「交換の論理から見る自由な社会の正体」神戸市外国語大学2024年
(1)問題① 「他人様に迷惑をかけてはいけない」② 54歳のその男性は、幼いころから父親にそう教えられて育ったという。男性は同居している両親を養っていたが、父親が他界。ほどなく母親に認知症の症状が出始める。追い打ちをかけるように、勤めていた会社でリストラに遭い、一家は生活費にも事欠くように。どうにか派遣の職を得たものの、母親の症状が急激に悪化。仕事を辞めざるを得なくなり、失業給付を受けることに。生活保護の相談のため訪れた区役所の窓口では「がんばって働いてください」と言われるだけ。失業給付も残りわずかとなり、家賃も払えなくなる。③ 男性は観念する。他人様に迷惑はかけられない,もう死ぬしかない,と……。④ 貧困問題に取り組む活動家,湯浅誠の『反貧困』に出てくる実話です。男性は生活に困窮した結果、同居していた86歳の母親を殺め、自らも自殺を図ります。⑤ 肉親の扶養と介護,リストラ、生活保護の不認可。⑥ 日々ニュースなどで目にする,今日では決して珍しくないトピックかもしれません。⑦ ですが、この事例は注目に値します。⑧ 一見ありふれているこの悲劇の中に、実は「交換の論理」が隠されているからです。⑨ では、交換の論理とは何か?⑩ 助けてあげる。で、あなたは私に何をしてくれるの?⑪ 子供のころ、僕らは誰とでも友人になることができました。⑫ たまたま教室で席が隣になったというだけで、たまたま好きなミュージシャンが一緒だったというだけで、僕らは無邪気に友人になることができました。⑬ それなのに、大人になると、新しい友
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