就活で、やってもやっても、動いても動いても、焦りや不安がなくならない。
その心理は正しいです。本気だから焦る。
でも、一つだけ確認してほしいことがあります。
今から動こうとしているその方向は、正しい方向ですか。
なぜ「動いているのに焦る」のか
・就活で今週やることを確認する。
・説明会にたくさん申し込む
・ESの締切を調べる
・自己分析のシートを埋め始める
・他の就活生のスケジュールを調べて比べる
これらは全部、間違った行動ではありません。でも、やればやるほど「やばい」という感覚が強くなっていく。
なぜか。
これは「気の持ちよう」の話ではありません。思考のエラーとして説明できる現象です。
説明会に多く参加したり、膨大なESの提出条件を確認し、必要とされる準備量の多さ、優秀な他の就活生の存在を知る。すると安心しようと行動したのに、行動するほど、自分の不足を痛感して自信が急落する。これは行動すればするほど谷を深く掘っていくような状態と言えます。
また「周りが動いているから」「早く内定をもらって安心したいから」という心の奥にある動機は、外部の不安に突き動かされた行動ですが、普段はなかなかその心理を意識していない。
ですが、自分で選んでいる感覚を持てない行動ほどエネルギーを消耗する、というのが人の心理にはあります。焦りで動くほど「自分の就活なのに、自分でコントロールできていない」という感覚が強まり、疲弊は強まっていきます。
少なくともこの二つが重なって、「動くほど焦る」が生まれます。
解くべき問いを間違えてはいけない
人事として10年間、非常に多くの就活生と向き合ってきた中で見えてきたことがあります。
内定を取れない学生に共通するのは、能力の低さではありません。「間違った問いを一生懸命解いている」ことです。
就活生が陥る「間違った問い」3パターン
多くの就活生が就活で答えようとしている問いは、次の3つです。
①「どの業界・企業に行けばいいか」(選択肢の問い)
業界地図を読んで、企業を比較して、ランキングを調べる。でも選択肢を整理しても、「自分はどこに行きたいのか」は見えてきません。選択肢の問いに答えるには、先に「自分の軸」が必要だからです。
②「自分の強みは何か」(自己評価の問い)
強みを探して、自己分析ツールをやって、友人に聞いてまわる。でも出てくる言葉は「コミュニケーション力」「継続力」「リーダーシップ」。どれも誰でも言える言葉になってしまいます。
③「どうすれば内定が取れるか」(テクニックの問い)
面接の答え方、ESの書き方、志望動機のフレームを探す。テクニックは確かに役立ちます。でも軸がないままテクニックを使っても、「型にはまっているけど何も伝わらない」回答になります。
これら3つの問いに共通することがあります。
全部「外」に答えを探している、ということです。
業界、企業、他者評価、テクニック。どれも自分の外にあるものです。
就活で本当に答えるべき問いは、「内」にあります。
就活の起点になる、たった一つの問い
人事として採用側に立ってきた経験から言えることがあります。
面接で「この学生は違う」と感じる瞬間は、いつも同じです。
自分の言葉で、自分の動機を話せているときです。
その動機を引き出す問いが、これです。
「時間を忘れて没頭した体験の中で、何が自分を動かしていたか」
部活でも、アルバイトでも、趣味でも、勉強でもいい。「頑張ったこと」ではありません。「気づいたら没頭していたこと」を思い出してください。
そのとき、何があなたを動かしていましたか。
なぜこの問いが就活の起点になるのか
「没頭体験の中で自分を動かしていたもの」は、あなたの動機の源泉です。
これが言語化できると、何が変わるか。
志望動機が一本の軸で語れるようになります。
「御社の理念に共感しました」という言葉が面接で弱い理由は、理念への共感が動機になっていないからです。面接官が本当に聞きたいのは、「あなたの内側の動機が、うちのリアルな課題と噛み合っているか」です。
動機の源泉を知っていると、これが答えられます。
自己PRが「誰でも言えない言葉」になります。
「コミュニケーション力があります」「継続力があります」は誰でも言える言葉です。でも「私は、バラバラなチームの中で機能していないものを特定して動かすことに集中できます」など、あなただけの言葉で経験を紡いだ言葉には、説得力が宿ります。とても細かな整合性の集積が面接官の納得をうみます。
面接で緊張しなくなります。
どんな質問が来ても、動機の源泉に立ち返れば答えが出てくる。準備した答えを思い出そうとするより、自分の体験から話す方が言葉が出やすく、面接官にも伝わります。それが語気となってでているところを面接官はみています。就活お作法的な、声量、目線が、先にあるのではありません。
動機の源泉を、志望動機に変換するには
「時間を忘れて没頭した体験の中で、何が自分を動かしていたか」という問いへの答えが見つかったとして、それをどう志望動機に変換するか。ここが、多くの就活生が詰まる次の壁です。
「理念に共感しました」「成長できる環境だと思いました」——これらは動機の源泉を持っていても、変換を間違えると出てしまう言葉です。面接官には一瞬で「よくある回答」と判断されます。
動機の源泉を「持っている」だけでは内定に届きません。それを「面接官に伝わる言葉」に翻訳できて初めて機能します。
まとめ
連休明け、一度立ち止まってこの問いと向き合ってみてください。
「時間を忘れて没頭した体験の中で、何が自分を動かしていたか」
この問いへの答えが見つかると、志望動機・自己PR・面接の軸が全部ここから組み立てられるようになります。
動く量を増やす前に、動く方向を確認する。それが、まず最初にとるべき行動です。
一人で考えているとどうしても詰まることがあります。「自分の没頭体験が見つからない」「うまくまとめられない」という場合は、ココナラ個別相談をご活用ください。人事10年×国家資格キャリアコンサルタントとして、一緒に言語化をサポートします。