私は、「社長の仕事」が分からなくなった。 ― 仲のいい社長でいるだけでは、会社は大きくできなかった。―

私は、「社長の仕事」が分からなくなった。 ― 仲のいい社長でいるだけでは、会社は大きくできなかった。―

記事
ビジネス・マーケティング
会社の規模が、

まだ小さかった頃、

私は、

スタッフとの距離が、

とても近い経営者でした。

当時は、

アルバイトとの年齢差も、

十歳以内でした。

定休日には、

スタッフと店に集まり、

慰労会のようなことも、

よくしていました。

仕事の話だけではありません。

学校のこと。

恋愛のこと。

卒業後の進路。

将来、

何をしたいのか。

そんな話を、

自然にしていました。

私は、

そんな時間が、

好きでした。

仕事中には、

見えない一面も、

知ることができました。

ときには、

一人のスタッフと、

真剣に向き合い、

泣かせてしまったこともあります。

でも、

それくらい、

近い距離で、

接していました。

そして、

当時のチームは、

強かったと思います。

同じ人数。

同じ設備。

同じメニュー。

それでも、

チームの状態によって、

店の力は変わります。

スタッフ同士の関係が良ければ、

動きも変わります。

空気も変わります。

売上にも、

それが表れました。

私は、

そんな経験を、

何度もしました。

だから、

当時の私は、

スタッフとの距離は、

近い方がいい。

どこかで、

そう思っていたのかもしれません。

でも、

会社が大きくなるにつれて、

少しずつ、

違和感を持つようになりました。

店舗が増える。

スタッフが増える。

すると、

以前のように、

全員と、

同じ時間を過ごすことは、

できません。

一人ひとりと、

近い距離でいることにも、

限界があります。

そして、

ある時、

ふと怖くなりました。

私は、

これからも、

年を取っていきます。

でも、

アルバイトとして、

入ってくる人は、

これからも、

十代や二十代です。

今は、

年齢も近い。

自然に話せることもある。

でも、

十年後。

二十年後。

同じように、

話せるのだろうか。

同じように、

分かり合えるのだろうか。

私は、

そんなことを、

考えるようになりました。

そして、

ある頃から、

もっと大きな疑問を、

持つようになりました。

「社長の仕事って、何なんだ?」

スタッフと、

仲良くすることなのか。

相談に、

いつでも乗ることなのか。

現場で、

一緒に働くことなのか。

人を、

育てることなのか。

会社を、

成長させることなのか。

私は、

分からなくなりました。

会社が小さい頃は、

自分が現場へ入り、

スタッフのすぐ隣で、

一緒に動けばよかった。

でも、

店舗が増えれば、

見るものも増えます。

人。

売上。

資金。

設備。

出店。

採用。

育成。

会社全体の未来。

一人のスタッフと、

一時間話している間に、

会社全体について、

考えなければならないこともあります。

私は、

少しずつ、

自分の役割が、

変わっていることに、

気づき始めました。

そして、

五年ほど考えた頃、

一つの決断をしました。

スタッフと、

あえて、

距離を置こう。

そう考えました。

距離を置きたかったわけではありません。

本当は、

以前のように、

近い関係でいたかった。

でも、

会社が大きくなるなら、

社長である自分の役割も、

変わらなければならない。

私は、

そう思いました。

近すぎれば、

判断に、

感情が入りすぎるかもしれない。

特定の人だけを、

大切にしているように、

見えるかもしれない。

全員と、

同じように関わることも、

できません。

それなら、

少し距離を置いた方がいい。

当時の私は、

そう考えました。

でも、

距離を置いたからといって、

すべてが、

うまくいったわけではありません。

スタッフから、

「○○さんには、

社長は優しい。」

と言われることもありました。

私は、

また考えました。

公平とは、

何なのか。

スタッフとの距離は、

どのくらいがいいのか。

社長は、

どこまで、

現場へ入るべきなのか。

どこから、

離れるべきなのか。

結局、

一つの答えは、

見つかりませんでした。

今なら、

それで当然だったと思います。

会社の規模が、

変われば、

社長の仕事も変わります。

スタッフが、

変われば、

接し方も変わります。

そして、

社長自身も、

変わっていきます。

二十代の自分と、

四十代の自分が、

同じ経営者である必要はありません。

私は、

昔のように、

スタッフと近くいられなくなったことを、

どこかで、

寂しく感じていました。

あの頃の方が、

良かったのではないか。

そんなことを、

考えたこともあります。

でも、

会社が成長するということは、

できることが増えるだけではありません。

できなくなることも、増える。

昔と、

同じように、

全員と話すことはできない。

昔と、

同じように、

すべての現場へ入ることもできない。

昔と、

同じように、

一人ひとりと、

近い距離ではいられない。

だから、

その時々で、

自分の役割を、

考え直さなければならない。

私は、

そう思うようになりました。

そして、

今でも、

「社長の仕事とは何か?」

と聞かれたら、

一言では、

答えられません。

人を、

育てることかもしれない。

会社を、

守ることかもしれない。

未来を、

つくることかもしれない。

決断することかもしれない。

でも、

一つだけ、

言えることがあります。

昨日までの自分の役割に、しがみつかないこと。

会社が変われば、

社長も、

変わらなければならない。

昔の自分に、

必要だった役割が、

今の自分にも、

必要とは限りません。

私は、

スタッフのすぐ隣にいる社長だった時期があります。

それが、

間違いだったとは、

思いません。

あの時の会社には、

それが必要だったのだと思います。

そして、

会社が大きくなった時には、

違う自分が、

必要になりました。

私は、

「社長の仕事」を、

一つに決めることを、

やめました。

その時の会社に、

何が必要なのか。

今の自分に、

何が求められているのか。

それを、

その都度考えればいい。

今は、

そう思っています。


🐾アオ日記

主人は、

自分の役割は、

変わっていくと言うにゃ。

アオの役割も、

変わるにゃ。

朝は、

主人を起こす係。

昼は、

寝る係。

夜は、

遊んでもらう係。

アオは、忙しいにゃ🤣🐾

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