第1回 認知症を『怖いもの』だけで終わらせないために
本人の世界を知ることが、理解の第一歩認知症と聞くと、多くの人がまず不安を感じるのではないでしょうか?「家族のことが分からなくなるのではないか?」「何もできなくなってしまうのではないか?」「介護が大変になり、家族の生活が壊れてしまうのではないか?」そのように感じるのは、とても自然なことだと思います。実際、認知症は本人にとっても、家族にとっても、決して軽い問題ではありません。生活の中で困りごとが増えたり、今まで普通にできていたことが難しくなったり、家族の関わり方にも戸惑いが生まれます。ただ、ここで一つ大切にしたいことがあります。それは、認知症を「怖いもの」「困ったもの」「どうしようもないもの」としてだけ見てしまうと、本人の本当の困りごとや、まだ残っている力が見えにくくなってしまうということです。認知症の方は、何も分からなくなっているわけではない認知症になると、記憶や判断、時間や場所の認識などに変化が起きることがあります。同じことを何度も聞く約束を忘れてしまう財布や通帳をなくしたと言う道に迷う急に怒ったように見える家族から見ると、「どうしてこんなことをするのだろう」と感じる場面が増えるかもしれません。しかし、本人はわざと困らせているわけではありません。本人の中では、思い出せない不安、状況がつかめない混乱、自分でもうまく説明できない戸惑いが起きていることがあります。つまり、家族から見ると「問題行動」に見えることも、本人の側から見ると「困っているサイン」かもしれないのです。ここに気づけるかどうかで、認知症の方への関わり方は大きく変わります。「正す」よりも、まず「安心」を届ける認知症の方と
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