傷ついた脳の編み直し — 神経可塑性が教えてくれる、うつ病から回復する力
最近、メディアや本などで「神経可塑性(しんけいかそせい)」という言葉をよく耳にするようになりました。少し難しそうな響きですが、これは私たちの脳が持つ、とても健気で素晴らしい「変化する力」のことです。 私たちの脳や神経系は、決して硬いコンクリートのようなものではありません。日々の学習や新しい経験、あるいは思いがけないケガなどに直面したとき、その状況に合わせて自分の構造や機能を柔軟に変えていくことができるのです。 しかも嬉しいことに、この変化に年齢は関係ありません。私たちはいくつになっても、脳の中に新しいつながりを作り、変わり続けることができます。 脳の中では、驚くほどダイナミックな対話が行われています。神経細胞同士を結ぶ「シナプス」という架け橋は、使うほどに強くなり、使わなければ弱くなっていきます。 よく歩く道が踏み固められて立派な道路になるように、よく使う回路は太くなり、逆に使われない回路は自然と消えていく。そうして脳は、情報をきれいに整理整頓しているのです。 ひと昔前は「脳の成長は子供のうちだけ」と思われていたこともありました。 しかし今では、大人になってから新しい楽器を習ったり、見知らぬ街の言葉を学んだりするときにも、この回路の再編成が起きていることが分かっています。 この「神経可塑性」という力は、日々の学びや記憶を支えてくれるだけでなく、時に大きな救いにもなります。 たとえば脳卒中などで脳の一部が傷ついてしまったとき、残された周りの元気な神経たちが「私たちが代わりに働こう」と手を取り合い、失われた機能を補おうとするのです。 リハビリによって麻痺が改善していく背景には、こ
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