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苦労という名の「サンクコスト」 | なぜ抱え込みを手放せないのか

「どうして自分ばかり」と思いながらも、その状況から抜け出せない。誰かに任せればいい、少し手を抜けばいい。頭では分かっていても、どうしても自分で抱え込んでしまう。そこには、単なる真面目さや責任感だけではない、もっと厄介な心理的トラップが潜んでいます。それが「サンクコスト(埋没費用)」としての自己犠牲です。支払いつづけた「苦労」というコスト経済学の用語であるサンクコストとは、すでに支払ってしまい、二度と戻ってこない費用のことです。「せっかくここまでお金を払ったのだから、今さらやめるのはもったいない」という心理が働き、合理的ではない判断を続けてしまう状態を指します。これは、私たちの感情や生き方にも全く同じことが言えます。「これだけ我慢してきたのだから」 「これだけ自分を犠牲にして、家族や会社を支えてきたのだから」そう思えば思うほど、私たちは自分が費やしてきた「苦労というコスト」を回収しようと躍起になります。今ここで楽になったり、役割を手放したりすることは、これまでの自分の苦しみや耐えてきた時間を「無意味だった」と認めることのように感じられてしまうのです。過去を正当化するために、今を犠牲にする皮肉なことに、「自分ばかりが大変だ」という思いが強ければ強いほど、その大変さを手放すことが怖くなります。大変な状況を維持し続けることで、「ほら、やっぱり私がいなければ回らない」「これほどまでに私は必要な存在なんだ」と、過去の自分の苦労に価値を与えようとしてしまう。つまり、過去の自分を正当化するために、今の自分をさらに追い込み、新しい苦労を積み上げ続けているのです。これは、雨漏りする建物を「これまで
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