私は、10年考えて、「分からない」という答えにたどり着いた。 ― 教えられないことがあると分かって、少し楽になった。―

私は、10年考えて、「分からない」という答えにたどり着いた。 ― 教えられないことがあると分かって、少し楽になった。―

記事
ビジネス・マーケティング
私は、

最初から、

人を育てようと思って、

会社を経営していたわけではありません。

最初は、

ただ、

楽しい職場にしたかった。

スタッフと、

一緒に笑う。

仕事が終われば、

みんなで遊ぶ。

悩んでいる人がいれば、

話を聞く。

そんな会社で、

いいと思っていました。

でも、

店が増え、

スタッフが増え、

会社が大きくなるにつれて、

それだけでは、

足りなくなりました。

店長が、

必要になる。

人を教える人が、

必要になる。

自分で考え、

判断できる人が、

必要になる。

私は、

人材育成について、

真剣に考えるようになりました。

評価の仕組みを、

つくりました。

面談も、

しました。

役職も、

つくりました。

何をできるようになれば、

次へ進めるのか。

どう伝えれば、

本人が考えるのか。

どこまで、

教えるのか。

どこから、

任せるのか。

相手によって、

伝え方も、

変えました。

私は、

考えました。

試しました。

失敗しました。

また、

考えました。

でも、

人材育成について、

考えれば考えるほど、

分からないことが、

増えていきました。

同じことを、

伝えても、

伝わる人と、

伝わらない人がいる。

昨日まで、

できていた人が、

今日は、

違う行動をする。

将来を期待していた人が、

突然、

辞める。

自分では、

相手を大切にしているつもりなのに、

「誠意がない。」

と言われる。

何度、

説明しても、

分かり合えないことがある。

言葉にしても、

違う意味で伝わる。

言わなくても、

違う意味で伝わる。

私は、

何度も、

思いました。

「どうすれば、伝わるんだろう。」

「どうすれば、人は育つんだろう。」

そして、

もっと根本的なことまで、

考えるようになりました。

「そもそも、人に教えることができるものって、何なんだろう。」

仕事の手順なら、

教えることができます。

包丁の使い方。

仕込みの方法。

接客の手順。

発注の方法。

製麺のやり方。

そこには、

ある程度、

答えがあります。

見せる。

やらせる。

直す。

繰り返す。

そうすれば、

できるようになることがあります。

でも、

人としての考え方は、

同じようには、

いきませんでした。

人を、

大切にする。

相手の立場を、

考える。

責任を持つ。

周りを見る。

困っている人を、

助ける。

言葉にすれば、

難しいことではありません。

誰でも、

知っています。

「人のものを、

盗んではいけない。」

それも、

ほとんどの人が、

知っています。

でも、

知っていることと、その通りに生きることは違います。

私は、

そこに、

人を教える難しさがあると、

思うようになりました。

知識なら、

渡せます。

やり方も、

教えられます。

でも、

価値観まで、

そのまま相手に渡すことは、

できません。

私は、

いろいろな方法を、

試しました。

伝える。

考えさせる。

任せる。

失敗させる。

一緒に考える。

話を聞く。

何度も、

同じことを伝える。

それでも、

伝わらないことがあります。

逆に、

そのときは、

伝わらなかった言葉が、

何年も経ってから、

「あのときの意味が、

今なら分かります。」

と、

返ってくることもありました。

そこで私は、

ようやく、

一つのことに、

気づきました。

人には、

その人自身が経験しなければ、分からないことがある。

失敗して、

初めて分かること。

誰かを教える立場になって、

初めて分かること。

部下を持って、

初めて分かること。

親になって、

初めて分かること。

経営者になって、

初めて分かること。

そして、

同じ経験をしても、

同じ答えになるとは、

限りません。

育ってきた環境も、

違う。

経験も、

違う。

性格も、

違う。

大切にしているものも、

違う。

だから、

私が10年かけて、

経験から学んだことを、

一時間話したからといって、

相手が、

同じところまで、

理解できるわけではありません。

私は、

それまで、

どこかで、

「伝え方」を探していたのだと思います。

もっと、

上手に伝えれば。

もっと、

分かりやすく教えれば。

もっと、

相手に合わせれば。

きっと、

伝わる。

きっと、

分かってもらえる。

きっと、

人は育つ。

でも、

10年近く、

人材育成について考え続けて、

私がたどり着いた答えは、

とても、

単純なものでした。

「分からない。」

人は、

どうすれば育つのか。

何を、

どこまで教えられるのか。

いつ、

言葉が届くのか。

なぜ、

同じことを伝えても、

受け取り方が違うのか。

今でも、

分かりません。

昔の私なら、

「分からない。」

という答えは、

嫌だったと思います。

経営者なのだから、

答えを、

持っていなければならない。

人を育てるなら、

正しい方法を、

知らなければならない。

そう思っていました。

でも、

不思議なことに、

「分からないことがある」と認めたら、少し楽になりました。

人を、

自分の思った通りに、

育てなくていい。

全員に、

同じことを、

理解してもらわなくていい。

伝えたことが、

すぐ届かなくてもいい。

自分と、

同じ価値観にならなくてもいい。

私は、

人を育てることと、

人を自分の答えに近づけることを、

どこかで、

混同していたのかもしれません。

人は、

私の答えになるために、

成長するわけではありません。

その人は、その人の経験から、その人なりの答えをつくっていく。

私は、

そのすべてを、

教えることはできません。

でも、

だからといって、

何もしなくなったわけではありません。

今でも、

伝えます。

聞かれれば、

自分の経験を話します。

必要なら、

教えます。

考えてほしいときには、

すぐに答えを渡さないこともあります。

失敗しそうでも、

任せることがあります。

ただ、

一つ、

変わりました。

伝えた先まで、自分で支配しようとしなくなりました。

私は、

伝える。

でも、

どう受け取るのかは、

相手の側にあります。

私は、

教える。

でも、

いつ理解するのかは、

相手の経験にもよります。

私は、

期待する。

でも、

どんな人生を選ぶのかは、

本人が決めます。

それで、

いいのだと思います。

私は、

製麺をしていた頃、

一年中、

同じ麺をつくるために、

季節によって、

レシピを変えていました。

夏と冬では、

気温も、

湿度も違う。

だから、

同じ麺をつくりたければ、

同じやり方では、

つくれません。

私は、

そんなことを、

ずっと前から、

仕事では知っていました。

でも、

人も同じなのだと、

本当に理解するまでには、

10年近く、

かかりました。

しかも、

人は、

麺より、

ずっと難しい。

レシピも、

ありません。

同じ材料も、

ありません。

同じ環境も、

ありません。

完成形すら、

誰にも分かりません。

だから、

私は、

人材育成について、

10年考えて、

ようやく、

「分からない。」

という答えに、

たどり着きました。

でも、

これは、

諦めたという意味ではありません。

むしろ、

分からないから、

見る。

分からないから、

聞く。

分からないから、

考える。

分からないから、

その人に合わせて、

やり方を変える。

そして、

分からないからこそ、

自分の答えを、

相手に押しつけない。

今の私は、

それでいいと、

思っています。

「分からない」は、考えることをやめた人の答えではありません。

私にとっては、

10年考え続けたからこそ、たどり着いた答えでした。

人を、

完全に理解することは、

できない。

人の成長を、

思い通りにすることも、

できない。

教えられないことも、

ある。

それが分かって、

私は、

少しだけ、

楽になりました。

そして、

以前より、

目の前の人を、

その人のまま、

見られるようになった気がします。



🐾アオ日記

主人は、

10年考えて、

「分からない」に、

たどり着いたらしいにゃ。

アオは、

3年もかからなかったにゃ。

主人が、

何を考えてるのか。

最初から、

分からないにゃ🤣🐾

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