。家族から見れば、いつもの娘。でも本人には、「この人は誰だろう?」と戸惑う瞬間があるかもしれません。そこで大切にしたいのが、「本人には、今この世界がどのように見えているのだろう?」と想像してみることです。本人の世界を少し想像できるようになると、「どうして分からないの?」という気持ちから、「それなら不安になるよね」という理解へと、私たちの対応も変わっていきます。私たちには「いつもの場所」でも、本人には違って見えることがあるたとえば、長年暮らしてきた自宅。家族にとっては、どこに何があるか分かりきった場所です。しかし認知症のある方は、場所や状況を把握することが難しくなり、「ここはどこ?」「私の家に帰りたい」と言うことがあります。家族からすると、「何十年も住んできた自分の家なのに...」と驚くでしょう。そして、「ここがあなたの家でしょ!」と説明したくなります。それでも本人が納得しないと、「どうして分からないの?」という苛立ちが生まれるかもしれません。でも、少し視点を変えてみます。もし自分が目を覚ました時、見覚えがあるような、ないような場所にいて、周囲の人から、「ここがあなた
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第1回 認知症を『怖いもの』だけで終わらせないために

本人の世界を知ることが、理解の第一歩認知症と聞くと、多くの人がまず不安を感じるのではないでしょうか?「家族のことが分からなくなるのではないか?」「何もできなくなってしまうのではないか?」「介護が大変になり、家族の生活が壊れてしまうのではないか?」そのように感じるのは、とても自然なことだと思います。実際、認知症は本人にとっても、家族にとっても、決して軽い問題ではありません。生活の中で困りごとが増えたり、今まで普通にできていたことが難しくなったり、家族の関わり方にも戸惑いが生まれます。ただ、ここで一つ大切にしたいことがあります。それは、認知症を「怖いもの」「困ったもの」「どうしようもないもの」としてだけ見てしまうと、本人の本当の困りごとや、まだ残っている力が見えにくくなってしまうということです。認知症の方は、何も分からなくなっているわけではない認知症になると、記憶や判断、時間や場所の認識などに変化が起きることがあります。同じことを何度も聞く約束を忘れてしまう財布や通帳をなくしたと言う道に迷う急に怒ったように見える家族から見ると、「どうしてこんなことをするのだろう」と感じる場面が増えるかもしれません。しかし、本人はわざと困らせているわけではありません。本人の中では、思い出せない不安、状況がつかめない混乱、自分でもうまく説明できない戸惑いが起きていることがあります。つまり、家族から見ると「問題行動」に見えることも、本人の側から見ると「困っているサイン」かもしれないのです。ここに気づけるかどうかで、認知症の方への関わり方は大きく変わります。「正す」よりも、まず「安心」を届ける認知症の方と
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