夕方18時ごろ。
スーパーの店内はかなり混んでいて、レジには長い列ができていた。
並んでいる人たちも、前の進み具合を気にしながら、ちらちらとレジの様子を見ている。
少しでも早く進んでほしい。そんな空気が、じんわり漂っていた。
私が並んだレジに立っていたのは、「初心者マーク」をつけた高校生のバイトのような女の子だった。
初心者とはいえ、手つきは思いのほか慣れている。
商品をかごからかごへ移しながら、次々にバーコードを読み取っていく。
たどたどしさはなく、むしろ落ち着いて見えた。
私の番がきて、その子はそれまでと同じようにてきぱきと会計を進めていった。
かごの中に、4割引のシールが貼られた肉があった。
レジを通すと、アラームが鳴る。
もう一度通してみても、やはり同じだった。
すると彼女は表情を変えず、すぐ近くにいたフォロー係に向かって、手を挙げながら大きな声で言った。
「すみません、お願いします!」
その声が、妙に清々しかった。
混雑した店内の、少し苛立ちのにじむレジまわりの空気の中で、そのハキハキとした様子がとても新鮮に見えた。
割引商品の打ち方を教えてもらっているあいだも、彼女は相槌を打ちながらしっかり聞いていた。
そして終わると、
「ありがとうございました」
と、これまたはっきりした声で答え、そのままスムーズに会計を終わらせていった。
ただそれだけの出来事だった。
でも、ああいう場面では、焦ったり、申し訳なさそうに小さくなったり、助けを呼ぶこと自体が遅れる人もいる。
初心者マークをつけていれば、なおさらそういう空気に飲まれやすい気がする。
けれど彼女は、困ったことを困ったままにせず、自然に助けを求めていた。
教わることにも変なためらいがなく、終わればちゃんと礼を言う。
少し殺伐とした空間の中で、その姿だけが妙に色鮮やかで、生き生きとして見えた。
できることより、できない時にどう立つか。
混み合うスーパーのレジで、そんなことを思った。