NLPの流れでは何事もポジティブに捉える、というのが基本なので、コーチングではとにかくポジティブ寄りのお話しをしまくっています。
例えば…
・辞書からネガティブな言葉は破り捨てましょう
・(ネガティブな表現がされたら)それをポジティブ表現に言い換えてみましょう、自動変換できるようになりましょう
・(行動モニターの振り返りで)うまくできた時にはプラスに働いたことを書き出しましょう
・少しでもうまくいったらその再現性を高めて成功率を高めていきましょう
などなど。
私がコーチングに興味を持って勉強を始めた頃、まずは自分自身がコーチングを受けてみないとコーチングで動く(動かされる?)感覚がわからないな、と思ったことについて他のブログエントリーにも書いてきました。その時にコーチングを受けたコーチを私は「ルートコーチ」と呼んでいます。
ルートコーチは上に挙げたようなポジティブなことをひっくるめて「成功は成功の上に築かれる」と表現していました。
ちなみに彼女によれば計画を立てて実行することは「データ取り」。
うまくいってもいかなくてもその結果は良し悪しの色のつかない単なるデータなのだ、と。
理系育ちの私にはこの「実験」という感覚がとてもしっくり来ました。
NLPでは同じことを例えば「物事に失敗、間違いはない」と言ったりします。
私たちは長いこと「減点型」のテスト評価を軸とした教育を受けて育ってきました。
点数や偏差値は気にするけれど、評価が芳しくなかった時の「立て直し方」について具体的に教えられる機会は少なかったのではないでしょうか。
最近でこそ「探求(調べ)型学習」とか「反転学習」といったアプローチもありますが、基本は減点主義の点数尺度です。
よろしくなかった時に、ではどうすれば良いのか、という視点が欠落しています。
あらかじめ決められた知識セットのようなものをひたすら記憶する、といった課題では問題集をひたすら解いて、間違ったところを正してゆく、という方法が理にかなっているかもしれません。資格試験のための過去問練習などが良い例です。
しかし、「売上を2倍にする」といった現実の目標達成課題では、しばしば何が課題かも完全には言語化されないようなふわっとした状態から取り組みがスタートする場合も多いでしょう。「仮置きの」最適行動を想定して、それを試行しながら結果をモニターする、というPDCA的なアプローチを通して行動を最適化していく、という流れが普通です。
このような枠組みを全体として見るとそれは明らかに「成果の最大化問題」であって「間違いの最小化問題」ではありません。
こうして書いていると「自明のこと」を述べているように感じますが、実際には知らず知らずのうちに課題を「間違いの最小化問題」と捉えてしまっていることが多いのではないでしょうか。
「ポジティブ心理学」という考え方を世に広めたセリグマンは、Well-Being(長く続く幸福感)には5つの要素があるとしています。
・Positive Emotion(これで良いのだという感覚)
・Engagement(没頭)
・Meaning(意味)
・Achievement(達成)
・Relationship(関係性)
心理臨床から発展してきた心理学は人間の心の営みの中でも負の側面に注目し勝ちでしたが、セリグマンは「長く続く幸福感」の要因はポジティブな側面である、としました。
また、ある行動が習慣化した状態を「習慣行動の中毒(依存)状態」と捉えるとそこには「快」の要素が必須であることから、「成功は成功の上に築かれる」ことはうなずけます。「失敗→失敗しなくなる」ことで不快が取り除かれる、ことよりも「成功」で快を感じることの方がストレートに効果がありそうなのは容易に想像できます。
(ルートコーチのこと)
(参考図書)
ポジティブ心理学の挑戦 “幸福"から“持続的幸福"へ,マーティン・セリグマン[著], 宇野カオリ[訳],ディスカヴァー・トゥエンティワン(2014)
快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫) ,デイヴィッド・J・リンデン[著],岩坂 彰[翻訳],河出書房新社(2014)