【ディテールを紐解く(69)】スタートアップ人事の視点。月20件の面接対策で見えた、合否を分ける「求人票の解像度」

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なぜ、自信満々のプレゼンが響かないのか? 

「実績もしっかり伝えた。熱意も伝えた。なのに、なぜお見送りなのか?」

元スタートアップ人事として、現在は月に20件以上の面接対策を行っていますが、この「ミスマッチの悲劇」に何度も遭遇します。 
自分を否定されたような気持ちになり、「自分には市場価値がないのではないか」と夜も眠れなくなることもあるかもしれません。

でも、どうか自分を責めないでください。 
落ちた理由は、能力が低いからでも、人間性が悪いからでもありません。 
ただ、「ピント」がほんの少しズレていただけなのです。

多くの人は「私はこれができます(Can)」と、自分の武器を磨くことに必死になります。 
しかし、スタートアップが知りたいのは、その武器の輝きではなく、「その武器を使って、泥臭い課題をどう解決するのか?」という具体的なプロセスです。

今回は、合否を分ける決定的な差である「求人票(JD)の解像度」の話を紐解きます。

スタートアップは「優秀な人」を求めていない

ここが最大の誤解です。 大企業は「将来活躍してくれそうな、ポテンシャルのある優秀な人」を採用する傾向があります。 
しかし、リソースが枯渇しているスタートアップは違います。
彼らが欲しいのは、「今ある具体的な穴を、即座に埋めてくれるパズルのピース」です。

解像度が粗い人:
「営業が得意です。御社の売上拡大に貢献します」

解像度が高い人:
「御社のフェーズなら、テレアポよりもインバウンド対応が溢れているはずです。私はHubSpotを使ったリード育成が得意なので、今のチームの取りこぼしを月10件は確実に減らせます」

前者は「優秀そう」ですが、採用されません。
後者は「助かる!」と思われ、採用されます。 

スタートアップの面接は、能力テストではなく、「具体的な業務遂行のシミュレーション」なのです。

求人票は「募集要項」ではなく「悲鳴」である

求人票(Job Description)に書かれている「必須要件」や「歓迎要件」。 
これを単なるリストとして見てはいけません。
それは、現場が上げている「悲鳴」です。

「マルチタスクができる方」と書いてある

裏の心理(悲鳴): 
「誰もマニュアルを作ってないし、突発的なトラブルばかりで現場はカオスだ! 誰か整理してくれ!」

「自走できる方」と書いてある

裏の心理(悲鳴): 
「教育担当をつける余裕なんて1ミリもない! 自分で勝手に盗んで覚えてくれ!」

この「行間にある悲鳴」を聞き取ること。 
そして面接で、「ああ、それは大変ですよね。実は私も前職で似たようなカオスを経験し、こうやって整理しました」と伝えること。 
これが、「深い共感」という最強のアピールになります。

「何でも屋」は卒業していい

今まで、会社の中で「空気を読んで何でもやる」ことで評価されてきた人は、スタートアップの「役割が明確なジョブ型」の採用に戸惑うかもしれません。

「自分には、これと言った専門性がない」と。

しかし、スタートアップ転職は、そんな「都合のいい何でも屋」からの卒業式でもあります。 
無理に万能であろうとする必要はありません。 
むしろ、「私はこれができません。でも、この一点に関しては、誰よりも深く御社の課題を解決できます」と宣言するほうが、信頼されます。

自分の凸凹(でこぼこ)を隠さず、凹は仲間に頼り、凸をカチッとはめる。 
それが許されるのが、スタートアップというチーム戦の醍醐味です。

「成果までのプロセス」が見えているか?

面接対策で、私がよく確認するポイントがあります。 
それは、「入社後、目標を達成するための具体的なプロセスが映像として浮かんでいるか?」です。

「頑張ります」だけでは、スタートアップの人事は首を縦に振りません。

NG:
「営業として売上を上げます」

OK: 
「最初の1ヶ月で過去の失注リスト100件にアプローチし、現状の課題をヒアリングします。そこからトークスクリプトを改善し、3ヶ月目には月5件の受注ラインに乗せます」

「誰に、何を、どうやって」というHow(手段)の部分が具体的であればあるほど、「この人は、入社後に迷子にならないな」という安心感を与えられます。 
ここまでイメージを具体化できて初めて、内定は向こうからやってきます。

「選ばれる」のではなく「合わせにいく」作業

お祈りメールが来ると、「不要だ」と言われた気がして落ち込むものです。
 でも、それは違います。 単に、「四角い穴」に「丸いパーツ」を持っていっただけのこと。

自分という素材を変える必要はありません。 
ただ、相手の穴の形(求人票の裏側にある課題)をじっくり観察し、自分の持っている経験の中から、「そこにはまる形」を切り出して見せるだけでいいのです。

月20件の現場を見ていて確信します。 
受かる人は、自分を凄く見せようとはしていません。 
ただひたすらに、「相手の困りごとは何か?」を考え抜き、それにどう貢献できるかを具体的に語れる人です。

その想像力さえあれば、扉は必ず開きます。
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