月に一度、メンバーと面談をしていました。
数字を印刷して、達成率を見ながら「ここが足りないね」「もう少しできるはず」「来月はもっとがんばろう」。だいたいこの流れです。
半年ほど続けたころ、ある後輩が面談中にほとんど喋らなくなりました。
こちらが聞くと「はい」「がんばります」と返ってくる。それだけです。面談の時間は10分で終わるようになりました。
通信業界のコールセンターで25年、人を育てる側にいました。今日はこの失敗の話を書きます。
私がやっていたのは「確認」だった
あとから振り返って、はっきり分かったことがあります。
私は面談で育てていたのではなく、確認していただけでした。
数字が足りているか。本人が自覚しているか。反省しているか。この3つを確かめて、最後に「がんばろう」で締める。これは指導ではなく点検です。
点検される側は身構えます。身構えれば、口数は減ります。当たり前のことでした。
そして「もっとがんばろう」という言葉は、何をどうすればいいかを何ひとつ含んでいません。言われた側は、うなずくしかない。
やめた3つのこと
そこで、面談のやり方を変えました。やめたことは3つです。
1つ目は、数字から入るのをやめました。
冒頭の3分は、数字の話をしません。「最近どう」から始めます。数字は資料として横に置いておくだけで、こちらから読み上げないようにしました。
2つ目は、課題を全部並べるのをやめました。
以前は気づいた点を全部伝えていました。5つも6つも並べると、聞く側はどれから手をつけていいか分からなくなります。伝えるのは1つだけと決めました。
3つ目は、私が結論を言うのをやめました。
「ここをこうしよう」と先に言っていたのを、「どこを変えられそう?」に変えました。最初は沈黙が続いて、こちらが耐えられずに喋ってしまうことが何度もありました。
一番きつかったのは、黙って待つこと
3つのうち、いちばん難しかったのは3つ目でした。
「どこを変えられそう?」と聞いたあと、相手が考え込む時間があります。体感では1分くらいに感じますが、実際は10秒ほどです。この10秒が、本当に長い。
沈黙が続くと、こちらが不安になります。質問が悪かったのか、困らせているのか。そう思って、つい「たとえばここなんかどう?」と助け船を出してしまう。
これをやると、結局こちらの答えを渡していることになります。相手は「それでいきます」と言うだけ。前と何も変わりません。
黙って待てるようになるまで、半年くらいかかりました。いまでも、待っている時間はあまり得意ではありません。
変わったのは、面談ではなく前日だった
やり方を変えて分かったのは、面談そのものより準備で決まるということでした。
課題を1つに絞るには、事前にその人の数字を眺めて、どこが一番効くかを考える必要があります。良かった点を具体的に言うには、どの週に何が伸びたかを把握していないといけない。
以前の私は、面談の直前に資料を印刷していました。だから、その場で目についた数字を並べるしかなかったんです。
準備に30分かけるようになってから、面談の中身が変わりました。「先月の3週目、ここが上がってたね。何か変えた?」と聞けるようになる。相手の顔つきが変わるのは、たいていこの質問のときです。
黙っていた後輩も、少しずつ話すようになりました。
同じことで困っている方へ
面談が形だけになっている、毎回同じことを言っている気がする。そんな状態でしたら、原因は話し方ではなく準備の時間かもしれません。
私は業務ツールを作るとき、面談の前に開けば話すことが揃っている、という形を目指します。現場で25年、準備できないまま面談に入る側だったからです。
数字は出しているのに現場が動かない、面談で何を話すか毎回その場で考えている。そんな状態でしたら、お力になれることがあるかもしれません。
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