【短編小説】男だけの世界
S氏は世界的遺伝子工学の権威。
また、S氏はゲイとしても有名な人である。そんな彼の夢は、男だけの世界を造ることであった。
ただ、それを実現するためには是非に開発しなければならないものがあった。それは、男同士で子供を造る装置。そして、S氏は、長年も遺伝子工学の研究の傍ら、男同士で子供を造るための人工子宮なるものの開発をしてきた。その人工子宮、普通は精子と卵子が授精することを、S氏は自分と恋人のケン君の遺伝子を掛け合わすようにして、子供を造ろうと云うものだった。
それがいま、まさに完成しようとしていた。
S氏の研究室には、溢れんばかりの彼のゲイ仲間が詰めかけていた。そして、全員が研究室の中央に置かれた人工子宮のカプセルを注目した。
S氏がカプセルの蓋を開けると、中から玉のような赤ん坊が出てきた。
「F教授、完成おめでとうございます」
「Fちゃん、やったね。これで男だけの世の中にできるわ」
と、世紀の大発明にその場にいた男達はS氏を賞賛した。
ところが、なぜかS氏だけはがっかりとした顔で、その赤ん坊の顔を見ていた。
「どうしたんですか」
と、男達の中の一人が、S氏が抱いている赤ん坊をよく見ると、その子は女の赤ちゃんだった。
完
《蛇足》
以前、ネット上で公開していた拙作オンライン小説です。
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