できるだけ多くのお客様に商品を買ってほしい。
できるだけ多くの人にサービスを利用してほしい。
事業をしていれば、そう考えるのは自然なことです。
そのため、
・幅広いニーズに対応します
・どなたでもご利用いただけます
・さまざまなお悩みにお応えします
と伝えたくなります。
しかし、
対象を広げようとするほど、かえって売れにくくなることがあります。
なぜなら、誰にでも当てはまる言葉は、誰にも強く響かないからです。
今回は、選ばれるために何を整理すべきかを考えます。
1.対象を広げるほど、魅力がぼやける
例えば、飲食店であれば、
・若い人にも来てほしい
・家族連れにも来てほしい
・会社員にも来てほしい
・高齢者にも来てほしい
と考えます。
もちろん、多くのお客様が来店すること自体は悪いことではありません。
しかし、全員に合わせようとすると、
・メニューが増える
・価格帯が広がる
・店内の雰囲気が無難になる
・何を売りにした店なのか分かりにくくなる
ということが起きます。
結果として、「この店を選ぶ理由」が弱くなります。
商品やサービスの対象を広げるほど、売れる可能性が高まるとは限りません。
2.誰にでも当てはまる言葉は、誰にも刺さらない
例えば、次のような飲食店の紹介文があったとします。
「幅広いメニューをご用意しています。どなたでもお気軽にご利用いただけます」
悪い表現ではありません。
ただし、
「今日、この店に行きたい」
と思う理由は見えにくいです。
一方で、
「平日の昼休みに、野菜をしっかり食べたい人のための定食屋です」
と伝えたらどうでしょうか。
対象は少し狭く見えます。
しかし、
「最近、外食が続いている」
「昼食でも栄養を取りたい」
と感じている人には届きやすくなります。
対象を絞ることは、単に顧客を減らすことではありません。
お客様が「これは自分のための商品だ」と理解できる状態を作ることです。
3.雑誌が「誰向けか」を明確にする理由
雑誌を考えると、より分かりやすいかもしれません。
書店には、
・料理を楽しみたい人向けの雑誌
・投資を学びたい人向けの雑誌
・子育て中の人向けの雑誌
・経営者向けのビジネス誌
など、さまざまな雑誌が並んでいます。
もし、一冊の雑誌に、
・投資
・料理
・子育て
・旅行
・スポーツ
の記事が少しずつ載っていたら、幅広い人に売れそうにも見えます。
しかし実際には、「自分に必要な雑誌なのか」が分かりにくくなります。
情報が多いことと、選ばれやすいことは同じではありません。
商品やサービスも同じです。
何でも扱えることより、「誰の、どのような悩みに応えるのか」
が明確であることが重要です。
4.顧客を絞ることは断ることではない
ここで注意したいのは、顧客を絞ることと、対象外のお客様を断ることは違うということです。
例えば、
「平日の昼休みに、野菜をしっかり食べたい人のための定食屋」
と打ち出しても、休日の家族連れが利用してはいけないわけではありません。
大切なのは、「誰に最も価値を届けたいのか」を明確にすることです。
届けたい相手が決まると、
・伝える言葉
・商品の特徴
・価格
・販売方法
も整理しやすくなります。
5.商品ではなく、顧客の悩みから考える
売り手は、
・高品質です
・幅広く対応できます
・丁寧に説明します
・柔軟に対応します
と伝えたくなります。
もちろん、これらも大切です。
しかし、お客様が知りたいのは「自分の悩みが解決するのか」です。
例えば、業務システムであれば、
「多機能で、幅広い業務に対応できます」
と伝えるより、
「毎月の集計作業に時間がかかっている会社へ。入力や集計の手間を減らします」
と伝えた方が、悩みを抱えている人には届きやすくなります。
入り口では、「誰の、どのような悩みに応えるのか」を具体的に示す必要があります。
6.最初に整理したい3つのこと
誰に届けるかを考えるときは、次の3つを整理します。
① 誰に届けたいのか
年齢や性別だけではなく、どのような状況にいる人なのかを考えます。
② その人は、何に困っているのか
商品やサービスが必要になる場面を考えます。
お客様のどんな「不」を解決できるのかがポイントです。
③ 商品やサービスによって、何が変わるのか
商品の機能ではなく、お客様が得られる変化を考えます。
そのサービスや商品を使う前と使った後で、
お客様の状態はどう変わるのか、どう良くなるのか、です。
この3つが整理できると、伝える言葉も具体的になります。
7.まとめ
「誰にでも売りたい」と考えるのは自然なことです。
しかし、対象を広げるほど、伝える言葉は曖昧になりやすくなります。
誰にでも当てはまる言葉は、誰にも強く響きません。
大切なのは、
・誰に届けたいのか
・その人は、何に困っているのか
・商品やサービスによって、何が変わるのか
を整理することです。
顧客を絞ることは、顧客を捨てることではありません。
まず、「誰に最も価値を届けたいのか」を明確にすることです。
その結果、お客様は、
「これは自分のための商品だ」
と気づきやすくなります。
広く売ろうとして、言葉をぼかすのではない。
まず、特に価値を届けたい人へ、伝わる言葉で届ける。
それが、結果として選ばれやすくなることにつながります。
もし、
「自社の強みをうまく言葉にできない」
「何を前面に出せばよいか迷っている」
「商品やサービスの見せ方を整理したい」
という場合は、状況整理のお手伝いも可能です。
ブログでは一般的な考え方をお伝えしていますが、実際には会社ごとの商品、顧客層、競合、自社の強みによって、伝えるべき内容は変わります。
現状の商品やサービス、お悩みをお聞かせいただければ、誰に、どのような価値を届けるのかを整理し、選ばれやすい見せ方を一緒に考えることも可能です。
感覚ではなく、構造で整理する。
それだけで、伝わり方は大きく変わります。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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