10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)の対策が事業主の義務になります。会社の規模による猶予はなく、社員が数人の会社も対象です。
義務になる措置の中に「相談窓口をあらかじめ定め、働く人に知らせる」があります。大きな会社なら人事部が受け持てば済みます。ところが、社員が数人の会社では、窓口になれる人が社長しかいない、ということがよくあります。
今回は、そんな小さな会社で相談窓口をどう決めるかを整理します。
「窓口=社長」で困る3つの場面
社長が窓口になること自体は、間違いではありません。ただ、次の3つの場面で行き詰まりやすくなります。
・社長自身が、そのお客さまの対応に関わっている
・社長には言いにくい(「お客さまを大事にしろ」と言われそうで、相談をためらう)
・社長が外回りや現場で、その日に話を聞けない
窓口があっても、相談されなければ意味がありません。大事なのは「相談しやすいかどうか」です。
指針が認めている窓口の形
厚生労働省の指針では、相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例として、担当者をあらかじめ決めておくことなどと並んで、外部の機関に相談への対応を委託することが挙げられています。
また、ほかのハラスメント(パワハラなど)の相談窓口と一体的に設けることも考えられる、とされています。カスハラのためだけに新しい窓口を作らなくてもよい、ということです。
小さな会社の決め方は3つ
1. 社長ともう1人の2名にする
窓口を社長1人にせず、もう1人を加えます。経理や事務の方、ベテランのパートさんでも構いません。「どちらに話してもいい」と決めておくだけで、言いにくさがかなり減ります。社長が当事者になったときは、もう1人が受けます。
2. 社長が当事者になるときだけ、外部に頼む
顧問の社会保険労務士がいる会社なら、その方を外部の窓口にできないか相談してみてください。外部の窓口は常に使うものではなく、「社内では言いにくいときの逃げ道」として置いておくだけでも意味があります。
3. 窓口の名前と連絡方法を、紙1枚で全員に配る
窓口を決めたら、名前と連絡方法(直接・電話・メッセージなど)を書いて、全員に配るか掲示します。このとき、配った日付が後から分かるように残しておくのがポイントです。朝礼で伝えたならその日付と参加者を、掲示したなら日付の写る写真を残します。
あわせて、「相談した人のプライバシーは守る」「相談したことで不利益な扱いはしない」の2つも、同じ紙に書いておきます。どちらも指針で、働く人に知らせることが求められている項目です。
窓口の人が、相談を受けたら最初にやること
窓口の担当になった方が迷わないように、最初の動きも決めておきます。
・話を聞き、何があったかを事実で書き留める(いつ・どこで・誰が・何を言われたか・どれくらい続いたか)
・相談した人の体調や気持ちを確かめ、必要なら担当を替える、休ませるなどの配慮をする
・同じことが起きないように、決めたこと(対応を2人にする、など)を書き残す
「怒鳴られた」ではなく「『◯◯』と大声で繰り返した・約40分」のように、事実で書くのがコツです。判断はあとからでもできますが、記録はあとからは作れません。
完璧な体制より、動く形を先に
10月1日までに、立派な規程を作り込む必要はありません。社員が数人の会社なら、窓口2名・外部の逃げ道・紙1枚の周知。この3つが決まっていれば、残りはその上に足していけます。
制度の詳しい内容は、厚生労働省の指針とリーフレットでご確認ください。業種や会社の事情によって判断が分かれる場合は、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
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窓口の決め方で迷っている方は、お気軽にメッセージでご相談ください。