「早く始めなきゃ」は誰のため?——データが示す早期英語の正体
周りの子は3歳から英語教室。教材セットは十万円超。うちだけ遅れているのでは——そんな焦り、あなたにもありませんか?僕は英語教育に力を入れる中高一貫校で、教員をしたことがあります。教育の現場を実際に経験すると、はっきり言えることがあります。幼児期から英語に時間をかけた子と、中学から本格的に始めた子の差は、あっという間に縮まります。そして、日本語で考えられない子ほど、英語も伸び悩む。前回、英語を身につける上での「英語の直接理解(英語脳)」の重要性について説明しました。今回は多くの人が勘違いしている、「英語の直接理解」を目指すうえで、就学前からの早期英語が必須ではない理由を、研究データと教育現場の知見から説明します。「早く始めないと手遅れ」の不安保育園の連絡帳に「英語で挨拶できました」、ママ友のSNSに幼児英語の動画。英会話教室の体験レッスンに行列——日本では、就学前の子ども向け英語教育が当たり前になりつつあります。「英語の耳は幼児期だけ」「早く始めないと英語が身につかない」英語教室や教材メーカー、ときには学校や行政も、同じ方向に声を添えます。不安はつのり、子どもの未来を考えれば「できることは今のうちに」と思うのは当然です。でも、ここで一度立ち止まって欲しい。その「早さ」は、誰のためのものか。子どものためか。それとも、周りとの比較や、英語産業の利益のためか。第二言語(外国語)習得の研究を見ると、日本のような環境——日常の99%以上が日本語で、英語は「外国語として」週に数時間触れる——では、「早く始めれば必ず有利」は成り立ちません。むしろ、母国語の土台を削ってまで英語を優先すると、長い
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