【ディテールを紐解く(66)】独立から再び会社員へ。それは「都落ち」ではなく、人生を整える“深呼吸”である

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その帰還は「逃げ」ではない

「一度独立したのに、また会社員に戻るなんてかっこ悪い」
 「結局、自分には稼ぐ力がなかったんだ…」

フリーランスや起業家として荒波に漕ぎ出したものの、様々な事情で再び「正社員」という港に戻ろうとする時、多くの人が強烈な「敗北感」に苛まれます。
まるで、夢に破れて故郷に帰るような、後ろめたさがあるかもしれません。

しかし、その感覚は手放して大丈夫です。 
これからの時代、独立と組織を往復することは、決して挫折ではありません。それは、長く働き続けるための、とても自然で賢い「循環(サイクル)」だからです。

今回は、一方通行のキャリア論を捨て、組織と個人を行き来する生き方のディテールを紐解きます。

「一方通行」から「呼吸」へ

昭和・平成のキャリア観は「会社員→独立」という一方通行の片道切符でした。
だからこそ、戻ることは「Uターン(後退)」に見えました。

しかし、現代のキャリアは「呼吸」に似ています。

会社員(吸う期間):
組織の知見、人脈、大きな仕事、安定した給与を身体に取り込む時期。

独立(吐く期間):
蓄えた力を外の世界で試し、自分の名前で勝負し、筋肉質なスキルとお金を稼ぐ時期。

ずっと息を吐き続ける(独立し続ける)と、いつか酸欠になります。
逆に、吸い続ける(会社に居続ける)だけでは、身体が鈍ることもあります。 
「そろそろ息継ぎが必要だな」と感じて会社員に戻ることは、敗北ではなく「エネルギーの補給(リチャージ)」であり、健やかに生きるために必要なリズムなのです。

なぜ「出戻り」は歓迎されるのか?

実は今、この「外の世界を見てきた人」を、企業は求めています。

(1) 「お金の痛み」を知っている
ずっと会社員をしていると、給料を「もらうもの」と考えがちです。
しかし、一度でも独立して「請求書を書く痛み」と「入金のありがたみ」を知っている人は、給料を「自分たちで稼ぐもの」と肌で理解しています。
「この経費は本当に必要か?」と経営者に近い感覚で仕事ができる。
これは組織にとって、とても頼もしい存在です。

(2) 「組織」の温かさを知っている
独立の孤独を知っているからこそ、チームで働ける喜びや、経理や総務が守ってくれる環境に心から感謝できます。 
不平不満を言う前に、「じゃあどう解決しようか」と動ける。
その精神的なタフネス(たくましさ)は、ずっと組織にいた人にはない大きな魅力です。

フラフラしているのではなく「螺旋」を登っている

「一貫性がない」と陰口を叩かれることを恐れる必要はありません。

同じ場所に戻っているように見えても、以前の自分とは違います。 
独立で得た「野生の感覚」と、組織で得た「チームワーク」。
この二つを統合し、まるで螺旋階段(スパイラル)を登るように、より高い視座へと移動しています。

・1回目の正社員:言われたことをやる新人

・独立期:自分の腕を試す武者修行

・2回目の正社員:組織に新しい風を吹かせるリーダー

このように、役割を変えて戻るだけです。
「失敗して戻る」のではなく、「外のお土産(経験)を持って、凱旋する」のです。

面接で語るべき「ストーリー」

もし今、再就職活動で迷いがあるなら、面接ではこう伝えてみてください。

・「フリーランスが辛くて戻りたいです」(× 敗北のストーリー) 
ではなく、 

「個人で戦う中で、より大きな規模の仕事に飢えました。個人の機動力と、御社のリソースを掛け合わせることで、今まで以上の成果を出せると確信し、戻る決断をしました」(◎ 拡大のストーリー)

「安定が欲しい」という本音は、心の奥にしまっておいて構いません。
表向きは堂々と、「経験の掛け合わせ」を理由にしてください。
それは嘘ではなく、事実の重要な側面に過ぎないからです。

人生は「実験」の連続でいい

キャリアとは、一度決めたら死ぬまで貫かなければならない「誓い」ではありません。 
その時々の自分の心の渇き、ライフステージ、家族の状況に合わせて、働き方のモードを切り替える「着せ替え」であっていいはずです。

独立して、傷つけば組織で癒やせばいい。 
組織で退屈すれば、また荒野へ出ればいい。

「正社員か、独立か」という二項対立の呪いを解きましょう。 
境界線を溶かし、自由に行き来する。
その軽やかさを持つ人こそが、変化の激しい時代を、誰よりも「しなやかに生き抜く人」なのです。
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