絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

1 件中 1 - 1 件表示
カバー画像

【短編小説】車椅子の同級生

 これは、ある山間の小学校での話である。 その小学校の5年生のクラスに一人、車椅子の少年がいた。少年の名は大崎邦彦、この春転校してきたのである。 その日も邦彦は一人、校庭の片隅でドッチボールで遊ぶクラスメートを眺めていた。転校して3ヶ月、邦彦は自らの抱えるハンディのためになかなか、23人のクラスメートとは馴染めなかった。 「邦彦、見ているならもっと近くで」 そう、声かけてきたのは一郎。そんなクラスの中で、唯一親しい友人である。 「でも、…」 邦彦が口篭もっていると、一郎はクラスメートがドッチボールをしている方に車椅子を押していった。だがその一郎も、 「一郎、何だよ。途中で抜けて」 と、クラスでボス的存在の誠人に言われると、邦彦を置き去りにしてドッチボールのゲームの中に入っていった。 そこへ、担任の路子がやってきた。路子は教師になってこの学校に赴任してまだ、2年目。それながら、田舎の学校ゆえに5年生のクラスを任されていた。 「ねえ、みんな。大崎君も入れてあげてよ」 と、大声で路子が言うと、ボールを投げようとしていた誠人が、 「だめだよ、先生。邦彦を入れると誰かが怪我するから。この前だって入れたからほら」 と、隣にいた寿夫の足を指差した。 「寿夫が、邦彦の車椅子にあたって」 「そう」 路子は、指で唇を押さえ、考え込んだ。そうなると、一郎も、そしていつもは邦彦に好意的な美津子も何も口を挟めずにいた。 邦彦は、俯きながら申し訳無さそうに 「いいですよ、先生」 と、ポツリと言った。 「でも」 「ごめんさい」 「別に、大崎君が謝ることじゃないから、気にしないで」 と路子は、微笑みながら邦彦
0
1 件中 1 - 1