親子の伝説

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家にある茶碗蒸し用の器

亡くなった母から、生前に
もう作ることは無いからと
もらった物だ。

例の夜逃げのあと、

母は料理を始めた。

それまでの記憶に、母の料理も料理姿さえも、全くない。
新しい夫との生活が始まるからであろう。

どういう経緯か不明だが、母が最初に作った料理は

茶碗蒸し

なぜそんな記憶があるのか…

毎日 茶碗蒸しだったからだ。

1週間 茶碗蒸し。

最初のは、ボソボソだった。
次は、少しボソボソ。
少しずつ良くなっていき
1週間たって、美味しいと言える料理になった。

茶碗蒸しで懲りたのか、
その後しばらくは、外食だった。

ラーメン
正直、嫌だった。
もやしの多い味噌ラーメン。
味はいいが、もやしでお腹がいっぱいだし、アゴも痛くなる。

ステーキ
地元の有名店。
初めて行った時、
それっぽい服を着た、姿勢の良いウェイターが来て、メニューを置く。

母が私に
「何食べたい?」

私…
「あぶら。」

一同沈黙。

のあと、
母の恥ずかしそうに笑いをこらえる姿、キョトンとするウェイターの顔。

しかしなぜか、
新しい父親の記憶は無い。

当時、私の歯は生え替わる最中であった。

硬いものは食べにくく、家で、肉料理を食べる時は、脂身ばかり食べていた。

その後、数え切れないほど、
母と
その話で笑い合った。

確か、私だけ
ステーキ皿に、いい焼き加減の
脂身が提供された。

ちなみに、今でも
牛肉の脂身は好きだ。
量は食べられなくなったが。
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(話を戻そう)

外食より
おばあちゃんの料理が食べたい
思っていたが

心にしまっていた…

子供ながらに、それを言ってはいけない気がしていたからだ。

茶碗蒸し1週間伝説。

この話はステーキ屋での脂身伝説とセットで語られていた。

どちらも、
母子ともに恥ずかしい
ありふれた記憶…

ここで語るのが最後であろう。

茶碗蒸しの青い器を見る度に
思い出すが、笑い合える人は、

もういない。


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