こんにちは。フランス語翻訳者の遠藤ゆかりです。
若いころ、私はしばらくスランプから抜け出せなかったことがあります。
書籍の翻訳は、毎日コツコツと進めなければなりません。1日休むと、翌日は作業量が倍になります。
2日休むと?
3日休むと?
体調を崩すなど、イレギュラーなことが起きた場合のために予備日を設けてはいますが、突然1週間以上休むような事態になると、取り戻すのはなかなかたいへんです。
原稿の締め切りは、絶対に守らなければなりません。
それなのに、2週間以上、私はまったく訳文を書くことができませんでした。
なにかがあったわけではありません。
体調がすぐれなかったわけでもありません。
本を読んだり、調べものをすることは普通にできました。
ただ、訳文を書くことができなかったのです。
カレンダーを見て、さすがにまずいと思った私は、
「とにかく1行でも書く。パソコンに向かったら、最初に必ず訳文を1行書く」
と決めました。
いい表現が思い浮かばなくても、「とにかく書く」と決めて、1行書いたら席を立ち、キッチンでコーヒーを飲んだり、ベランダに出て外の空気を吸ったりしました。
それをくりかえしているうちに、1行が2行になり、2行が3行になり、3行が1段落になり、1段落が1ページになりました。
「まずい」と思った時点で、締め切りに間に合うかどうか微妙だったのですが、なんとかペースを上げて書き進めることができ、最終的には軽く推敲もできました。
1行も書かなければ、ずっと空白のままです。
1行でも書けば、そのぶん積み重なっていきます。
ゼロではまったく進みません。
まずは、「0」を「1」にすることです。
その「1」がどんなに小さくても、必ず積み重なっていきます。
当時はまだ若かったので、体力的に無理もききました。
いまなら、同じような状況で挽回するのは難しいかもしれません。
「とにかく1行でも書く」と決めて「実行」する。
その大切さ、そのパワーを、このとき私は知ったのです。
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