人を育てる人と、人を潰してしまう人。その違いは何か?

人を育てる人と、人を潰してしまう人。その違いは何か?

記事
ビジネス・マーケティング
同じ失敗をした二人の部下
ある製造会社に、二人の現場責任者がいました。

A課長は、厳しい指導で知られていました。
「仕事は甘くない。厳しくしなければ人は育たない」

一方、B課長は、部下との対話を大切にしていました。

ある日、それぞれの部署で、若手社員が同じような作業ミスを起こしました。

A課長は、すぐに部下を呼びつけました。
「何度言ったら分かるんだ!」
「こんな簡単なこともできないのか!」
「少しは頭を使え!」
部下は、うつむいたまま謝りました。
「申し訳ありません。次から気をつけます」
A課長は、それで指導を終えました。

一方、B課長は、部下にこう尋ねました。
「今回、どこで判断を間違えたと思う?」
部下は少し考えて答えました。
「作業を急いで、確認を省いてしまいました」
「なぜ急いだの?」
「予定より作業が遅れていたので、早く終わらせようと思いました」

B課長は、さらに尋ねました。
「なるほど。では、同じ状況になったら、次はどうすればいいと思う?」
部下は答えました。
「作業が遅れても、確認は省かないようにします。間に合わないときは、早めに相談します」
「そうだね。確認を省かないことは大切だ。今回は作業手順を覚えていた点はよかった。次は、時間が足りないときの判断もできるようにしよう」
そして、二人で作業手順を見直しました。

数か月後。
A課長の部署では、相変わらず同じようなミスが起きていました。
ただし、以前と違うことがありました。
部下がミスを報告しなくなっていたのです。
「怒られるくらいなら、黙っていた方がいい」
「余計なことを言わず、指示されたことだけやろう」
そんな空気が広がっていました。

一方、B課長の部署でも、ミスがなくなったわけではありません。
しかし、部下の行動には変化が生まれていました。
「課長、この作業は少し危険だと思います」
「この手順を変えれば、もっと効率がよくなるのではないでしょうか」
「昨日のミスについて、再発防止策を考えてみました」
部下たちが、自分から意見を言うようになったのです。

ある日、社長がB課長に尋ねました。
「君の部署は、どうして部下が自分で考えて動くんだ?」

B課長は答えました。
「特別なことはしていません。失敗したときに、責めるだけで終わらせないようにしているんです」
「それだけか?」
「はい。ただし、仕事の基準を甘くしているわけではありません。守るべきことは守らせます。そのうえで、次にどうすればよいかを本人に考えてもらっています」

そして、こう続けました。
「私がいないと仕事ができない部下を育てても、意味がありませんから」

社長は、しばらく考え込んでいました。
「厳しく指導すること」と「人を育てること」は、同じではないのかもしれない。

ただし、人を育てるために必要なのは、単に優しく接することではありません。


目指したいのは、安心して意見を言える一方で、仕事の品質や責任については妥協しない職場です。

人に対しては尊重を。仕事に対しては厳しさを。
この二つは、決して矛盾しません。

人を育てるとは、部下を自分に従わせることではなく、
自分の力で仕事ができる人間に育てることなのです。

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