私がコーチングを受けていたルートコーチの言葉は時に難解、時に謎めいていて含蓄が深く逆説的にさえ思えることがある。そんな中でこれはコーチングのキーワード的に使われたものではなくちょっとしたやりとりの言葉なので意味自体はストレートだ。
コーチングを受けているとそれまでの自分ではとてもできないと思っていたことが実現したり、思いもよらない経験ができたり、ということがしばしば起こる。時として自分自身が経験しているという実感が薄く、映画や小説を読んでいるような気持ちにさせる。それを「まるでエンターテイメントですね」と言った時に返ってきた言葉だ。
たしかに、その頃ルートコーチは「サーカスアーティスト」と名乗っていて、タイトル写真のような曲芸的なパフォーマンス、ここでは帯状の布だけを頼りに空中演技をするエアリアルシルク、のプロ演者だった。とても高い身体性能と、見て楽しめるという芸術性の両方が要求される至難のジャンルだ。
ルートコーチは公演のパンフレット、特にその中にある演技についての「解説」を好まなかった。パフォーマンスの意味やストーリーは見る者がそれぞれの人生を重ねたり想像力を働かせて感じ取ればいい、という趣旨だろう。表現はメタフォリカルなもの、という考えが強い。象徴として伝わればよいというわけだ。
ライフコーチングではコーチングを、知識を伝えて能力を与えるティーチング(=教える)や信念・価値観を伝えるメンタリング(=導く)とは区別して行動にフォーカスするものとする。もちろんこれらは時として行きつ戻りつしながら全てを活用していくのだが、狭い意味のコーチングは「教えない、導かない、アドバイスしない」「自分で見つけることを促す」ものとされる。その意味においてルートコーチのアプローチは狭義のコーチングをかなりはみ出していた。
そんなわけで、ルートコーチ自身が実現してきたことなどを漏れ聞くうちに気がついてみたら、毎日の運動習慣が身につき、カヤックやヨットの海活動を始め、20年ぶりくらいで楽器のレッスンを再開し、とそれまでには思いもしなかった様々な経験を実際に体験することができた。特にヨット、それも一人で操るディンギーと基本的に二人以上で操縦するクルーザーの両方ができるようになったのはそれまで全く運動未経験だった自分にはまさに夢のような体験だった。
こんなことを踏まえてふと私が言った言葉が「まるでエンターテイメントですね!」だったのだ。コーチングをエンターテイメントと捉える考え方はあまり一般的とは思えない。しかし実際に思いもしなかったようなことが次々と起こるとまるで何かの物語の主人公になったような気分になることがある。主人公でもあり、鑑賞者でもある、という感覚だ。
こんなことができたのはルートコーチ自身が一流のエンターテイナーだったからなのは間違いない。なかなかそうではない身、一介のライフコーチがモデリングするのは難しいことだけれど頭の片隅に置いておく価値は大いにある言葉だと思う。
※ 下の写真はコーチングで最初に目標にした「サイトを作る」が完了した時の報告会でのルートコーチ。この時に作成したサイトのタイトル
"MeBuilder's Workshop"
はココナラの私のカバー画像タイトルにもなっている。私の「今」にもつながる成果。