私は、人を前提に未来をつくる怖さを知った。 ― 来年も、その人がいるとは限らない。―

私は、人を前提に未来をつくる怖さを知った。 ― 来年も、その人がいるとは限らない。―

記事
ビジネス・マーケティング
会社を経営していると、

未来のことを、

考えます。

来月。

半年後。

一年後。

新しい店を、

出すのか。

新しい事業を、

始めるのか。

誰を、

店長にするのか。

誰に、

次の仕事を任せるのか。

そのために、

誰を育てるのか。

会社の未来を考えるとき、

そこには、

いつも、

「人」がいました。

私は、

将来を期待していた、

二人の社員に、

こんなことを、

伝えたことがあります。

「他の社員なら、

退職する30日前に、

相談してくれればいい。」

「でも、

君たちは、

半年、

できれば一年前に、

教えてほしい。」

今考えれば、

ずいぶん、

勝手なお願いです。

でも、

当時の私は、

本気で、

そう思っていました。

その二人には、

これからの会社を、

担ってほしい。

店を、

任せたい。

新しい仕事を、

任せたい。

もっと、

成長してほしい。

私は、

期待していました。

だから、

その人たちがいることを、

前提に、

会社の未来を、

考えていました。

ところが、

二人とも、

突然、

退職しました。

会社が嫌になって、

喧嘩をして、

辞めたわけではありません。

それぞれ、

自分の夢を、

追いかけるための、

退職でした。

私は、

「仕方ないね。」

としか、

言いませんでした。

本人の人生です。

止める理由は、

ありません。

むしろ、

やりたいことがあるなら、

挑戦すればいい。

頭では、

そう思っていました。

でも、

経営者としては、

困ります。

半年後も、

いると思っていた人が、

いなくなる。

その人に、

任せようと思っていた仕事が、

残る。

その人を前提に、

考えていた配置も、

変わる。

育成してきた時間も、

会社から見れば、

未来への計画の一部でした。

私は、

そこで、

一つのことを、

改めて知りました。

人は、会社の予定表ではない。

会社は、

一年後の計画を、

つくることができます。

売上目標。

出店計画。

設備投資。

資金計画。

営業時間。

商品。

数字なら、

予定を立てることができます。

もちろん、

その通りにいくとは、

限りません。

それでも、

会社は、

未来を考えなければなりません。

でも、

人の人生まで、

会社の計画通りには、

できません。

来年も、

この人がいる。

この人が、

店長になる。

この人が、

新店舗を任される。

この人が、

次の幹部になる。

そう考えることは、

できます。

でも、

本人には、

本人の未来があります。

結婚するかもしれません。

家族の事情が、

変わるかもしれません。

やりたいことが、

見つかるかもしれません。

別の仕事に、

興味を持つかもしれません。

昨日まで、

考えていなかった夢が、

突然、

見つかることもあります。

そして、

その人生の中心に、

会社があるとは、

限りません。

私は、

そこを、

どこかで、

勘違いしていたのだと思います。

「この人に、

期待している。」

という気持ちが、

いつの間にか、

「この人は、

来年もいる。」

に変わっていました。

「この人を、

育てたい。」

という気持ちが、

「この人は、

会社と同じ未来を見ている。」

に変わっていました。

でも、

それは、

別の話です。

会社にとって、

その人が大切でも、

その人にとって、

会社が人生のすべてではありません。

当たり前のことです。

でも、

経営者として、

人に期待すればするほど、

その当たり前を、

忘れることがありました。

では、

人に期待しなければいいのか。

私は、

そうは思いません。

辞めるかもしれないから、

育てない。

辞めるかもしれないから、

任せない。

辞めるかもしれないから、

期待しない。

それでは、

人と一緒に、

仕事をする意味まで、

なくなってしまいます。

私は、

たくさんのスタッフに、

期待しました。

仕事を、

教えました。

任せました。

失敗も、

させました。

一緒に、

考えました。

ときには、

言い合いました。

一緒に、

笑いました。

そして、

たくさんの人が、

会社を離れていきました。

今振り返ると、

それで、

よかったのだと思います。

会社に残り続けることだけが、

成長ではありません。

私の会社で、

経験したことを持って、

別の場所へ行く。

自分の店を、

持つ。

結婚する。

家族を、

つくる。

別の仕事で、

活躍する。

それも、

その人の成長です。

私の会社を辞めたから、

一緒に成長できなかった。

そういうことでは、

ありません。

一緒にいる時間に、共に成長できればいい。

私は、

今なら、

そう思います。

私の会社の経営理念は、

「共に成長」

でした。

スタッフと、

共に成長する。

お客様と、

共に成長する。

取引先と、

共に成長する。

関わる人たちと、

共に成長する。

昔の私は、

この言葉の中に、

どこか、

「これからも一緒にいる。」

という未来まで、

含めていたのかもしれません。

でも、

今は、

少し違います。

共に成長することと、ずっと一緒にいることは、同じではありません。

一緒にいる間に、

お互いが、

何かを学ぶ。

何かを、

受け取る。

何かを、

残す。

そして、

いつか、

別々の道へ進むこともある。

それでも、

一緒に過ごした時間まで、

なくなるわけではありません。

私は、

人を前提に、

会社の未来をつくる怖さを、

知りました。

一人の退職で、

未来の計画が、

大きく変わる。

それは、

経営者として、

避けなければならないことです。

だから、

会社の未来は、

誰か一人がいなくなっただけで、

崩れるものにしてはいけない。

人を育てる。

任せる。

期待する。

でも、

同時に、

その人がいなくても、

会社が続けられる仕組みを、

つくる。

私は、

それも、

経営者の仕事だったのだと、

思います。

会社の未来には、計画が必要です。

でも、

人の未来には、余白が必要です。

来年も、

その人がいるとは、

限りません。

それは、

悲しいことでも、

裏切りでもありません。

人には、

それぞれの人生があります。

だからこそ、

今、

一緒にいる時間を、

大切にする。

今、

伝えられることを、

伝える。

今、

任せられることを、

任せる。

今、

一緒に、

成長する。

未来を、

約束できないからこそ、

今を、

大切にする。

私は、

長い時間をかけて、

人材育成について、

考えてきました。

どうすれば、

人は育つのか。

どうすれば、

伝わるのか。

どうすれば、

分かり合えるのか。

どうすれば、

辞めないのか。

いろいろ、

考えました。

でも、

最後に残ったのは、

とても、

単純なことでした。

人には、

その人の人生がある。

私は、

その人生を、

決めることはできません。

できるのは、

一緒にいる時間に、

自分が、

どう関わるのか。

それだけです。

だから私は、

これからも、

人に期待すると思います。

人を、

信じると思います。

できることを、

伝えると思います。

そして、

一緒にいる時間は、

一緒に、

成長したいと思います。

ただ、

その人の未来まで、

自分の予定表には、

書かない。

「共に成長」は、ずっと一緒にいる約束ではない。

一緒にいられる時間を、大切にするということ。

今の私にとって、

「共に成長」という言葉は、

そんな意味に、

変わっています。



🐾アオ日記

主人は、

来年も一緒にいるとは、

限らないと言うにゃ。

アオは、

来年も、

主人の枕で寝る予定にゃ。

でも、

予定表には、

書かないにゃ。

猫の未来には、

余白が必要にゃ🤣🐾

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第三章「成長編」を、

最後までお読みいただき、

本当にありがとうございました。

人を育てることを考え続けた先で、

私がたどり着いたのは、

「共に成長する」という、

会社を経営していた頃から、

大切にしてきた言葉でした。

また、

次の章で。


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