毎日6時間以上の残業と土日出勤、謎のワークへの調整作業に格闘した日々
※本記事は、実務での経験をもとに構成していますが、機密保持およびプライバシー保護のため、一部にフィクションを交えて再構成しています。
1. 「地獄の3カ月」の幕開け
担当したのは、ある特殊加工装置の立ち上げ案件。
事前のシミュレーションは完璧で、社内での試運転も上々。
当初の予定では、現地調整は1週間程度でサッと終わらせ、胸を張って帰路に就くはずでした。
しかし、その「1週間」という甘い見通しが、私の技術者人生で最も長く、そして最も過酷な「3カ月」という名の底なし沼へと変わるのに、時間はかかりませんでした。
現場に入って数日後、私はある決定的な事実に愕然とすることになります。お客様側の生産計画が極めてタイトであり、日中の時間帯は既存ラインの稼働が優先され、新設装置に触れることすら許されない状況だったのです。
私が装置に火を入れ、プログラムを調整できるのは、お客様のラインがすべて止まり、周囲が静まり返る夕方から。
そこから毎日、最低でも6時間以上の「深夜に及ぶ居残り調整」が、逃れられない宿命として確定しました。
夕暮れ時、駐車場から遠ざかる車のエンジン音を聞きながら、私は工場の中へ足を運び、ただ独り、薄暗い工場内の装置の前に立ち尽くしていました。
防寒着を締め直し、かじかむ指先を吐息で温めながら、私は自分に言い聞かせました。
(今日こそは、あの原因不明の削りバラツキを抑え込んでみせる。今日で終わらせるんだ) そう念じながら、持ってきた簡易の折り畳み式デスクを装置前に広げ、ノートパソコンを置き、モニターの冷たい光を顔に浴びる。
それが、終わりの見えない長い夜の始まりの合図でした。
0