コーチングの源流

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 ものごとの「源流」をたどるためのオーソドックなアプローチは新旧の文献にあたり、その分野の主要人物の背景を調べてそのものごとがたどった道筋、歴史を明らかにする、という方法でしょう。
しかし、ここではこうした歴史的な観点ではなく、現在の時点でコーチングという言葉がどういう文脈で使われているかを調べることでその対象の広がりを見てみたいと思います。

 下の図は 2022年〜2025年(検索実施時点の2月まで)に発行された学術文献を対象にして、タイトルか概要に "coaching" のキーワードを含むものを検索して、それらのタイトルや概要に現れた単語を「共起マップ」という手法で分析して関係が強い単語同士が近くになるようにマップ化してさらに特に関係性が強いグループをクラスターとして色別に示したものです。
ここで検索対象にした学術文献はいわゆる専門書の類いで、単一のトピックを扱った「科学論文」は対象としていません。理由は、コーチングは学術研究の対象としてよりも実践的なアプローチとしての側面が強いと考えられるためです。
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 それぞれの丸が個々の単語に相当し、丸同士を結ぶ線がそれらの単語がどれだけ多く同一の文内に出現するかで表した関連の強さ、距離は共通に出現する頻度を表しています。さらにこういった特徴が似通っている単語を「クラスター」という形にまとめています。
 全体像を描いたこの図ではそれぞれの単語のラベルが小さすぎて見えないのでそれらのうちから代表的なもの、ここでは日本語訳、を挙げてみます。①〜⑤は図に示したそれぞれのクラスターです。

① 学習方略・臨床
代表語:学習、知識、チーム、トレーニング、プログラム、サポート
頻度は少ないですが、セラピー、メンタルヘルス、ウェルビーイング、ストレス、心理療法といった臨床系の語もここに含まれています。

② 教育・指導
代表語:本、指導、概要、教育、指導、トレーナー

③ チームスポーツ・ゲーム
代表語:位置、需要、プレイヤー、力、ゲーム、運動

④ アスリートの個人パフォーマンス
代表語:パフォーマンス、世界、アスリート、技術、強さ

⑤ 職業キャリア
代表語:成功、能力、ケア、アイデア、成長、職業

 これらを全体を見渡してみると、中心部分の ① ② に共通のコアを形づくるように学びに関する言葉や心理、臨床関連の単語があり、そこにチームやトレーニングといったスポーツコーチングの領域の語もある程度含まれています。
そして、ここから二つのスポーツに関連した大きな枝が分かれていてそれぞれアスリートの個人パフォーマンス関連 ④ と、チームスポーツやゲームに関連する ③ を形作ります。
これらに職業キャリアに関連する ⑤ が加わって全体を構成しています。

 このようにコーチング全体で見ると、スポーツと教育・学習が相当な部分を占めていて、これと呼応するようにコーチするということは「教え導くこと」という感覚が一般的です。コーチという言葉からまず連想するゴルフやテニスのコーチも「教え導く」存在です。そのようなコーチはその競技について豊富な知識と経験、実際の競技での実績を持つのが当然であり、コーチを受ける側もそれが前提と考えるのは自然なことです。このような状況をコーチする側とされる側の間に「権威勾配がある」と言います。コーチは権威ある存在、ということです。
 このようなコーチはそれぞれの得意種目に特化していて原則として他の種目のコーチをすることはありません。

 これに対して、テーマを限定せず、広く人生全般にわたってどんな課題でも扱うライフコーチングでは大きく事情が異なってきます。何でも扱うという前提に立つ以上、クライアントが直面している課題、コーチして欲しいと望む課題についてコーチが専門的な知識や経験、まして素晴らしい実績を持つということは前提にできません。従って当然「教え導くこと」もできないわけです。
ライフコーチングでは次のような原則をかかげます。

・コーチとクライアントの間に権威勾配は無い
・アドバイスは原則としてしない
・答えはクライアントの中にある

 コーチとクライアントは同じ土俵、同じ高さにいて上下のない存在というわけです。このようなライフコーチングに対して上に述べた「権威勾配がある」スタイルのコーチングを区別していう場合に「パフォーマンスコーチング」という言葉を用います。パフォーマンスという言葉が「④ アスリートの個人パフォーマンス」の代表語のトップに登場しているのと良く対応してします。
 アドバイスをしない、というと一見不思議に感じるかもしれませんが自分で考え、自分で答えを出したいと思っているクライアントにしれみればアドバイスは余計なお世話、「自分に考えさせてくれ!」ということになります。アドバイスした方が良いのではないか、と思える場合も「提案」にとどめ、採用するしないはクライアントの選択に委ねることです。

【参考情報】
(分析に使ったデータベース)
"dimensions" というデータベースを利用しました
 dimensions.ai

(分析に使ったツール)
VOSviewer ver. 1.6.17
www.vosviewer.com

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