【ディテールを紐解く⑱】初めての転職。「どの業界・職種で」迷走した私が、自分に問いかけた「たった一つの問い」

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1. 導入:迷宮入りした「初めての転職」

初めての転職活動を始めたとき、「何がしたいか」が最も難しい問いでした。

「転職したい」という気持ちは明確なのに、具体的に「どの業界で」「どんな職種に」就けばいいのかが、まるで深い霧の中にいるように見えなかったのです。

私の最初の行動は、世間の情報をかき集めることでした。 「成長産業はITだ」「未経験でもチャレンジできるのは営業やカスタマーサポートだ」といった表面的な情報ばかりに目を奪われ、片っ端から企業リストを作成しました。求人サイトを眺め、適職診断を受け、業界の未来を予測する記事を読み漁る日々。

なんとなくSaaSにいきたいな、BtoBの営業にチャレンジしないといけないなと、世間体や市場の勢いが気になっていました。未経験の業界や職種に飛び込んで大丈夫だろうかという不安がある中で、焦燥感だけが募っていきました。

どれだけ情報を仕入れても、履歴書や職務経歴書で私が目指す業界や職種の理由を書こうとすると、途端に手が止まります。書き方がわからない。

自分の中では明確な「やりたいこと」がぼんやりとあるにもかかわらず、果たしてそれが正しい選択なのだろうか、企業の採用担当者にきちんと伝わるのだろうか――そんな不安ばかりが頭を巡りました。

企業研究を深めるほど、自分とその仕事との間に、埋めようのない「距離」を感じていたのです。このままでは、また「なんとなく」の理由で次の職場を選び、後悔することになる。そう思ったとき、私は全ての手を止めました。そして、深い迷走の果てに、自分自身に問いかけ、道筋が見えた「たった一つの問い」を見つけました。

2. 本編:狭すぎた選択肢と、袋小路からの脱却

当時の私の検討は、本当に浅いものでした。

なぜなら、私が考える選択肢が、極端に狭くなっていたからです。 私が必死に探していたのは、スタートアップ、SaaS、BtoB営業という、当時の転職市場で注目を集めていた領域でした。これらは確かに魅力的な選択肢でしたが、「流行り」という看板に惹かれ、それ以外の業界や職種を見ることをやめていました。

冷静に考えたら、自分の将来像から逆算すれば、もっとフィットする別の業界や職種があったかもしれません。しかし、当時の私は視野が狭くなり、表面的な市場トレンドに沿った行動ばかりを優先していました。

また、相談する人の幅が狭かったことも、迷走を深めた一因です。同じ世代の友人や、転職経験者にしか意見を聞いていなかったため、画一的なアドバイスばかりが集まり、本質的な自己理解には繋がりませんでした。

履歴書や職務経歴書、そして面接という実践の場で、自分の強みや志望動機をどう表現するかが最も重要なのに、考えるのが非常に難しかったのです。

なぜなら、私が選ぼうとしていたのは、世間が用意した「業界」や「職種」というラベルであり、私自身が心から「こうありたい」と望む「行動のディテール」ではなかったからです。

情報過多と焦りで疲弊しきり、ある日、私は全ての手を止め、静かにノートを開きました。

「一体、自分は何に悩んでいるんだろう?」

この内省のきっかけこそが、迷路の出口へと繋がる第一歩でした。私は、「業界や職種名」を選ぶことではなく、「自分自身の判断基準」が見つからないことに悩んでいると気づいたのです。

3. 核となる問いと「ディテール」の発見

すべてをリセットし、私は自分自身に、ある「たった一つの問い」を投げかけました。

それは、これまでの転職活動で最も重要視していたものを、あえて全て取り払うための質問でした。

「もし給料や安定、世間体を一切無視できるなら、私は人生のエネルギーの『ディテール』を、何に注ぎ込みたいのか?」

問い直したのは、転職の『目的』ではなく、自分が『こだわるべき行動』です。

この問いを突き詰めた結果、私の中で湧き上がってきたのは、特定の職務内容ではなく、「自分が関わりたい産業や事業の形」という、より大きな軸でした。

私が無意識に求めていた「行動のディテール」は、「事業を育て、社会に価値を再提供すること」に繋がっていました。

具体的には、以下のような強い欲求が明確になりました。

 ● 第一次産業や第二次産業のような、これから復興が大事な、社会の根幹を支える産業に関わりたい。

●将来独立するために、営業やマーケティング、事業つくりといった、事業の核となるスキルを身につけたい。

●事業会社に入り、特定の専門職に留まらず、必要に応じていろんな職種にチャレンジできる環境で成長したい。

これらの「ディテール」は、「SaaSやスタートアップ」という流行りのラベルの外側に存在していました。

この気づきを得てから、私は再び求人情報を開きました。今度は「営業」という文字を探すのではなく、「第一次産業のバリューチェーンを再構築する」「新規事業を立ち上げ、事業つくりを経験できる」といった、自分の欲求を満たす「行動」が求められる仕事を探すようになりました。

職種名ではなく、その仕事の進め方や関わり方、つまり「ディテール」が自分に合っているのかどうかで判断軸が変わった瞬間、初めて、本当に腑に落ちる選択肢が見つかり始めたのです。

4. まとめ:迷子になった時の羅針盤

初めての転職で、業界や職種選びに迷走した私の体験から、痛感したことが二つあります。

一つは、「世間体や市場のトレンド(SaaS、BtoB営業など)に振り回されて、自分の選択肢を自ら狭めてしまう」ことの危険性です。もし私が最初から「将来から逆算したらいいもの」という視点を持てていれば、迷走の期間は短くて済んだかもしれません。

もう一つは、「相談する人の幅の狭さ」です。自分の内省に加え、多様な視点を持つ人(年齢や経験が大きく異なる人)に話を聞くことで、自分が無意識に持っている視野の狭さを早い段階で客観視できたはずです。

そして、最も大切だったのは、「自分自身に立ち返る問い」でした。業界や職種という「枠」から離れ、「自分が人生のエネルギーを注ぎたい行動のディテール」、つまり「どんな産業で、どう事業を創り、成長したいのか」という軸を見つけ出すことが、全ての履歴書や職務経歴書、そして面接での自信に繋がりました。

履歴書や職務経歴書で志望動機を書くのが難しいのは、「世間が用意した正解」を伝えようとしているからです。本当に伝えるべきは、「自分がその仕事のどのディテールに、なぜ、どれだけの熱量を注ぎたいのか」という、あなた自身の個人的な熱意と理由なのです。

もし、かつての私のように「何がしたいかわからない」と立ち止まってしまったなら、一度、手元の情報やキャリア論を全て閉じてみてください。そして、静かに自分自身に、あの「たった一つの問い」を投げかけてみてください。

「もし給料や安定、世間体を一切無視できるなら、私は人生のエネルギーの『ディテール』を、何に注ぎ込みたいのか?」

その答えは、転職市場のトレンドではなく、自身の心の中に、必ずあります。
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