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「生命倫理と死生学の現在⑮」 ~人は何のために生まれ、どこに向かっていくのか~

(5)「臨死(ニア・デス)体験」の物語るもの ③「死」が決定的意味を持つのは人間だけ 「たましいの現象は不思議なことや不可解なことに満ちていた。ユングはそれらを真剣に観察し記録していったが、多くのことに関しては発表してもおそらく理解して貰えないだろうと思い、公表を長くためらったものもある。公表した後も、彼は死の時まで自分の真に述べたいことは世の中に理解されなかった、ということを嘆いていたという。もちろん、このことは彼自身も自分の考えを不確かなままで発言しているので、表現が解りにくかったり、彼が自分の行っていることに対する方法論についてあいまいであったり、直観に頼って理論的な詰めをおろそかにしたりするという欠点のためもあったが、何しろ彼の考えが時代の流れをあまりにも先取りし過ぎていたためと言えるであろう。  彼がたましいの現象について見出した、もっとも大切なこととして、共時性(synchronicity)ということがあるであろう。これは端的に言えば、たましいの現象のなかには因果律によって把握できぬものがあること、それは「意味のある偶然の一致」と今まで呼ばれてきたように、継時的にではなく共時的に把握することのできるものであること、の指摘である。ユングはこの考えについて、まだ考えのまとまらないまま、その考えの一端をアインシュタインに話したら、アインシュタインは、それは極めて重要なことだから必ずその考えの発展を怠らないようにせよ、と言ったという。  人間のたましいに関する研究を通じて、心理療法の在り方が根本的に変わってきた。フロイトの考えによれば、治療者は明確な理論と技法によって、患者
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