会議で重点課題を決めた。
優先順位も整理した。
担当者にも説明した。
それなのに、しばらく経って確認すると、ほとんど進んでいない。
このようなことは珍しくありません。
経営から見ると、
「最優先で取り組むと決めたはずなのに、なぜ進んでいないのか」
と感じます。
一方で、現場から見ると、
「重要なのは分かっている。しかし、目の前の仕事で手いっぱいだ」
という状態になっています。
今回は、なぜ「最優先」の仕事がいつまでも進まないのか、そして優先順位を実行に変えるために何が必要なのかを整理します。
1.優先順位を決めるだけでは、仕事は進まない
以前の記事では、経営改善を進めるうえで、何から手をつけるべきかを整理しました。
ポイントは、
・インパクトと実行しやすさで考える
・まず、やめることを決める
・次に、仕事の詰まりを解消する
・その後に、利益構造を整える
・最後に、売上を伸ばす
という順番です。
しかし、優先順位を決めただけでは、経営課題は前に進みません。
例えば、
・業務の標準化を進める
・新商品の開発に取り組む
・若手社員の育成を強化する
・顧客データを分析する
・中期計画を策定する
と決めても、実際には日常業務に押し流されてしまうことがあります。
問題は、現場にやる気がないことではありません。
多くの場合、
優先順位を決めただけで、実行するための条件を整えていない
ことにあります。
2.「最優先」と言いながら、何も変わっていない
会社では、新しい重点課題を決めることがあります。
しかし、そのときに、
・担当者の既存業務は減っていない
・重点課題に使う時間を確保していない
・予算をつけていない
・必要な権限を渡していない
・関係部署との役割分担が決まっていない
・進捗を確認する場を設けていない
という状態では、実行は進みません。
現場から見ると、
これまでの仕事をすべて続けながら、新しい重要課題にも取り組んでください
と言われているだけだからです。
日々の業務がすでに詰まっている状態で、新しい仕事だけを追加すれば、
重要な仕事ほど後回しになります。
なぜなら、重要であっても、緊急ではないからです。
3.優先順位は「順番」ではなく「資源配分」である
優先順位を決めるとは、単に仕事に番号を振ることではありません。
本当に重要な課題として扱うなら、
・誰が担当するのか
・どれだけ時間を使うのか
・どの程度の予算をつけるのか
・どの権限を渡すのか
・何を後回しにするのか
・何をやめるのか
まで決める必要があります。
優先順位とは、
限られた経営資源を、重要な課題へ移すこと
です。
「この課題は重要です」と繰り返し伝えるだけでは足りません。
時間、人員、予算、権限が変わらなければ、現場の動きも変わりません。
4.経営と現場では、見ている景色が違う
重点課題が進まない理由を、
現場の意識の問題だけで片づけるべきではありません。
なぜなら、
経営と現場では、見ている景色が違う
からです。
経営は、会社の将来を考えます。
・人材育成
・業務の標準化
・新商品の開発
・新規事業の検討
・中期計画の策定
・将来に向けた投資
こうした取り組みは、すぐに成果が出るとは限りません。
しかし、中長期で会社を成長させるためには重要です。
『7つの習慣』で紹介されている考え方を借りると、
重要だが、緊急ではないこと
に当たります。
一方で、現場には、今日中に対応しなければならない仕事があります。
・顧客からの問い合わせ
・納期への対応
・急なトラブル
・上司から依頼された資料
・会議の準備
・日々の売上を作るための活動
これらは、放置するとすぐに問題になります。
つまり、
重要かつ緊急なこと
です。
経営から見ると、
「将来のために、この重点課題を進めてほしい」
と考えます。
しかし、現場から見ると、
「重要性は理解しているが、今日やるべき仕事で手いっぱいだ」
という状態です。
どちらかが間違っているわけではありません。
重要だが緊急ではない仕事が、緊急な仕事に押し流されているのです。
5.重要な仕事は、空いた時間には進まない
経営が重要だと考える課題は、空いた時間に進めればよいのでしょうか。
残念ながら、現場に空いた時間はほとんど生まれません。
日々の業務では、
・新しい依頼が入る
・予定外のトラブルが起きる
・顧客への対応が必要になる
・会議や資料作成が増える
・急ぎの仕事が差し込まれる
ということが起きます。
そのため、
「余裕ができたら取り組もう」
と考えている限り、重要な仕事はいつまでも後回しになります。
重要な課題を進めるには、
空いた時間を待つのではなく、先に時間を確保すること
が必要です。
例えば、
・毎週、重点課題に取り組む時間を予定に入れる
・日常業務の一部を他の人へ移す
・不要な会議を減らす
・報告資料を簡略化する
・進捗確認の場を定例化する
といった対応です。
重点課題に時間を使うには、これまで使っていた時間を、
どこかから移す必要があります。
6.新しい仕事を始めるなら、何かを減らす
新しい施策を始めるとき、多くの会社では仕事を追加します。
しかし、既存業務を何も減らさなければ、現場の負担は増えるだけです。
そこで必要になるのが、
新しい仕事を始めるなら、何を減らすのかも同時に決める
という考え方です。
減らし方には、いくつかあります。
・やめる
・頻度を下げる
・簡略化する
・他の人へ任せる
・外注する
・期限を後ろへずらす
すべてを完全にやめる必要はありません。
大切なのは、重点課題に時間を振り向けるために、
既存業務を意識的に軽くすることです。
7.実行されない会社が決めていない4つのこと
優先順位を実行に変えるには、最低限、次の4つを決める必要があります。
① 誰が責任を持つのか
「営業部で検討する」
「関係部署で進める」
だけでは、なかなか進みません。
最終的に、誰が責任を持つのかを明確にします。
② いつまでに、何を実現するのか
「なるべく早く」
「今期中に進める」
では不十分です。
期限と到達すべき状態(ゴール)を決めます。
③ 何をやめるのか
新しい重点課題に取り組むなら、そのための時間を確保する必要があります。
既存業務の中で、
・やめるもの
・頻度を下げるもの
・簡略化するもの
・他の人へ任せるもの
を決めます。
④ どこで進捗を確認するのか
重点課題は、決めた直後には動きます。
しかし、日常業務が忙しくなると止まりやすくなります。
そのため、定期的に、
・どこまで進んだのか
・停滞している原因は何か
・次に何を行う必要があるのか
を確認します。
8.優先順位を実行に変えるための問い
重点課題を決めたら、次の問いを確認します。
・この課題は、誰が責任を持つのか
・いつまでに、どの状態を目指すのか
・そのために、誰の時間を確保するのか
・新たに始める代わりに、何をやめるのか
・判断が必要になったとき、誰が決めるのか
・いつ進捗を確認するのか
これらが決まっていなければ、優先順位はスローガンのままです。
9.まとめ
以前の記事では、経営改善を進めるうえで、
何から手をつけるべきかを整理しました。
しかし、優先順位を決めるだけでは、課題は前に進みません。
なぜなら、経営と現場では見ている景色が違うからです。
経営は、将来のために重要な仕事を考えます。
一方で現場は、今日中に対応しなければならない仕事に追われています。
そのため、重点課題を進めるには、
・責任者を決める
・期限と到達点を決める
・重点課題に使う時間を先に確保する
・既存業務を減らす
・必要な権限を渡す
・定期的に進捗を確認する
ことが必要です。
優先順位とは、単に仕事の順番を決めることではありません。
重要な課題に、限られた経営資源を移すことです。
最優先の仕事が進まないときは、現場の努力不足を疑う前に、
その仕事のために、人と時間を本当に移したのか
を確認する必要があります。
もし、
「重点課題を決めても、なかなか実行されない」
「現場が日常業務に追われて、改善が進まない」
「どの業務を減らし、どこへ時間を使うべきか整理したい」
という場合は、状況整理のお手伝いも可能です。
ブログでは一般的な考え方をお伝えしていますが、実際には会社ごとの業務内容、人員体制、優先順位によって取るべき対応は変わります。
現状の課題や業務の流れをお聞かせいただければ、何を減らし、どの課題に時間を使うべきかを整理し、実行に向けた優先順位を一緒に考えることも可能です。
感覚ではなく、構造で整理する。
それだけで、経営課題の進み方は大きく変わります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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