なぜ、仕事を抱え込む管理職が生まれるのか?

記事
ビジネス・マーケティング
「部下に任せるより、自分でやった方が早い」
そう感じる管理職は少なくありません。

確かに、経験のある管理職が自分で対応すれば、仕事は早く終わります。
品質も安定し、急なトラブルにも対応できます。

しかし、この状態が続くと、管理職には次々と仕事が集まります。

気づけば、
 ・部下の仕事を細かく確認している
 ・難しい案件はすべて自分で対応している
 ・会議や報告に追われている
 ・育成や改善に時間を使えない
 ・休みの日も仕事が気になる
という状態になってしまいます。

今回は、なぜ仕事を抱え込む管理職が生まれるのか、そして何を見直すべきかを整理します。

1.「自分でやった方が早い」は間違いではない

忙しい現場では、管理職が自分で対応した方が早い場面があります。

例えば、
 ・急ぎの顧客対応
 ・難易度の高い案件
 ・トラブル対応
 ・判断が必要な仕事
 ・品質を落とせない仕事
などです。

経験のある管理職が処理すれば、短期的には効率的です。

部下に説明する時間も不要です。
途中で確認する手間もありません。
失敗するリスクも抑えられます。

そのため、
「今回は自分でやろう」
という判断は、決して間違いではありません。

問題は、
毎回それを繰り返してしまうこと
です。

2.抱え込むほど、さらに仕事が集まる

管理職が自分で対応し続けると、周囲も次第にそれを前提に動くようになります。

例えば、
 ・難しい案件は上司に任せる
 ・迷ったらすぐに上司へ確認する
 ・トラブルが起きたら上司が対応する
 ・最終判断はすべて上司に委ねる
という状態です。

管理職が仕事を抱え込むほど、部下は自分で判断する経験を積みにくくなります。

その結果、
 ・部下が育たない
 ・判断できる人が増えない
 ・確認が管理職に集中する
 ・さらに管理職が忙しくなる
という悪循環に入ります。

短期的には仕事が進んでいるように見えます。

しかし実際には、
管理職に仕事が集中し続ける仕組み
が作られています。

3.任せられないのではなく、任せる準備ができていない

管理職が仕事を抱え込む理由を、単に
「人に任せるのが苦手」
「部下を信用していない」
と考えるのは早計です。

実際には、任せるための準備ができていないことが多くあります。

例えば、
 ・仕事の目的が共有されていない
 ・どこまで任せるかが曖昧
 ・判断基準が言語化されていない
 ・途中で確認するタイミングが決まっていない
 ・失敗したときの対応が決まっていない
という状態です。

このまま仕事を渡しても、部下は迷います。

何を優先すべきか分からない。
どこまで自分で判断してよいか分からない。
どの段階で相談すべきか分からない。

すると、結局は管理職に確認が戻ってきます。

つまり、任せるとは、単に仕事を渡すことではありません。
相手が判断できる状態を作ること
です。

4.「任せる」と「丸投げ」は違う

仕事を抱え込まないためには、部下に任せることが必要です。
ただし、任せることは、すべてを相手に押しつけることではありません。

仕事を渡すときには、少なくとも次のことを共有する必要があります。
 目的:何のために行う仕事なのか
 ゴール:どの状態になれば完了なのか
 権限:どこまで自分で決めてよいのか
 説明責任:どの場面で相談が必要なのか
 進捗管理:いつ進捗を確認するのか

例えば、顧客への提案資料を任せる場合でも、
「資料を作っておいて」
だけでは不十分です。

 ・今回の提案で顧客に理解してほしいこと
 ・必ず入れるべき情報
 ・金額や条件をどこまで調整してよいか
 ・いつまでに一度確認するか
を伝える必要があります。

最初は説明や確認に時間がかかります。
しかし、この時間を惜しんで毎回自分で処理していると、
いつまでも任せられる状態にはなりません。

5.管理職が仕事を抱え込むと、本来の仕事が後回しになる

管理職の役割は、目の前の仕事を処理することだけではありません。

本来は、
 ・チームの業務の優先順位を決める
 ・部下を育てる
 ・仕事の進め方を改善する
 ・判断基準を整える
 ・問題が起きにくい仕組みを作る
といった役割があります。

しかし、日々の業務を抱え込みすぎると、こうした仕事は後回しになります。

目の前の案件を処理する。
部下の質問に答える。
トラブルに対応する。
資料を修正する。

これだけで一日が終わってしまいます。

すると、育成も改善も進みません。

その結果、同じような問題が何度も起きます。
そして、また管理職が対応することになります。

管理職が忙しすぎる会社では、
忙しさを生む仕組みそのものが放置されやすい
のです。

6.すべてを任せる必要はない

もちろん、すべての仕事を部下に任せればよいわけではありません。
管理職が持つべき仕事もあります。

例えば、
 ・重要な経営判断
 ・大きなリスクを伴う案件
 ・難易度の高い交渉
 ・部門をまたぐ調整
 ・新しい仕組みの設計
などです。

一方で、管理職が抱え込まなくてもよい仕事もあります。

 ・定型的な資料作成
 ・繰り返し発生する確認
 ・一定の基準で判断できる業務
 ・過去の事例を参考に対応できる案件
 ・役割を明確にすれば分担できる仕事

重要なのは、
何を自分で持ち、何を任せるのかを意識して分けること
です。

任せる仕事を増やすことで、管理職は本来考えるべきことに時間を使えるようになります。

7.最初に見直したい3つのこと

仕事を抱え込みすぎていると感じたら、まず次の3つを整理します。

① 自分に集中している仕事を書き出す
まずは、どの仕事を自分が抱えているのかを見える化します。
 ・毎週繰り返している仕事
 ・自分にしか判断できない仕事
 ・部下から頻繁に相談される仕事
 ・本来は任せられそうな仕事
を整理します。

② 判断基準を言語化する
管理職の頭の中にある判断基準を、少しずつ共有します。
 ・どの条件なら進めてよいか
 ・どの条件なら相談が必要か
 ・何を優先するか
 ・どこまで例外対応を認めるか
を明確にします。

③ 途中確認のタイミングを決める
任せた後に不安になり、結局すべて確認してしまうと、管理職の負担は減りません。

最初から、
 ・どの段階で確認するか
 ・何を確認するか
 ・どこまで任せるか
を決めておきます。

これだけでも、任せ方は大きく変わります。

8.まとめ

管理職が仕事を抱え込むのは、責任感が強いからこそです。
 ・自分でやった方が早く仕上がる
 ・品質を落としたくない
 ・部下に負担をかけたくない
 ・失敗を避けたい
と考えるからこそ、仕事を自分で抱え込んでしまいます。

しかし、それを続けると、
 ・部下が育たない
 ・判断が管理職に集中する
 ・改善の時間が取れない
 ・管理職が常に忙しい
 ・組織全体の力が上がらない
という状態になります。

大切なのは、
自分で処理することではなく、他の人でも回る状態を作ること
です。

管理職の仕事は、すべてを抱えることではありません。

何を任せ、何を自分で持つのかを整理する。
判断基準を共有する。
部下が判断できる状態を作る。

それが、チーム全体の力を高めることにつながります。

もし、
「管理職に仕事が集中している」
「部下に任せたいが、どこから始めればよいか分からない」
「管理職が本来の仕事に時間を使えていない」
という場合は、状況整理のお手伝いも可能です。

ブログでは一般的な考え方をお伝えしていますが、実際には会社ごとの業務内容、人員体制、役割分担によって取るべき対応は変わります。

現状の業務やお悩みをお聞かせいただければ、
どの仕事を管理職が持つべきか、
どの仕事を任せられるかを整理し、
チームが回る仕組みを一緒に考えることも可能です。

感覚ではなく、構造で整理する。
それだけで、管理職の働き方は大きく変わります。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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